Creative 2022.05.13

クリエイティブの質の向上は なぜ大切なのか?

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佐藤 輝久

クリエイティブ部の佐藤輝久です。

2022年3月まで静止画のデザイナーを担当しており、2022年4月からは新設されたディレクションチームの所属になり、
静止画の制作業務に加え、ディレクション業務も担当しています。

今回の記事は、先日公開された【表現に敬意を持つ】クリエイティブとは?(弊社クリエイティブプランナー高砂執筆)に引き続き、
クリエイティブワークショップを受けての記事となります。

 たきコーポレーション様主催の全4回のデザインワークショップの中から、
後半の2回で実施された内容にふれ、デザイナー目線での学びや気づきについてご紹介します。

《こんな方にぜひ読んでほしい!》

・デザイナーとしてレベルをあげたい方
・デジタル広告のクリエイティブのデザインについて興味、関心のある方
・デザインを内製している企業様で、クリエイタースタッフの教育、研修制度やキャリアアップについて関心をお持ちの方
・広告、広報、マーケティング領域をご担当されている方で制作したクリエイティブのデザインに何か違和感を感じている方

この記事を読んでいる方へ

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・SmartNewsの記事キーワードオーディエンス機能
・TikTokのブランドリフト調査のアップデート
・LINEの最適化地点に設定できる項目が追加
など広告担当者必見の内容になっています。

詳しく知りたい

はじめに

みなさんが、デジタル広告のクリエイティブに『求めていること』は何でしょうか?

●広告の定量的な効果をあげたい
●話題性のある広告を作りたい
●独自のブランドイメージをより認知させたい
●商材の情報を正確にターゲットに訴求したい
●ユーザーとの関係性を上手に築きたい

などなど、目的達成の手段の一つとして、近年、特にクリエイティブが果たす役割が重視され、
多くの期待が込められているように感じております。
世の中のクリエイティブに求められる期待にお応えできるように、D2C Rでは社をあげてクリエイティブの強化を図っています。

D2C Rのクリエイティブに対する目標と今回の施策

一般的にデジタル広告の良いところは、多数の訴求軸のクリエイティブを同時に配信できる点と、
すぐに広告効果を確認でき、「次の手」を高速で見つけ出すことができる点です。
そのため、KPI(指標)が「定量的な成果」となり、ターゲットや訴求軸、配信媒体などの「枠組み」をどうするのかを考えることが優先されがちです。「数値向上のため」に、クリエイティブはとにかく目を引くもの、クリックやタップにつながるもの、話題を呼べるものが優先され、本来の広告デザインで重要視されるべきブランドイメージからズレや違和感が生じたりと、ビジュアルの質への優先度は二番手、三番手に扱われがちです。

ブランドイメージを的確に表現した広告は、正しいブランド認知に不可欠です。
また、ブランドイメージの逸脱やズレは、ブランドイメージの低下にも繋がりかねません。

D2C Rはデジタル広告においてビジュアルの質も重視することで、正しいブランド認知やエンゲージメント、ファンの形成などといった価値を広告に与えていくことができると考えています。

クリエイティブを制作する上で、下記の4つの要素に偏りがないように意識し、総合的に精査し、その上でデザインしていきます。

その上で、クリエイティブの価値をより高めるために、クリエイティブ部では、
「驚き」と「共感」のあるクリエイティブ
を目標に掲げ、プランナーとデザイナー双方でこの目標を持って取り組んでいます。

 人は感情が動くことで広告や商品の印象が残り、行動に繋がると私たちは考えています。
具体的なアクションとしては、担当する制作物には制作意図の説明として「驚き」と「共感」の2点を説明できるように取り組んでいます。
さらには、この「驚き」と「共感」を与えるための発想力と表現力を、身につけていくことが成長に不可欠ではないかと考えています。

今回の後半2回のワークショップでは、提示されたラフスケッチから情報を咀嚼しデザインに起こすといったデザイナーの実務により近いものでした。
起こしたデザインをプレゼンし、フィードバックを受けて、表現をさらにブラッシュアップさせ、表現力向上を目標とした講座になります。

→前半の2回の商材理解、企画力、ブランドの捉え方を磨くワークショップに関する記事はこちら

自分自身もデザイナーとして表現力に課題を感じていたため、このワークショップを通して少しでも表現力を磨き、日常の業務に活かしていきたいと考え参加しました。

デザインのブラッシュアップ(質の向上)を意味することは、クライアントの求める高い要望に応えることにも繋がりますが、広告表現を視覚的に最適化をかけていくことになるため、届くメッセージもより洗練され、ターゲットへさらなる理解と共感そして驚きをもってもらうことにつながると考えました。

