Creative 2022.02.26

【イベントレポート 後編】トークセッション「コミュニケーション“耳”論」

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新井 優奈

こんにちは!クリエイティブプランナーの新井です。

5/26に弊社主催のウェビナー「アド耳2021」が開催されました!
こちらの記事では、ウェビナー後半の内容をレポートいたします。

▼「アド耳2021」前半のレポートはこちら

【イベントレポート 前編】音マーケティング「時代×生活者から見た“音”の変化」

後半となる第二部は、「コミュニケーション“耳”論」と題したトークセッション。
ゲストスピーカーに株式会社ホットリンクのいいたか ゆうた氏をお招きしました!

4つのテーマ、どれも音のこれからを考えるきっかけになるキーワードが満載です。
それではどうぞ!

 

 

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スピーカー紹介

ゲストスピーカー:いいたか ゆうた氏 @yutaiitaka
株式会社ホットリンク CMO兼IS責任者

2014年 株式会社ベーシックに入社。ferretを立ち上げ、創刊編集に就任
2017年 株式会社ベーシックの執行役員に就任
2019年 株式会社ホットリンクに転籍
これまでに複数のWebサービスやメディアの立ち上げ・東証1部上場企業を含め100社以上のコンサルティングを経験。

メインスピーカー:郡 茜
株式会社D2C R 統合プランニング本部

大学卒業後、広告業界に入りコピーライター・プランナー・CDとして一貫してクリエイティブに携わる。2015年~個人事業主として動画マーケティング会社、アプリ支援会社、IT系企業等と契約。ブランディング~獲得の両領域にて実績を上げる。
第71回広告電通賞WEBムービー部門最優秀賞受賞 2020年9月から現職。

モデレーター:貴志 和也
株式会社D2C R 統合プランニング本部 本部長

2011年 株式会社D2C入社
2013年 株式会社D2C R立ち上げに参画
2020年 統合プランニング本部組成

 

テーマ1「音のトレンドキーワードとは?」


前半の郡さんの講義がかなり良いこと言ってたね。
これ以上あまり言うことないんだけど(笑)
でも、私も、デバイスの変化は音と関係が深いと思っていますね。
ガラケーからスマホになる、音楽をMDに焼いて聞いていた時代から今みたいにダウンロードになる……というように、これまでも大きな節目にはデバイスの変化があったと思う。

ストレスフリーにどんどんなっているよね。

TikTokで人気になった音がきっかけで曲が売れるとか、YouTuberのピアニストがTVにでるとか、売れるきっかけに音がなっているというのも(音のトレンドとして)あると思う。

コロナで可処分時間が増えたという話もそうだけど、
たぶんこのウェビナーも何かしながら聞いている人って多いと思うんですよ。
そういう感じで、音だけだとすごく楽。
目をとられると結構集中しなくてはならないので、
楽って言い方があっているかわからないけど、耳だけとられるのはすごく楽なんだと思う。


Clubhouseが流行ったのとか、顕著に思い出しますけど、
「ながら聞き」って、なんというか「おだやかなハマり方」する気がしますね。

「これ!」という目的意識が薄まりつつも「つい聞いてしまう」というか。
そういうのが「楽」な耳での消費に繋がっているのかも……。

郡さんは、音のトレンドについてどう思いますか?


私は、企業の音資産にもっと注目が集まるはずだなと思っています。
「ソニックブランディング」といって、海外では音でのブランディングが進んでいます。
ハーレーのエンジン音に特許をとったり、BMWの起動音の設計(サウンドメイク)にハリウッド映画音楽の作曲家をアサインしたりという感じで。

日本ではまだ、そこまで音に力を入れている例は多くないですけれど、
たとえば、コンビ二の入店するときのサウンドや、駅のホームで流れるメロディなどが、ブランディングに繋がっていると思うんですよね。

効果音など、よりブレイクダウンしたものでも、サウンドデザイン・サウンドロゴといった考えがもっと出てきてもいいんじゃないかなと。

たとえば、LEGOがレゴブロックを組み立てる音をASMRプレイリストにして公開しているんですよ。
たしかに、あの組み立てるカチャカチャした音って、レゴブロックにしか生み出せない音ですよね。それで、これは企業資産だ!!って考えて、そういった取り組みがおこなわれている。

そういうことが、日本の企業でもこれから起こると面白いんじゃないかなあと思いますね。


「誰が聞いても、あ!あれだな!」とわかるくらい記号化している音は、たしかに企業にとって資産ですね……!

