Creative 2022.05.24

ゲームキャラを広告で引き立たせるための表現のロジックとは

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北澤 康成

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クリエイティブプランナーの北澤康成です。
前回の記事では「クレジットカード」にスポットを当て運用型広告のクリエイティブづくりについてお届けいたしました。
今回は新たに「ソーシャルゲームのキャラクター」に焦点を当て、キャラクターをクリエイティブで表現し、広告効果を高めていくための3ステップについてお話させていただきます。

ステップ1:属性の因数分解

キャラクターには必ず「属性」というものが存在します。

火属性とか水属性……も、そうですが、キャラの外見の要素、内面の要素、設定の要素……そうした、キャラの構成要素である「属性」について、どのようなものが備わっているのかを徹底的に洗い出す(=因数分解)が1歩目のステップとなります。

分かりやすい例を挙げると……

■外見の属性
・髪の色、肌の色、目の色、ケモノ系、服装、背丈、体格、……

■内面の属性
・ツンデレ、ヤンデレ、クール、熱血、3枚目、ドジっ子、無口、天然、優しい、腹黒い……

■設定の属性
・職業、生い立ち、種族、主人公との関係性、物語の役割……

上記はほんの一例であり、とてもこのスペースには収まらないほどの「属性」が存在します。

そして「キャラクター単体」というフレームからそのキャラクターを構成する各要素を分解し、特にインパクトが強い属性に着目することが肝心なのです。
インパクトが強い属性は、具体的には下記のような観点から導き出されます。

・キャラクターを見たときに真っ先に感じる印象
・そのキャラクターを一言で表すなら?といわれパッと浮かんだもの
・(声優さんがいる場合)どういった特徴を演技で強く表現しているか

こうした視点でキャラクターを見たときに、すぐに思い浮かぶような要素こそ、インパクトが強い属性であることが多いので特に意識するとよいでしょう。

今こちらを読んでいるあなたにも、あなた自身を示す外見的要素、内面の要素は数多く存在しますよね?それらをしっかりと加味して自分のスタイルに合った服を着たり、家具をそろえたりするはず。

まさにこの因数分解は、そうした「その人ならではの個性」を演出するために欠かせない要素を発見するということです。
さて、しっかりとキャラの属性を把握し、インパクトのある属性をピックアップしてしまえば後はそれをアピールする広告を作っておしまい……ではなく、次に欠かせないポイントが存在します。

それは「ユーザーの因数分解」
続いては、ユーザーがキャラクターに求めるものや好むものについて考察する、ということに関しお話させていただきますね。

ステップ2:ユーザーの因数分解

ゲームキャラクターと同じように、ユーザーにも「属性」はそれぞれ。
あるキャラクターを見たときに、何を感じ、何を求め、何を期待するのかは千差万別といえるでしょう。
それらの要素を深く考察せず、「美少女ゲーム好き」「RPG好き」といった大枠でユーザーを設定するのは、広告効果の低下、停滞を生み出す原因となります。

「成人男性」「子供」という大枠だけで服を選ぶより、その人の個性や好みをつかんで適切に服を選んでプレゼントしてあげた方が何倍も喜んでもらえますよね?それと同様に、ユーザーの属性を紐解き解像度を上げていくことは、適切にキャラクターの魅力を、ひいてはゲームの魅力を伝えきるのに必要不可欠な要素です。

「美少女ゲーム好き」という属性を基に考えると、

・具体的にどんな美少女ゲームのどこが好き?(設定、キャラのビジュアル、ゲーム性……)
・設定が好きとすると、どんなところに興味をそそられる?
・ビジュアルに惹かれるとすると、具体的にはどんなところが好き?
・ゲーム性の好きな部分は、具体的にどういうところ……?

こうした視点でユーザーに向き合い、まずどういう趣味や嗜好、興味のツボ(属性)を持っているかを徹底的に洗います。
そしてある程度数が出てきたら、なぜそうした属性を持っているのか、を考察していきます。

・クールなキャラクターの性格に惹かれる理由は?
 →ふとした時に見せる弱弱しさを見て、自分が守らねば、という意識がわくから。

・銀髪キャラが好きな理由は?
 →ミステリアスさに惹かれると同時に、類似する銀髪キャラの持つ○○という一面を想起しているから

・女神という属性に心が躍る理由は?
 →心のどこかで誰かに甘えたい、母性に包まれたいという願望の現れ。

というように、ユーザーが「何故その属性を持つに至ったのか、なぜその属性に心惹かれるようになったのか」という点をひたむきに掘り下げていくことが肝心なのです。

掘り下げ方のポイントは、とにかく人を観察すること
ソーシャルリスニングから、実際の知人に話を聞く、といった手法を使い、ありとあらゆる形で人に触れ、人を見つめて、人を知ることがユーザーを因数分解する上で欠かせない要素だと考えています。
頭の中で考えた都合のいいユーザー像にすがらないよう、シビアに、様々な切り口や角度からユーザーの心理を紐解く姿勢が問われるといえるでしょう。

