【表現に敬意を持つ】クリエイティブとは?
高砂 知葉
こんにちは、クリエイティブプランナーの高砂です。
私はクリエイティブプランナーとして、デジタル広告の企画・ディレクションを中心に行っております。
突然ですが、皆さんはクリエイティブと向き合う際に大切にされていることってありますか?
「おもしろい広告・表現をすることでしょ?」
「低CPAでの獲得ができるためにどうするか考える!」
「ターゲットを知ってなんぼ!」
「これまでの数値傾向から読み解くこと!」 etc…
どれも大切なことですよね…!
「これをすることが絶対に正解です!!」ということがないからこそ悩む場面も多いですが、
試行錯誤を重ねることもまた“クリエイティブ“ではないでしょうか?!
私は、先日、【表現に敬意を持つこと】だと学びました!
皆さん、これってどういうことか、わかりますか…?
実は、先日、株式会社たきコーポレーション たき工房主催の【クリエイティブワークショップ】に参加いたしました。
その際、講師であるデザインアドバイザーの舟木さんよりいただいたフィードバック内のお言葉です。
初めて読んだ際に「そうですよね…! やっぱり敬意って大事ですね!」と率直に感じられたものの、
(ん?ちょっと待て。そもそも、表現に敬意を持つって具体的にはどうしたらいいのだろう…)と思いました。
結論、私も感覚的にしか理解できておらず、言語化できるまで落とし込めていませんでした。
そのため、今回クリエイティブワークショップを通して学んだ【表現に敬意を持つ】ということを、
私なりに分解・分析してみましたので、ご紹介させていただきたく思っております。
《こんな方にぜひ読んでほしい!》
☑広告全般に興味がある/これからクリエイティブ職を目指している方
☑自分の考えたクリエイティブが伝わっているのか不安…
☑自分が作ったクリエイティブに自信を持ちたい! など
前提として、このワークショップはクリエイティブを考える力の向上を目的とした内容になります。
クリエイティブワークショップ
《詳細》
講師:たきコーポレーション たき工房 デザインアドバイザー 舟木 真也さま
URL)https://www.taki.co.jp/lp/designadvisor/期間:2週間(週に1度発表の場があり、その日までに企画を行う)
・Vol.1)企画・プレゼンでーション⇒フィードバック
・Vol.2)前回のフィードバックを踏まえて、再企画・プレゼンテーション課題:下記テーマに基づいた広告の企画~キャッチコピー・カンプまでの制作
・テーマ「由緒ある日本原産ウィスキー(仮価格5,000~25,000円前後)を贈る」
・商材 「日本で製造されたウィスキー。製造・開発には約50年の期間を費やしており、
熟成年数も各年の気候によって判断される丹精込められたもの。」※上記以外は企画者の自由。(ターゲットや具体的な見せ方、コピーなども自由に考える)
私は課題を見て、「ウィスキー自体を幅広い年代層に楽しんでいただきたい。」また男性が飲む印象が強いのではないか?という仮説をもとに「女性ターゲットにも楽しんでいただけるようなビジュアルにしたい」と思いました。
OOH広告を想定に、実家へ帰省する際の手土産として持ち帰ることで幼少期とは異なった親子の時間を過ごせるような贈り物として考え始めました。
vol.1
テーマ:「娘と母が過ごす時間を贈る」
キャッチコピー:母と“女子会”をするのが夢だった。
意図:年齢を重ねたからこそできる母と娘の会話といつもの日常にこのウィスキーを贈ることで生まれる特別な時間を表現。
また母と娘のこれまでの時間とウィスキーの熟成年数の深みに反映。
このアウトプットに対して、舟木さまよりいただいたフィードバックは以下になります。
・商材とビジュアルの世界観は本当にマッチしているのか?
・商材の魅力は伝えられているのか?