いいたかさんは、最近ラジオのパーソナリティーもなさっていると思いますが、
実際にラジオという音だけのメディアをやってみて感じることなどありますか?


そうですね~。
ラジオは地方の人が聞くもの?しずんでいる?という偏見が最初はあったりしたんですけど、実際にラジオをやってみて思ったことは、単純に、ラジオを聞く人と、聞かない人がいるだけなんだなってことですね。

おそらく、時間拘束が地方と都会で違うんですよ。
車の運転中って、Twitterはできないけど、ラジオは聞けるじゃないですか。
そういう感じで、地方ってやっぱり車移動が主流なんで。
通勤とかのときに、何をしているかって、やっぱりラジオとか音楽なんですよね。

そういう意味で、radikoってめちゃすごいなと思っていて。
リアルタイムじゃなくても大丈夫なんですよ。
ラジオって、リアルの楽しさはもちろんあるけど、「いつでも聞ける」というそのあとのコンテンツ活用につながっているのが、すごいなと思う。

今後、ザッピングさせないというのが非常に重要な指標になると思いますね。

そうなると、場所によっての生活スタイルの違いごとにアプローチの仕方を変えるというのはより意識してもいいんじゃないかなと思います。

テーマ2「音×注目事例」


ランボルギーニが車種別エンジン音を8Dの立体音響でサイトに載せたんですよね。
それで、広告費なしで760万impもついたという。
広告屋としてはあんまり言いたくない話ではあるんですけど(笑)

車好きな人ってエンジン音にものすごいこだわりがあったりすると思うんですけど、エンジン音をじっくり味わえるコンテンツをつくったというところと、コロナ下でドライブしにくい状態が続く中で、発信したというのが、それだけの注目に繋がったんじゃないかなと思います。


注目事例にまつわることでいうと、ずっと前から思っていることなんですけど、日本のCM・音などのアプローチが似ていることに違和感があるんですよね。
手法論でうごいてしまう日本企業というか。
いいよねってなったもの、みんなにウケたものを真似しようとするところに違和感があります。

TikTokとか見ているとそうですけど、すごいスピードで出てきて、同じくらいの量がどばっと消えてくじゃないですか。
生みだす側のトップがどんどん変わっているから、今、流行っているものを「さあ真似しよう」だと遅いことが多いんですよね。
作る側になるには、もうひとつ先を見ないといけないと思っています。
コンテンツ消費の速さがどんどん増しているということを念頭におかないとな、と。

もちろん、商材次第で、コモディティ化していれば流行ったものを「さあ真似しよう」でもいけるけど……。
商品を知ってもらう、使ってもらうには?がゴールなので、注目事例をみるにしても、良質なアテンションかどうかは見極めなければならないなと思いますね。


最近でいうと、個人的には日清の画面分割カップヌードルとか、面白かったなと思いますね。
何を言っているか分からないざわざわから、聞こえるようになるという仕掛けが凄いなと思いました。


日清のはたしかに、面白かったですよね。
最近の例でいくと、ポカリスエットのNEO合唱はやっぱすごかったですね。
コロナ下において、対応が早かったな~と思います。


ありがとうございます。
実は、あのポカリのデジタル広告部分はウチが担当させていただいていて……。
急に宣伝くさくなってしまいましたが、
ぜひ、みなさまからのご相談お待ちしております(笑)

テーマ3「音の場所・シーン」


みなさん「帝京平成大学」と「合宿免許WAO」って知ってますか?
知っている人はたぶん、ファミマに行っているんだと思うんですけど……。

その2つは、ファミマでよく音声広告を流しているんですよね。
「帝京平成大学」は、毎年有名な声優さんを起用しているらしく。

自分も家の近くのファミマによく行くので、そこで思ったのが、
コンビ二って「だらだらうろついてる+コンビ二に行くことが習慣化している」ので、繰り返して耳を占拠できる場所なんじゃないかな、と。

みなさんはそういった「場所×音」で感じることなどありますか?


