Tips 2020.03.31

ソーシャルリスニングの深層を探ろう

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高尾 智章

新しくサービスを打ち出したり、既存サービスのプロモーション方針の見直しなど、何かを展開する際には必ずターゲットの設定が必要になります。
そんな時、SNSを活用したユーザー調査、つまるところのソーシャルリスニングはターゲット選定の手法として、非常に便利な手段として利用されるケースも多いのではないでしょうか。
まったく便利な時代になったものです。

こんにちは、ストラテジックプランナーの高尾です。
当然、僕の担当業務であるプロモーション戦略の設計においても、ソーシャルリスリングは切っても切れない関係にあります。
どんなユーザーが対象のサービスを利用するのか、どんなアプローチで展開していくのが最も効率的なのか、SNSにはそのヒントがそこら中に転がっています。
本日は、そんなソーシャルリスニングについてお話していきたいと思います。
最後までお付き合いいただけますと幸いです。

この記事を読んでいる方へ

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まずはツールの利用

最近ではSNS上の声を数百、数千単位で集められるツールが多く存在しています。
弊社でも有名なツールをいくつか利用しており、ツールで集めた数字を元にターゲットやプロモーションプランを設計するケースも増えてきております。
非常に便利で、効率化を求められる昨今の業務事情の中では重宝しているのですが…その反面、昔の様に実際にSNS上へもぐり、自らの目でユーザーの声を見聞きするといった場面が減っているよう感じます。
確かにツールを利用するだけでも、ユーザーの特徴や類似ユーザーの情報など、得られる情報は多く、現状の分析やターゲットの設定を行うには事足りるとは思います。

下記の図は、ソーシャルリスニングツールを使用した際にできる図を模して作成したものになります。今回のケースは「人気化粧品メーカーの公式Twitterアカウントをフォローしているユーザーが良く使用するワード」といった内容で作成しております。

まずは、この内容から
例えば、「中華」と「赤系」。これだけでも赤いアイシャドウを入れる中華風メイクを連想することが出来ますよね。しかも、「中華」に至っては他のワードよりも大きく表示されているので、ブームになっている可能性が高いと推理できるわけです。
他にも、「youtube」と「毎日」。一見すると、この化粧品メーカーに興味のある人はyoutuberを好む性質があると思いがちですが、この「毎日」というワードが引っかかります。試しに、youtubeの検索バーに「毎日」と打ち込んでみると、サジェストに「毎日メイク」なるものが…

きっとこれですね!

といった具合に、僕みたいな女子のトレンドから遠く離れたオジサンでも、ツールを介して読み取れる情報は数多くあります。

ただここで問題が一つ。
先述の通り、僕は女子のトレンドから遠く離れたオジサンです(横線引いて消しましたが、あえて掘り返します)。つまり、ここで導き出した結論は、オジサンの妄想、戯言、狂言という可能性も決して低くはないわけですね。
ここまでの情報で人を納得させられるのは、よほど実績のある凄腕マーケターか、数年に一人現れるJK起業家くらいなものです。一般的なマーケターは決定的な証拠を探しに行かなければならないわけです。
そのためにはツールに頼り切ってはいけません。もっとソーシャルリスニングの深層へと潜らなければならないのです。

生の声を探る

ソーシャルリスニングツールは本当に便利ですが、結論を見出すには情報の粒度が足りないように感じます。特に、ペルソナなどの作成にて一個人を引き合いに出す場合は圧倒的に情報が足りません。

今回のケースで言いますと、本当に「中華系メイク」が流行っているのか、本当にyoutubeの「毎日メイク」動画と探っているユーザーの親和性は高いのか。そしてもう一点、毎日メイクという日常に役立つHow to動画が出ているのに対して、なぜ非日常的な「コスプレ」がヒットしているかなど、その辺りの答えを探してみたいと思います。