フィードバックをいただき、はっとしました。
「きちんと私は商材のことを考えられていたのか…?」
「題材が変わっても使えるようなビジュアルではないか…?」
全体のビジュアルで見た際に綺麗な日本の風景なだけであって、広告としてなりたっていなかったと再確認しました。
Vol.1での企画・フィードバックをもとに反省点を考えました。
《反省点》
・ブランド価値とビジュアルの世界観があっていない
⇒課題商材の値段設定が高めにも関わらず、高級感がないトンマナ
・ビジュアルのまとまりや綺麗さを優先しており、商材が目立たない
⇒これではユーザーはなにが伝えたいのかが分からない
・キャッチコピーに固執したあまり、想定ターゲットとブランドイメージにズレが生じた
⇒そもそも「女子会」の表現はブランドイメージとマッチしていない
これらの反省点を生かし、【商材ならではの付加価値】を表現するために下記2点を再検討しました。
1. イメージ調査
∟ウィスキーを飲まれる方はどんなときに飲みたいのか?
∟どういう女性が飲んでいると憧れに変わるのか?
2. 贈り物としての価値の見出し方(表現の仕方)
∟特別な日に贈るプレゼントはどんなものが喜ばれるのか?
∟どういう経緯で贈り物を届けることで受け手が喜ぶのか?
vol.2
テーマ:「孫が成人した後、娘から母への贈り物」
キャッチコピー:育ててくれてありがとう。敵わない相手へ
意図:同じ過程(子育て)を超えたからこそ感じた母の偉大さを「敵わない相手」とし、コピーに。
これからも不変不動の存在である母と日本最高峰ウィスキーとして呼ばれ続けている商材を重ね合わせて表現。
Vol.1の反省点を生かし、商材理解を深め、高級感をビジュアルに落とし込みました。
また商材の市場地位と母親という今後も変わらない存在を重ねたことで、日常内の単なる母への贈り物から、特別感の演出をすることができました。
その結果、光栄なことにこのワークショップで優秀賞をいただきました。 以下、実際に舟木さまより頂いたコメントになります。
結論、【表現に敬意を持つ】とは?
簡単にいうと「クライアント・ユーザー双方にとって、ポジティブな印象がある表現」だと思っております。
広告とは本来クライアントや商材をユーザーに伝える手段であるため、クライアント目線とユーザー目線で広告表現を考え、落とし込む必要性があります。
《クライアント目線》
クライアントにとって、大切なことや想い
・ブランドイメージ/世界観の理解
・商材の歴史(経緯や背景)、文化
・どういう想いで商品開発にいたったのか? etc…
ユーザーに向けて存在している想いを理解した上で、どの手法でどこまで広告に落とし込むのかを考える必要があります。
《ユーザー目線》
ユーザーにとって、どう感情が動かされるか
・新たな発見
・驚き
・これまでの経験に伴う共感・同調 etc…
広告を見た際に、発見や共感があることで感情が動かされるようなきっかけを落とし込む必要性があります。
この2つの目線をもとに両者のバランスが取れた表現ができることで、この表現に敬意が生まれると考えており、Vol.2の企画では下記が対象になると思っております。
《クライアント目線》
ビジュアルの世界観の統一=ブランドイメージとの一致
《ユーザー目線》
キャッチコピー「敵わない相手」が母であること=自分の経験と照らし合わせた上で生まれる共感
ワークショップを通じて改めて広告の本来の目的は、商材とユーザーの架け橋であること、またその上で根源には【敬意】が存在していることを今回再確認しました。
これは全ての広告種別に置いてもいえることでデジタル広告も、もちろん例外ではないと思っております。
ただデジタル広告では数値を追うあまり、本来遵守すべき敬意をないがしろにしてしまうような表現も多いです。
広告を目にすることが日常化し、一部の方にとって不快感を与えてしまう広告も目にしてしまう時代となったからこそ、
D2C Rでは、この軸をぶらすことなく、バランスを考慮しながら、広告・クリエイティブと向きあっていきたいと思っております。
今回はクリエイティブプランナーの目線から、ワークショップで得た【表現に敬意を持つ】という学びを紹介しました。
第二弾として、デザイナー目線でも今後記事が展開予定ですので、ぜひそちらもご覧いただけますと幸いです。
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総合プランニング本部クリエイティブ部所属。 総合デザイン制作会社にて企画営業・ディレクターを経て、「もっとクリエイティブと向き合いたい!」と思い、D2C Rへ転職。これといった特定の趣味はないが、楽しそう!面白そう!があるとすぐ飛んでいきがち。 大学時代はメキシコに留学経験もあり。