B to B運用型広告を400本分析して見つけたクリエイティブパターン11選
鈴木 雄太
【CreatorZine転載分】
こんにちは。株式会社D2C Rクリエイティブプランナーの鈴木です。
前回の記事ではプログラミングスクールというコンテンツに焦点を当て、運用型広告のクリエイティブについてお届けしました。
今回は少し大きなくくりにはなりますが「B to Bの運用型広告」というコンテンツに関して少しお話をさせていただければと思います。
目次
B to Bバナー広告を400本分析したきっかけ
とある日、上司に呼び出され「○○(B to Bのクライアント)の運用型広告をお手伝いさせてもらえるようになったからよろしく!」とよばれ私は「承知しました!全力でやらせていただきます!」と勢いよく返答。B to B商材をやらせてもらうのも初めてだし頑張るぞ~奮い立ったのも束の間、B to Bの特有の難しさに「これ、どうすればええんや」状態に…。そこで上司に解決策を聞いた所、「まずはB to Bの運用型広告を分析しろ!」と言われたので、他メンバーの力も借りながら約400本ほどB to Bの運用型広告を収集&分析いたしました。
そして今回の分析で特に多くみられたクリエイティブパターンを紹介いたしますので、クリエイティブ制作に困っている方は参考にしていただければと思います。
B to B商材の特徴
クリエイティブパターンを紹介する前にB to B商材を扱う上で理解しておかなければならない特徴を抑えておきましょう。
▼B to Bの商材を扱う上で抑えておくべき特徴
ターゲット
企業向けのため該当するターゲットが少なく、配信規模やアクセス数が伸びづらい決裁者
単独で判断することは少なく、複数いる場合が多い購入基準
コストや、仕様、機能など以外にも取引先にふさわしい企業(信頼)かどうかなど多角的な面を検討し購入に至る
参考:BtoB向け広告を成功させる方法とは|広告の選び方と事例を解説 | MOLTS
参考:改めて整理したいBtoBのマーケティング施策。BtoCとの違いとは | サイト改善
(上記の2つの記事はとても参考になるので、B to Bのマーケティングに携わる方は一読をおススメいたします!)
上記の特徴を踏まえた上でB to B運用型広告のクリエイティブパターンを見ていきましょう。
コンテンツがあれば絶対にやるべきクリエイティブ3パターン
①ホワイトペーパー
②セミナー開催を告知
③数字を用いた事例改善
分析した中で見えたクリエイティブ8パターン
④だれでも簡単に扱える
⑤他社との実績
⑥ツール導入が完了するまでの早さ
⑦担当者の悩みを言語化し、共感を誘う
⑧あえて狭めたターゲットへの指定
⑨理解が難しい商材をマンガで解説する
⑩長文テキストで問いかけ
⑪商材の機能を可視化
コンテンツがあれば絶対にやるべきクリエイティブ3パターン
まずは配信されている数が最も多かったクリエイティブパターン3つの紹介です。
こちらの3パターンはB to B企業の多くが出しているものになりますので、配信できるコンテンツがあれば積極的に使っていくことをおススメします。
①ホワイトペーパー
ユーザーの抱える問題に対し、その解決作を具体的に提示することで獲得が狙えるクリエイティブです。ターゲットが興味を持つようなタイトルであれば表紙だけで注目を集めることもできますし、内容を少しだけ公開することで続きを読んでみたいという感情を引き出すことも可能です。また、Facebookで活用できる「カルーセルクリエイティブ」で5~10ページほど内容を公開する手法とも相性がいいことが考えられます。
②セミナー開催を告知
B to B マーケティングにおいては外せない手法であるセミナー。影響力のある有名人をセミナーに呼ぶことで潜在層へのアプローチも可能です。あるいは商品のメリットを使用法を通して伝えるセミナーであれば、すでに商品に対して興味はある顕在層への最後の一押しになるでしょう。
③数字を用いた事例改善
実際に事例が改善したケースを数字を用いながら表現することで、「本当に商材を使ったら改善できるんだ」といった信頼を引き出すことができるクリエイティブです。また自分の上司を説得する際にエビデンスになるといった要素も良効果を生み出している要因である可能性が考えられます。
分析した中で見えたクリエイティブ8パターン
前述したとおり、ホワイトペーパー、セミナー、改善事例はコンテンツありきです。クリエイティブのパターンとしては圧倒的に多いので、あればもちろんやることをおすすめしますが、上記の3コンテンツが無い場合も考えられるかと思います。
ですのでここからは、より「クリエイティブの表現上の工夫」で見られたパターンを紹介いたします。
④だれでも簡単に扱える
導入前の大きなハードルである「社員が使いこなせるのか?」という不安を取り除くことで獲得を狙うクリエイティブです。WalkMeと日経BPコンサルティングが発表した「SaaS導入後の具体的な課題」の1位が「システムの操作方法を理解していない」となっていることからも使い方が簡単であることはB to B商材において大事な要素となってくることが考えられます。
⑤他社との実績
その業界に知見がないと仮に商材が気になったとしても「この会社に依頼して大丈夫なのだろうか?」という不安が出るのは当然です。「800社以上と取引があること」や「シェアNo,1」といった他社との実績を強調することで安心感を与え獲得を狙うことができます。
可能であれば実際に取引がある大手の社名を入れることで、より安心感が醸成されることも考えられます。
⑥ツール導入が完了するまでの早さ
一刻も早く課題を解決したいターゲットや成果を出したいターゲットに効果的なクリエイティブです。B to B商材は導入まで時間がかかるケースが多くみられるため、早さをアピールすることは競合他社と比較して大きな差別化ポイントとなる可能性があります。
⑦ターゲットの悩みを言語化し、共感を誘う
ターゲットの悩みを言語化することで、ターゲットの「確かに!」といった共感を誘いだし注目を集めるクリエイティブです。B to B商材の場合、ファクトや実績をクリエイティブに落とし理性に訴えかけるクリエイティブが前述の通り多く存在します。
しかしその中であえて理性ではなく、共感という感性に訴えかけるクリエティブを制作することでいままで獲得出来なかったターゲットの興味を引くことができる可能性があります。
例えば自社商品の広告効果が芳しくないターゲットに対しファクトベースのクリエイティブと共感を誘うクリエイティブを作り分けると下記のようになります。
ファクト :○○(ツール名)なら広告のPDCAがうまく回る!
