いいねやコメントが見えるプラットフォームでいかにエンゲージメントを高めるか
クリエイティブ制作のTipsを解説
CANVAS編集部
【CreatorZine転載】
みなさんこんにちは。CAMVAS編集部です。
広告におけるクリエイティブノウハウを解説していく本連載では、アイディアを考える際に基本となる「メディア」、「コンテンツ」、「ターゲット」にそれぞれ焦点を当てていきます。第15回は「エンゲージメントを高めるクリエイティブ」についてお伝えします。
今回は、デジタル広告におけるエンゲージメントの重要性とエンゲージメントを上げるためのクリエイティブTipsをお話できればと思います。普段TikTokやTwitterなど、「いいね」や「コメント」がユーザーから見えるプラットフォーム向けにクリエイティブを制作している方に読んでいただけたら嬉しいです。
目次
デジタル広告におけるエンゲージメントの重要性
そもそも「エンゲージメント」には「約束、契約」などの意味がありますが、マーケティングの世界では「つながり」や「関与度」といった意図で使われます。つまり、「エンゲージメント」とは、顧客を惹きつけ、企業と顧客の結びつきが強まった状態だと言えるでしょう。
その中でもとくに、SNSマーケティングにおけるエンゲージメント率とは、「企業が発信する商品やサービスに関する情報に対して、ユーザーがどの程度興味や愛着を持っているか」を数値化したものです。「いいね」や「コメント」「シェア」などのアクションがこれにあたります。SNS運用を行っている企業であれば重要性は重々承知だと思うのですが、SNS運用だけでなく、広告においてもエンゲージメントは不可欠なのです。
では、なぜデジタル広告においてもエンゲージメントが重要なのでしょうか。一度、デジタル広告から離れて考えてみましょう。
並ぶ時間はいったん脇に置いた状態でこの画像を見たら、どちらのお店に入りたくなりますか?「Aのお店に行ってみたい」と思った方が多かったのではないでしょうか。
これは、「バンドワゴン効果」という心理現象です。多くの人がある製品や出来ごとに対して興味や関心を抱いているのを見ると、自身もその対象に対して強い興味を感じるようになることを指します。このバンドワゴン効果を活用すると、デジタル広告のエンゲージメントで引き起こすことができます。
その好事例がTikTokです。TikTok はコメント数、いいね数、保存数などが、広告でもユーザーから見えるようになっています。いいねが0の広告といいねが10kの広告。同じ動画でもおそらく後者のほうが視聴率、CTR、CVRが高いでしょう。10kものいいねがついている広告を見たユーザーは、「多くの人がおもしろい/良いと言っている動画なら信頼できるだろう」という気持ちになるからです。スキップされずに動画を視聴される頻度が高くなったり、多くのユーザーに訴求できたりすることで、CTR、CVRの改善に影響を与えることが可能です。
弊社のある事例ですが、TikTokでもエンゲージメントの効果が出ています。
あなたは初めて訪れた場所でランチにラーメンが食べたくなりました。向かい合っているA店とB店をみると、A店は長蛇の列をなしていますが、B店はすぐに入店することができそうです。
上の表を見るとわかるように、エンゲージメントが高いクリエイティブはimp数とCV数が相関し、より良い結果になっています。
今回は、TikTokのクリエイティブ結果の事例でしたが、Twitter広告やFacebook広告も「いいね数」「コメント数」がユーザーから見える仕組みになっているため、同様の効果があると考えられます。
また、プラットフォーム側から明言はされていないものの、Facebook広告やTwitter広告はエンゲージメントの高さが広告スコアに影響を及ぼすと考えられます。広告スコアが高ければ、競合より入札単価が多少低くても広告が配信されるため低CPCでの配信が可能となり、費用対効果の高い広告運用ができるのです。
エンゲージメントの高いクリエイティブを作るふたつのポイント
では、エンゲージメントの高いクリエイティブ制作には何が必要なのでしょうか。そのふたつのポイントについて、TikTokのクリエイティブに焦点をあてながらTipsをお伝えしていきます。
プラットフォームの特性や文化に合わせたクリエイティブを作る
TikTokのプラットフォーム特性に合わせたクリエイティブを作ることで、エンゲージメントの向上が見込めます。
例として、ユーザーが広告で遊ぶことのできるクリエイティブを用意してみましょう。
A:パズルのフォーマット