音って、ダイレクトレスポンスにも活用できますよね。
実店舗のBGMとか、まさにその例だと思います。

コンビニで遅いテンポと早いテンポの音を流すと、早いテンポのほうが購入金額があがるっていう研究結果とかあるんですよ。

ただ、別の研究で、アメリカのスーパーでは逆らしく……。
結局どのテンポの曲がいいの!?ということになるのですが、
おそらくお国柄が影響しているのかな……と思っています。

店舗は最もクロージングに近い場所だと思うので、有効活用できるといいですね。


実店舗の例でいくと、スシローですね。
この前、スシローに行ったんですけど、「マグロ食べ比べ」というのをやっていて。
店員さんにまず、席に案内される時に言われるんですよ、「今、マグロ食べ比べを開催してます」って。
それで、そのあとも結構な頻度で館内放送されてて。
まったく食べる気なかったのに、最後たべちゃいましたもんね(笑)

耳は時間の拘束があまりないのでは?と思います。

「なんか耳が暇だな」という時が結構あるので、そこにアプローチするのはいいよな~、と。
例えば、ランニング中とか「なんか耳が暇だな」と思って、気になった本はオーディオブックで2倍速でおためししたりするんですけど。
耳で試して、買うか決めているんですよね。

そういう意味では、耳からくる新コンテンツって、もっと色々できそうですよね。
音から映像を想像させるとか、いけると思います。ページと音がリンクするとか。


色々なアイデアがでてきたので、つい「それいいね!」となりがちですが、
ただ耳が空いているところを埋めに行くだけだと、嫌われる広告になってしまうので気を付けたいですね(笑)

テーマ4「音のこれから」


いや~~~難しいんですよ!未来予測的なのって……!


そうですよね……!
すみませんが、未来は誰にも分からないという前提で、今見えているところがあればお伺いしたく……!


それでいうと、「音×コンテンツ」はこれから増えるだろうと思いますね。
あと、デバイス・イヤホンはいらなくなるよね。
それを企業がどう活用するか?は楽しみですね。

「どう企業が活用するか」もそうなんですけど、新しいものが登場したときにとりあえずやる、ができることが重要だなと思います。
やっぱりどうしても、後につづけ的になりがちな国だと思うので。

これからは誰も予測できないというのが大前提だけれど、音の重要性はあがると思っています。
最近って、毎日の情報量が多すぎて、何に触れたかわからないくらい更新していると思うんですよ。
それで、脳が疲れている。
そのなかで、聞くという五感は強いと思います。


これまでもそうでしたが、やはりテクノロジーとリンクして発達すると思います。

アレクサを使ったキャンペーンの例では、アレクサがレコメンドした商品は80%の人が購入するという海外の調査結果が出ているんですよ。
それだけ、機械学習が進んだり、日常に溶け込んだりしている証拠なんだと思います。

ほかにも、海外では「超音波マーケティング」というものがあって、
人には聞き取れないけれど、デバイスには聞き取れる周波数の音を活用したマーケティング手法があるのですが、それを活用したコカ・コーラの事例では、その周波数をCMに組み込んでデバイス連動させて、さらにGPS連動したタクシーがコーラをサンプリングしてくれるキャンペーンを行っていました。

そうやってテクノロジーの応用でよりリッチな体験を生み出して、ブランディングや購買につなげているんです。

サンプリングにそこまでするか!?という、海外ならではの規模感の事例ではあるのですが、音の未来は、テクノロジーの進化と今後も並走していくような気がします。

 

あとがき

盛りだくさんな内容のトークセッションでしたね……!
みなさんはどの切り口が特に気になりましたか?
本ウェビナー、そしてレポート記事が、少しでもみなさまのお役に立てば幸いです。

 

▼「アド耳2021」前半のレポートはこちら

【イベントレポート 前編】音マーケティング「時代×生活者から見た“音”の変化」

▼過去のウェビナーレポート記事はこちら

【イベントレポート】ヒット動画プランナーが語る!最新事例から読み解く SNS×動画マーケティング2021

【イベントレポート】インスタマーケを振り返る2020に潜入してきた。

この記事を読んでいる方へ

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新井 優奈

2020年にD2C Rに入社。ゲーム・コスメなどの案件にてプランニングとディレクションを担当。休日はカフェでまったりしがち。1番好きな食べ物はビターチョコレート。

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