それを行うことによりユーザーの心が動くロジックが見え、ステップ1で発見したキャラの属性をどのように見せればCVに直結するか、その突破口が見えるようになるでしょう。そうなれば、後は最後のステップで実際に適切な「表現の型」を検討するのみ。

最後のステップでは、具体的なキャラクターを設定し、表現の型を決定するプロセスを紹介いたします。

ステップ3:表現の型を決定

今回は例として、下記のキャラクターを使用します。
※画像のテキストは全て架空のものになります。

 

このキャラクターの属性を整理すると……

■外見:「黒髪長髪」「ぬいぐるみ」「目のクマ」「紫の衣服」「陰のある笑み」
■内面:「ヤンデレ」「普段はおとなしい」「実は激情タイプ」「純粋(よくも悪くも)」
■設定:「主人公と同世代」「主人公に昔命を助けられた」「ゲーム性能としてはカウンターがウリ」

やはりなんといってもインパクトがありそうなのは「ヤンデレ」であり、今回はそこを軸に考えていくことにしましょう。
次に、このキャラクターの魅力を伝えたいユーザーの属性についても同様に並べると……

・王道系よりは尖っているキャラクターが好き
・重い愛を実感したい、自分だけを見つめるようなキャラクターが好き
・平常時と愛の重さが垣間見える瞬間のギャップにドキドキしてしまう
・「闇」の雰囲気に中二病チックなあこがれを抱いている

……といったあたりが想定されます。

後はキャラの属性と、ユーザーの属性を掛け合わせ、一番魅力的に見える表現を考えるだけです。
今回は彼女の持つ「ヤンデレ」要素を軸に「二面性」や「闇感(中二病感)」を伝える表現として、「文字組」の表現を採用しました。

いかがでしょうか?背景の文字の羅列がクールかつダークなデザインとして機能しているだけでなく、まさにそうした雰囲気が好きな人が好きなワードをちりばめていることで想像を膨らませ、興味を抱かせる作りとなっています。

ただ単に名前や声優名を入れただけの広告よりも、思わずユーザーが手を止めて見てしまうイメージや初めて広告を見たときのユーザーの感情がより思い浮かぶ形になっていると思われます。

そうしたイメージが浮かぶ=設計がしっかりしているクリエイティブこそ、安定した効果や有益な検証に有益に働く可能性が高いもの。
複数の表現の型を試し、それぞれの効果の違いを検証するというのも非常に有用です。ただ闇雲に検証を行うよりも、広告に載せるキャラクターやユーザーのことを理解したうえで配信する方が、しっかりしたロジックを基盤とし仮説を立てられ検証結果の有用性も上昇するのです。

まとめ

今回の記事で主張したい点をまとめますと、下記の3点になります。

〇キャラクターの広告表現は、効果に直結する重要なファクター
〇キャラクターそのものと、それを好むユーザーの属性に着目することが肝心
〇キャラクターとユーザーそれぞれに最適な見せ方を検討することで、感情に訴える効果的な広告が制作できる

 

僕自身、広告業界に入る前はソーシャルゲームのプランナーとして様々なキャラクターの設定や、シナリオ、さらにはレベルデザインまで数多く考案してきました。

だからこそそれらの産みの苦しみは痛いほどわかりますし、せっかく産み出された唯一無二のキャラクターだからこそ、広告というステージで最大限に魅力を発揮させたいと考えています。

今回、紹介したステップやロジックを参考にしていただけますと幸いです。

 

過去5回シリーズの記事はこちらから☟

一つのクリエイティブアイディアを考える際に、
「どんなコンテンツ」で「どんなターゲット」に「どんなメディア」で配信するかを
基本の軸としてクリエイティブを考えるため、この考え方を当てはめながら、当たりクリエイティブの要因を解説しています。

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北澤 康成

2019年にD2C Rに入社。主にゲーム案件にてプランニングとディレクションを担当。 爬虫類飼育に本格的にハマり中。 相手の変化量を少しでも増やせるようなクリエイティブ制作に日々奮闘中。

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