Tips 2020.03.06

Apple Arcadeがなぜ流行りきらないのか分析してみた

中川 誉之

中川 誉之

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こんにちは!ゲーム営業部の中川です。
昨今は「サブスク」なんて言葉は日常で当たり前のように聞くようになりましたね。

そんななか皆さんは、AppleStoreで一味違ったゲームが定額で遊び放題になっちゃう「Apple Arcade(アップル アーケード)」は知っていますか?

実はもう日本でバリバリにサービスしているこの「Apple Arcade」、
リリース前は「Appleがゲーム業界に本格参入!」とか、Googleのストリーミングゲームサービス「Stadia」と合わせて「ゲームの新時代がやってくる!」なんて見出しもよく見かけました。が、いざリリースしてみるとユーザーの食いつきはイマイチ、なかなか流行り切れていないというのが現状です。

この記事では、「Apple Arcade」の魅力をおさらいしたうえで、
なぜ足踏みしてしまっているのか要因を深ぼって考察してみたいと思います!

AppleArcadeをおさらいしよう

AppleArcadeの魅力その1:実は基本「完全新作」

昨年の9月に開始した「Apple Arcade」は、選りすぐりのデベロッパから出ている多種多様なタイプのゲームが月額600円で楽しめるというサブスクリプションサービスです。追加料金なし、広告もなしという環境で、2月現在100本以上のタイトルがラインアップされています。

肝心のゲーム内容ですが、最大の売りポイントは「完全新作タイトル」というところでしょう。
カプコンやSEGAといった誰もが知っているようなデベロッパが、
AppleArcadeのためだけに作った凝った新作がたくさんラインナップされています。
しかも定期的に新作は追加されていきますから、ちょっとコアなゲームを好むユーザーなどにとっては永遠に遊んでいられるサービスかもしれません。

さらに、少々乱暴な比較かもしれませんが、日本のスマホユーザーがゲームアプリに課金する月額の平均は3,000円を超えるというデータもありますから、月額600円となればそこまで抵抗なく登録する人も多そうですね。

Stadiaとは違うの?

ゲームの革新的サービスという枠組みで良く比較されることの多い、「Stadia」の違いも簡単に解説いたします。

どちらもスマートフォンでのゲームプレイを舞台としたサービスという点に違いはありませんが、それ以外はまるで要素が違うサービスとなっています。

Stadiaは、今までコンシューマーやパソコンでしか遊べなかった高性能のゲームが、ストリーミングの技術によってスマホで遊ぶことが出来るというサービスです。

Stadiaに関しては月額でその技術を提供するだけで、実際のソフトは別途購入する必要があり、ここがApple Arcadeとの決定的な違いと言えるでしょう。
また提供タイトルもApple Arcadeのような新作ではなく、すでにコンシューマーで発売されている人気タイトルが多いというのも大きな違いとなっております。

StadiaとApple Arcadeはどちらも革新的サービスに違いないものの、実際のビジネスモデルはまるで違うものだということが理解いただけましたでしょうか…?

でも実は新作だけじゃないAppleArcade

AppleArcadeの魅力その2:実はコンソールの超高評価タイトルがラインナップ

実を言うとApple Arcadeは100%新作ではなく、PS4やSwitchで爆発的に人気を博してるタイトルの移植もいくつかあります。なので、ここではどんなタイトルがあるのか簡単に知っていただく意味でも、自称PCゲーム通の私が「これがAppleArcadeにあるのはアツい」と感じた既存のタイトルを2本ご紹介します!

Sayonara Wild Hearts

こちらのタイトルは “音楽と映像の爽快感がスゴイ音ゲー”です。
The Game Awardsというゲーム賞で、2部門を獲得しており、
PS4・Switch・Steamのプラットフォームでも既に圧倒的な高評価を受けています。

このゲームはただの音ゲーだと思ってプレイすると良い意味で肩透かしを喰らいます。
「あれ?さっきまでリズムゲーだったのにシューティングゲームになってる!」
何を言っているのか意味不明かもしれないですが、本当にこの連続です。

そして何より映像と音楽が素晴らしい。
目と耳の両方が幸せになります。サウンドトラックの売り上げもかなりのものだとか。

ステージの数ははそこまで多くはないものの、
クリアした後の爽快感は他のゲームでは体験できません。

他プラットフォームでは2〜3千円で売られていますから、
このタイトルをやるだけでも、十分すぎるほど元を取れてしまいますね!

WHAT THE GOLF?

こちらのタイトルは“ゴルフゲーに見せかけてゴルフしない、はちゃめちゃアクション”です。
なにせ売り文句が「ゴルフ嫌いのためのゴルフゲーム」ですから、普通ではありませんね…。

実際プレイしてみると、ゴルファーの体がホールインワンしたり、ボウリングが始まったり、ドラム缶が爆発して羊とレースしたりします。やってみたらわかります。

でもはちゃめちゃなりに骨のあるステージが多く、
隅々にゲームの丁寧な作り込みがうかがえます。
操作はいたってシンプルなので、
ある意味スマホでやるのが一番ちょうどいいゲームかもしれません!
Sayonara Wild Heartsと並んでマストプレイのタイトルでしょう。

なんで流行らないんだろう…?