https://www.youtube.com/watch?v=4f7lajix36I
このクリエイティブは、TikTokで動画をタップすると動画が停止するというプラットフォーム特性を活かしたものです。絵がコロコロと切り替わり、タイミングよく動画をタップすると絵が揃うというクリエイティブになっています。このように広告にゲーム性をもたらすことで、コメント欄には「きれいに揃った!」「ぜんぜん揃わない……」など、広告に関するコメントを促すことができます。
B:ルーレットのフォーマット
https://www.youtube.com/watch?v=29MFCF3ua9w
このルーレットタイプもプラットフォーム特性を活かしたクリエイティブとなっており、ユーザーから「元気系メイクだった!」「ガーリー系だった!」などのコメントを促すことが可能です。
ただしここで気を付けなければいけないのは、「ただプラットフォーム特性に合ったクリエイティブを用意しても意味がない」ことです。商材やサービスのUSPを分析し、どのターゲットに、商材やサービスのどんな特徴を訴求するために、ゲーム性のあるクリエイティブを用意するのか。これをしっかりと考える必要があります。
AとBのクリエイティブで、商材やターゲット、訴求したい内容をそれぞれ考えてみました。
A.パズルのフォーマット
商材:カジュアルゲーム(パズル系)
ターゲット:パズルゲームをやっている人でキャラクターの見た目や個性に惹かれてガチャを回したくなり、キャラクターをコレクションしたい人
訴求:キャラクターのビジュアル、個性や豊富さ
B.ルーレットのフォーマット
商材:コスメのクチコミアプリ
ターゲット:いつものメイクに飽きてきた人
訴求:新しいメイク方法
このようにクリエイティブ制作の基本をおさえつつ、プラットフォームに特性に合ったクリエイティブを用意する必要があります。
また、TikTokで活躍するクリエイターは、日常的に動画を投稿しており、媒体に合った動画を作成しています。このようなクリエイターを起用して動画を制作することで、エンゲージメントを高めることもできるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=PmRTtY9-fPs
広告として出稿せずとも、動画を制作してクリエイターのアカウントに投稿してもらうのみでも一定の効果は見込まれます。
商材と親和性の高いクリエイターを起用することで、クリエイターのファンがコメントをしたり、面白い動画であればファン以外のユーザーからも「いいね」がつきやすくなるはずです。また慣れ親しんだFMTのため、商材やサービスについてのコメントが増えることも見込めると思います。
問いかけなどを行い、ユーザーがコメントしやすいクリエイティブを作る
次はユーザーの自然なコメントを待つのではなく、意図的にコメントを促すクリエイティブです。クリエイティブ内でユーザーに問いかけを行うと、次の図のようにユーザーから返信がきます。ときにはユーザー同士が広告のコメント欄で会話を行うこともあります。
商材やサービスに対して興味があるユーザーが「このサービスっていいですか?」とコメント欄で質問すると、すでに利用しているユーザーから「〇〇だから使いやすいですよ!」などの会話が発生し、広告だけでなく、第三者のクチコミが興味関心ユーザーの後押しを行うことになるのです。
この現象を引き起こすためには、配信方法も重要です。配信セグメントを「新規」のみに絞ってしまうと、既存ユーザーには広告が当たらず、コメント欄で使用感などを回答してくれるユーザーがいなくなってしまいます。そのため、幅広い層に問いかけクリエイティブを配信することで、広告内のコメント欄も活性化させることができるでしょう。
まとめ
ユーザーから商品やサービスに対するコメントを促すことができると、第三者によるクチコミが広告につくことになります。そのコメントは、実際の体験談として広く伝わり、同様の結果を求める消費者に対して情報の訴求力を高めることが可能なのです。
広告にエンゲージメントがつくと、広告効果の改善だけでなく、ユーザーへの訴求も強めることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
デジタルマーケティング情報を発信する『CANVAS』の運営&編集担当。中の人としてTwitterはじめました(@canvas_d2cr)。テキストは標準語ですがしゃべると関西弁。オンライン社内報「R-ibrary」も兼務で運営担当をしています。