クリエイティブワークショップvol.3、vol.4の内容

《詳細》
講師:たきコーポレーション たき工房 デザインアドバイザー 舟木 真也さま
   URL
https://www.taki.co.jp/lp/designadvisor/

期間:2週間(週に1度発表の場があり、発表の前日までに課題を提出します)  
 ↓
Vol.3の前日までに課題の制作、提出
 
●Vol.3)制作物のプレゼン舟木様よりフィードバック
 ↓
Vol.4の前日までにブラッシュアップ案の制作、提出
 ↓
●Vol.4)前回のフィードバックを踏まえて、ブラッシュアップ、プレゼンテーション

課題:
 ・商材:某国内メーカーのガム
 ・ターゲット:20代〜30代前半の男女
 ・制作アイテム:facebookのスクエアバナー
 ・ビジュアルコンセプト:目には見えない息を「スーハー」というコピーをメインビジュアルにして商品のもつ爽やかさ、
             スッキリ感を表現します。また、バックのテクスチャーはミントの香りの持続性とシャープ感を
             スタイリッシュに表現しています。

(ラフスケッチは諸事情のためぼかしを入れさせております。)

このラフをもとに、制作するうえで意識したこと

①製品、ブランドのトンマナを理解、尊重して視覚化する
vol.1のワークショップでは、ブランドがもつイメージを大切にしてデザインすることで、多くのメリット(ターゲットへのブランドの正しい認知を生み出せる点、クライアント側への信頼感、安心感に繋がる点)を舟木様よりご指導いただきました。
その点を意識し、このガムの製品のwebページやパッケージデザインを観察してみました。

観察したところ正方形をならべたビジュアルが使用されており、ターゲットとなる20代〜30代前半の世代に製品のもつスッキリ感、シャープなイメージを共感してもらうためのブランドイメージであると考察しました。ブランドイメージを大切にしたいと考え、正方形のあしらいを背景に用いようと考えました。さらに、より息を表現していることが感じられるように、正方形をランダムに配置したデザインとしました。
また、色彩についても製品の特徴であるミントをイメージするグリーンをメインカラーとして使用してみました。

②広告で伝えたメッセージを整理して、ターゲットにも共感できるよう視覚化する
デザインする上で意識した点を下記にまとめます。

クライアント目線で意識したこと  :吐き出す息の爽快感が伝わる形状であること。
ターゲット目線で意識したこと   :ターゲットである若者に理解されやすい形状であること。
Facebook上での表示で意識したこと:シンプルに見せ、訴求内容をぱっと理解できること。

そのうえで、クライアントとターゲットとの間で共感を持たせる方法として、両者が同じ体験をしたこと、記憶している事象をデザインで再現することで、共感のあるクリエイティブを作ることができると考えました。

スーハーと普段、吐き出す息は何も見えません。ただ、冬の寒い日に吐いた息がどう見えるかは、どの人もほぼ見たことがあるかと思います。そのため、透明感を感じる色や質感を意識しました。

一方で、形状はどうでしょうか?

白いほわほわとした蒸気が横から斜め上へと上がって消えていきます。
この見える白い湯気の動きが息の動きであるとの認識をもつゆえに、吐き出される息の形状を想起できるようにスーハーの文字を横長で上に向かっていくビジュアルとしてみました。    

背景はミントをイメージするようにグリーンのグラデーションを引いて、空間を演出できるようにしました。

③実際に配信したときにどう見えるかを想定する
今回はfacebookのスクエア広告を想定。きちんとテキストを視認できるか、ぱっと見で情報が理解できるかを考慮しました。
(制作したビジュアルをお見せしたいところではありますが、諸事情により非公開とさせていただきます。)

ビジュアルを作成しプレゼンテーションを行った後、下記のフィードバックをいただけました。

上記のフィードバックを受けて、ブラッシュアップしていきました。

1.タグラインを大きく修正
文字を大きく調整しました。なお、他のメンバーの作品の発表を聞いた中で、この製品の良いところ、アピールするべき点として「長続き」する点も、ユーザーへ強調すべき要素だと気づき、「長」の部分は少し大きくしてメリットが伝わるように工夫してみました。

2.季節感をなくし、トーンをスタイリッシュに修正
スーハーの周りにちりばめた光彩は自分では、清潔感、清涼感を演出する目的で配置したのですが、この光彩が雪のようにも見えてしまうので、全体的にかわいらしい冬といったメッセージも与えてしまい、クライアントが伝えたいメッセージと表現がずれてきてしまうというご指摘をいただきました。