まず最初はシンプルに、ツールでヒットしたワードを掛け合わて検索を行ってみます。
「中華」×「メイク」で検索した結果、結構な数のツイートがヒットしました。

ツイートの数や、投稿の新しさを見るに大なり小なりのブームになっていることは間違いないようです。
ただ、ここで重要なのは数ではありません。発信しているユーザーがどういった趣味嗜好なのか、そのユーザーにとって中華メイクとはどういった際に用いられるものなのかなどの、ツールでは読み取れない内面を見ることが大切です。

ということで、ユーザー性質を探るべく、ツイート本文や投稿画像を、順を追って見たところ、どうも様子がおかしい。どの投稿者も過剰に着飾っていたり、おおよそ日常とは思えないロケーションで撮られたりと、流行っている割には敷居が高そうな印象を受けます。
念のためにinstagramでも同条件で検索を掛けたのですが、やはりどの画像も作り込まれていて、非日常的。

個人的に、日常生活に浸透してこその流行だと考えているので、ブームと呼ぶにはまだマイノリティなのかもしれません。

ただ、ここで一つ分かったのは、ツールでヒットしていた「コスプレ」というワードです。「毎日」と「コスプレ」がどうしても結びつかない印象でしたが、どうやら「コスプレ」はこの中華メイクと非常に関連深いワードであるようです。
また、文章においても一点分かったことがあります。
どうやら中華メイクを行うユーザーの多くは、発色の良いアイシャドウを求めているようで、ユーザー同士で紹介し合うような場面も見つけることが出来ました。
そこで、改めて今回の調査対象にしている化粧品メーカーの商品リストを見直したところ、やはり直近リリースされたアイシャドウがありました。それも赤や青などの明るい色を多数含むものです。
念のために通販サイトのレビューも見てみると、「発色が綺麗」とのコメントが多数!
色々と繋がってきました。

ここまでをまとめると、
① 中華メイクは大規模ではないが流行っている。
② ただ、日常的に用いられるかといえばそうではなく、どちらかというと中華街などに遊びに行ったりと特別なイベントがある際に使用される。
③ コスプレイヤー、ないしそこに通ずる趣味嗜好のあるユーザーが好んでいる。
④ 上記ユーザーにとって発色の綺麗なアイシャドウは重宝されており、対象化粧品メーカーの商品が人気を集めている。それゆえに、Twitterアカウントのフォローに繋がった。
⇒⇒⇒弊社でも、発色の良いアイシャドウを開発、あるいは既存商品の中からピックアップし、中華メイクをフックにし、コスプレ思考のあるユーザー向けに打ち出そう!
といった具合に、一つのプロモーションプランが完成しました。

しかし、ここで安心してはいけません。まだ「youtube」×「毎日」の日常を想起させる方面での調査が残っています。
もちろん、趣味であったり、中にはお仕事でコスプレをされている方も多く、他のユーザーと比べると消費量が多く、ROAS観点で見ればそこに絞った展開でも事足りる場合もあります。ただ、コスプレに精通している人よりも、日常的な目的でメイクを行っている人の母数が多いことは言わずもがな、母数が多い市場のヒントが転がっているのに見過ごすのはよくありません。調査を続けるべきでしょう。
場合によっては、コスプレターゲットより凄いものが見つかるかもしれませんしね。

最後に

いかがでしたでしょうか?
文字数的にももう一つの調査は割愛してしまったわけですが…なにはともあれ、ソーシャルリスニングツールと人力リスニングの合わせ技についてご紹介しました。
やろうと思えばいくらでもできてしまう、まさに沼ではありますが、潜った分だけ得られる知識は大きいものだと思っております。
また、もしもっと調査してほしいなどのご要望がありましたら、お気軽に弊社営業担当へとお声がけください。どんな小さなことでもご協力させていただきます!
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を読んでいる方へ

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高尾 智章

営業本部 ストラテジックプランニングチーム所属。2019年4月、ゲーム営業部より異動。複数の案件で企画設計を中心に業務しています。民族音楽が好きです。

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