共感を誘う:うちが頼んでいる代理店、今年に入ってから「来月には効果改善します!」しか言ってない…
この2つを実際に見比べてみていかがでしょうか?
Aのコピーでは興味を持たなかったターゲットが、Bのコピーを見た際は「確かにそうだな」という共感から興味を持つことがあると思いませんか?
ファクトベースのクリエイティブばかり制作している場合であれば、一度このような「感性」に訴えかけるクリエイティブを制作することをおススメします。
⑧あえて狭めたターゲットへの指定
「飲食店オーナーの皆様」のようにあえて狭いターゲットを名指しすることで「これ私のことだ」という感情をひきだし注目を集めるクリエイティブです。このクリエイティブのメリットとしてターゲットを名指しで配信するため、そうじゃないターゲットは反応しないことが想定されます。これにより確度の低いターゲットをはじくことができることに加え、媒体の最適化が早く進むという可能性が高くなります。
⑨理解が難しい商材をマンガで解説する
B to B商材の場合、直接お客様に説明しないと理解が難しいサービスが多くあり広告&LPを見ただけでは商材に対して興味、関心が低いターゲットは離れてしまう可能性があります。そのようなターゲットにはマンガ広告を使用しながらストーリーにのせて商材を説明することで、理解が進み獲得できるケースが予測されます。
マンガ広告のメリット、デメリットに関してはトレンド・プロさんがより詳しく記事を書いてくださっているのでこちらも参考にしていただければと思います。
⑩長文テキストのクリエイティブで問いかけ
長文テキストのクリエイティブにすることでタイムライン上で目立たせつつ、ターゲットに話しかけるような表現を使用することで注目を集めるクリエイティブです。
こちらは情報量が多いクリエイティブとなっているため、広告面が大きく表示されるFacebookのストーリー面と相性がいいことが考えられます。
こちら長文テキストクリエイティブの成功事例はソウルドアウト様の記事にもありますので、下記をご一読いただくとより参考になるかと思います。
参考:BtoB業界で勝つためのFacebook広告のクリエイティブ、ターゲティングのコツとは?|ソウルドアウト株式会社|note
⑪商材の機能を可視化
実際の機能の一部を見せることでターゲットに対し利用イメージをわかせ、獲得を狙うクリエイティブです。
こちらのクリエイティブは機能を言葉だけで伝えるのが難しいB to B商材と相性が良く、流れが早いSNSのタイムライン上においても直感的に機能を理解させることが可能です。
まとめ
今回はB to B運用型広告のクリエイティブパターンを紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか?
B to Cと「ターゲットのことを考える」という根本は共通していますが、表現でいうとB to B固有のものがいくつかあったかと思います。
実際に配信するクリエイティブを制作してみようと思うと、どんなクリエイティブをつくればいいのかわからなくなってしまうケースも少なくありません。
そんな時はぜひこの記事を思い出して、参考にしていただけますと幸いです。
それでは次回もお楽しみに!
出典元
MOLTS「BtoB向け広告を成功させる方法とは|広告の選び方と事例を解説 | MOLTS」
MARKEIT「改めて整理したいBtoBのマーケティング施策。BtoCとの違いとは | サイト改善」
Forum「SaaS導入後の課題は「ユーザーへの定着化」が最多、対策するも成果の実感は少なめ【WalkMe調べ】」
トレンド・プロ「漫画広告って効果あるの?メリットをまとめました | 株式会社トレンド・プロ」
ソウルドアウト株式会社「BtoB業界で勝つためのFacebook広告のクリエイティブ、ターゲティングのコツとは?|ソウルドアウト株式会社|note」
2019年より総合プランニング本部クリエイティブ部所属。休日の過ごし方はもっぱら昼のみ。そのため中性脂肪が大変なことになっており、手軽な運動から始めようと思っているが、なかなか動けず。