季節感が出ないよう、ちりばめた光彩をとりました。そこから、「よりスタイリッシュに」するためにどうしたら良いかを考えました。製品紹介サイトのデザインのトーンがまさにスタイリッシュに表現されていたので、そのデザインを取り入れ、正方形の入れ方、グラデーションの色味を再考しました。その際に、背景の白い領域を増やしたため、スーハーの文字がそのままの色味だと、コントラストが下がり可読性が落ちてしまうので、スーハーの文字のシャドウをグリーンから黒くさせコントラストを上げ、可読性をもたせつつ、クールなトーンに調整しました。

3.パッケージのドロップシャドウを白の光彩に修正
ブラッシュアップ前は、製品の存在感を出すために、黒めのドロップシャドウを施し、パッケージを自然に見せたらよいかと考えておりました。舟木様のフィードバックを受けて、商品が輝いて見えるように周りを白い光彩に変更しました。白い光彩にすることで、商品のもつ清潔さ、爽やかさ、登場感がよりきちんと伝わる表現であると実感することができ、修正の内容に対してとても納得感を得ることができました。

ブラッシュアップ後のビジュアルにて再度、プレゼンテーションを行いました。下記のフィードバックと共に優秀賞もいただくことができました!

さいごに

ワークショップから得た気づきを日常の業務に生かすために、デザイナーが大事にしていきたいアクションについて、考えてみました。

1.まず相手を「知る」こと、「理解」すること
高砂の記事で「表現に敬意をもつ」こととありましたが、「敬意をもつ」ためにはまずは、クライアントが大切にしたいこと、実現したいことを「知り」、また、ユーザーが考えていること、求めていることも「知り」、とにかく両者のニーズを理解することが大切です。それに付随し、競合他社製品など、世の中のことも含めて、なんでも「知る」ことが大切かと思います。

2.「思いやり」をもつこと。「寄り添う」こと
上記の4つの要素をマッチングできるよう組み立てていく際に、「思いやり」 をもてているか?
という点も大事な姿勢であるかと思いました。

デザイナーにおいてはクライアントとユーザーがどういった表現であれば、より喜んでもらえるのだろうか?ということを常に考え、表現していくことだと思います。
つまり、寄り添うことで、お互いを知ることができ、クライアントには仕事を一緒に進めるパートナーとして安心感や信頼関係を築くための要素になると考えました。

3.そもそも自分がその商材を「好き」であるか?
商材、ブランド、その企業について自分が「好き」になれば、商材についてもっと詳しく知りたくなりますし、他の人にも良さを知ってほしいという気分にもなります。結果、商材やその企業に対してまでも、自然と積極的に向かいあいたくなってきます。
また、なぜ好きになれたのかを分析していくことで、「好き」になるプロセスを見い出すことにもつながってくるかと思います。
そもそも、広告は商材を「知らない」人、関心はあるが「購入までに至らない」人が見るということが前提です。

そのことを常に念頭に置き、どうしたら「知ってもらえる」のか、「購入したく」なれるのか?を中立的なポジションで提案していくこともデザイナーの役割であるかと思いました。

4.デザインの知識、ひきだしをもつこと
同業他社、製品のデザイン、それ以外にも業種問わない幅広いデザイン表現を知っていることで、「〇〇っぽいイメージで」と、オーダーを受けたときに、「この表現ね」とすぐに理解し、再現できることで、業務が円滑にすることができる重要な要素だと思いました。そのためにもできる限り、「質」の高いデザインにたくさん触れ、インプットすることで、より「質」の高いデザインをすることができるようになるため、とても大切なことだと思いました。

5.表現が本当に最適解か、他の人からも客観的に検証してもらうこと
今回のワークショップでは舟木様から 客観的かつ具体的なフィードバックをいただくことで表現をよりブラッシュアップすることができました。
また、フィードバックの中で、デザインを見る人によって、制作者の意図しない別の意味で捉えてしまうような表現にならないよう検証することが大切であること改めて気づくことができました。
他の人からフィードバックをもらうことで、自分のデザインの検証の「ブレ」を自覚でき、より最適な表現へブラッシュアップにつなげられる点がとてもメリットに感じることができました。

たき工房様でのブログをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

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佐藤 輝久

総合プランニング本部クリエイティブ部所属。 前職はデザイン制作会社にて紙媒体をメインとしたデザイン、ディレクション業務を経験。「デジタル媒体のデザインも触れたい」と考え、D2C Rへ転職。趣味はガーデニング。自宅でバラや果樹の栽培、寄せ植えを楽しみ、ディスプレイと向き合う毎日をリフレッシュ。二児の父。

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