Apple Adsにおける「ビュースルー計測」について

目次
新指標「ビュースルー計測」の全貌
Apple Adsは2024年より、「ビュースルー」インストールの計測が可能になりました。
従来の「タップスルー」中心の評価から一歩進み、広告表示がどの程度ユーザーの行動に影響を与えたかを可視化することが可能になり、評価の幅が変わったので本記事にてまとめました。
管理画面に「ビュースルー」データが追加
こちらの章ではアップデートの内容についてまとめております。
広告表示の価値が可視化可能に
これまで、ユーザーが広告をタップした後にアプリをインストールした「タップスルー」行動のみが評価対象となっていました。
今回追加された「ビュースルー」の計測では、ユーザーが広告をタップせずに広告表示のみでインストールに至った行動が、管理画面上で数値として把握できるようになりました。
変更点
変更前:タップスルーのみを計測
変更後:タップスルー + ビュースルーの計測
ビュースルーインストールの特徴
続いてアップデート背景です。
85%が6時間以内に発生
Appleのデータによると、ビュースルーインストールの約85%が広告表示から6時間以内に発生しています。
これは、広告の「直接的な表示効果」が高いことを示しており、インプレッション単体でもユーザー行動を大きく動かす要因であることが言える内容となります。
このインサイトは、今後の配信戦略やKPI設計において「タップされなかった広告も価値がある」という新しい視点を与えてくれたかと思います。
アトリビューションの考え方とインパクトの可視化
ユーザーが最後に接触した広告チャネルを元にインストールをカウントする「最終接触ベース」のアトリビューションが採用されています。
今回の変更により、「タップスルー」「ビュースルー」を合わせた合計インストール数、さらにはそれぞれのCPA(Cost per Acquisition)が管理画面上で可視化されるようになりました。
従来のタップスルーのみでの評価に比べ、より包括的で実態に近いキャンペーン成果の把握が可能になります。
具体例
具体的な事例として、広告予算10万円に対し、タップスルー300件+ビュースルー100件の合計400インストールがあった場合、CPAは以下の通り算出されます。
計測 | CPA | |
変更前 | タップスルーのみ | ¥333 |
変更後 | タップ+ビュー合算 | ¥250 |
このように、従来の「評価されなかった効果」まで取り込んだ正確なROI測定が実現します。
MMPレポートとの乖離
多くの広告主は、MMP(モバイル計測パートナー)レポートを正とし、キャンペーン評価を行ってきました。
しかし、これまでのApple Adsの仕様上、MMPにはタップスルーによるインストールデータのみが共有されており、ビュースルーについては計測対象外となっていました。
今回のアップデートにより、新たに可視化するビュースルーの数値に対しても
補正評価することで、より正確な効果測定が可能となります。
留意すべき技術仕様と指標の定義
注意事項
新指標の導入に伴い、以下のような仕様にも注意が必要です。
・ビュースルー指標は、広告表示後24時間以内にタップせずインストールされたユーザーを対象とする
・タップスルー指標は、広告タップから30日以内のインストールを対象とする
・インプレッションの定義はIAB基準(50%以上が1秒間表示)
・遡って30日前までのデータ取得が可能だが、アトリビューション期間の変更は不可
・CPT(タップ単価)課金モデルのため、インプレッション単体への課金は発生しない
これらの仕様を踏まえた上で、レポーティングを行いましょう。
最後に:今後の活用
今回の機能拡張により、Apple Adsは「タップされなかった広告」にも意味を持たせ、表示だけでも行動を促す広告の評価が可能となりました。
ビュースルーを含めた総合的な指標を用いることで、広告配信の最適化、予算配分、プレースメント戦略の見直しにまで活用が広がると思います。
オーガニックとの相乗効果も含めた「真の広告価値」を捉えることが、これからの広告運用における重要になってくるでしょう。
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