さてここまでApple Arcadeの魅力についてご説明してきたわけですが、
実際に登録しているユーザーはあまり多くないのが現状です。

ここでは私なりに、登録のハードルになってしまっている要素はこんなところでは、
という見解を述べていきたいと思います。

ユーザーがサブスクを登録するのはどんな時?

まず「Apple Arcade」がそもそも“サブスク”のサービスであるということに着目してみたいと思います。
皆さんが普段利用されているサブスクは、NETFLIXやSpotifyなんかが挙げられると思います。では皆さんがこれらのサービスに登録したキッカケって何でしょうか?
「NETFLIXに気になってた映画めっちゃあるなぁ。土日暇だし登録しよ。」とか「ついに○○が全曲サブスク解禁だと!あの人の曲も全部あるし、この機会にSpotify試してみるか!」とか、こういったキッカケが多いのではないでしょうか?で、かかるお金も月額1,000円くらいとなれば「まぁいっか」と登録ボタンをポチり。

要約すると、皆さんユーザーがサブスクに登録するキッカケは総じて『気になっていた”アレ”が”定額”で楽しめるコスパの良さ』にあると言えます。

ここで改めて視点を戻すと、「Apple Arcade」には、『気になっていた”アレ”が!』という要素が足りていないということが分かります。なぜなら多くのゲームタイトルが”完全新作”であるためです。

仮に「Apple Arcade」が『今ストアに出ている有料アプリ、月額600円で全部遊べる!』というサービスだったらどうでしょう?「やってもいいかな」ってなりませんか?

しかしそういうサービスではない以上、“完全新作”という独自のウリでユーザーの「やってもいいかな」を引き出さなければなりません。

“完全新作”が刺さらない理由

では“完全新作”という切り札で「やってもいいかな」の引き出しに苦戦している要因はどこにあるのでしょうか。

私は “有料ゲーム”との違いが分かりづらいところにあると感じています。

AppleStoreで普段ゲームをダウンロードする多くの人にとって、無料で質の高いゲームがどんどん登場している今の時代、遊ぶこと自体にお金を払うことはとてつもないハードルとなります。現にApp Storeのゲーム関連収益に占める有料ゲームの売り上げは2%にも満たず、年々減少傾向にあるとも言われています。

プレイ自体にお金を支払うことにハードルを感じてしまった現代のユーザーにとっては、
いくら定額といっても、AppleArcadeと有料ゲームに向ける抵抗感はそこまで違いがないのではと思います。

そのためやはりAppleArcadeが普及するためにはゲームの質で勝負することが必要であることは疑いがないでしょう。
しかしゲームの質に関しても違いが伝わっていないというのが現状といえるでしょう。

AppleArcadeのページも通常のストアアプリのように、ゲームのスクリーンショット、説明文、ユーザーレビューで構成されており、今の見せ方では“今までとは一味違うゲーム“と理解するのは少し難しいのではと私は感じました。

またこれは日本に限定した話ではありますが、現状のタイトルはまだ日本にローカライズしきれているタイトルが少なく、洋ゲー色が濃いゲームが多いというのも抵抗感を感じさせてしまっている要因の一つなのではと感じました。

今後、より「AppleArcade」が浸透するためには、有料ゲームとの違いをしっかりとアピールしつつ、もう少し日本にローカライズされた売りが出てくると良いのではと私は感じました。

だけどゲームアプリの潮流も変わりつつある

しかしAppleArcadeのモデルは何年か先には主流になっている可能性も十分に考えられると思います。
なぜなら今ゲームアプリ業界の収益モデルは転換期に差し掛かっているためです。
特筆すべきは「ガチャ」による収益の確保が難しくなってきているということでしょう。

スマホの技術的進化も要因して、年々ユーザーのゲームの品質に対する期待が上がってきており、それらの要求に応えるため、ゲーム会社はより高品質なアニメーションや高品質なゲーム性を発信していかなければならない状況にあります。

そのため従来のペースでコンテンツを生み出すことは困難になり、結果需要に供給が追い付けず売り上げもたたなくなってきているというのがゲームアプリ業界の現状なのです。

そんな中AppleArcadeはゲーム会社にとって救いの場になる可能性があります。
実はAppleArcadeでは、リリースを許可されたゲーム会社には一定の資金援助がApple側から行われるようになっており、本当の意味で面白いゲームを生み出すことに注力が出来る環境になっています。

そしてこれは噂の域を出ませんが、リリース後はゲームがどれだけ遊ばれたかに応じて、Appleから歩合のような形で売り上げが支払われるモデルになっているそうです。

そういった意味では大きいデベロッパから小さなスタジオまで等しくチャンスがある場所と言えるのではないでしょうか。
AppleArcadeが今後の業界全体を変える大きな可能性を秘めたプラットフォームであることは間違いありません。

中川 誉之
中川 誉之

営業本部ゲーム営業部。ゲーム大好き人間で土日は大体パソコンゲームに熱中してます。 マルチプレイ系のゲームが好きで最近は流行りの某バトルロワイヤルゲームをやって日々ボコボコにされてます。

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