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最終更新日: 2025年06月04日

リフト値とは?メリット・計算式・マーケティングでの使い方をわかりやすく解説

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この記事を読んでる方へ

ドコモデータ×リフト分析

ドコモデータ分析ソリューション
docomo data square(dds)では
ユーザーの行動データから
購買行動へのリフト分析が可能。
ぜひ一度お問い合わせください。

みなさん、こんにちは。

マーケティングの現場では、施策の「本当の効果」を見極めるための指標がますます重要になっています。その中で注目を集めているのが、「リフト値」という概念です。

リフト値は、広告やキャンペーンによってどれだけ行動(購買・来店・登録など)が増加したかを定量的に示す指標であり、従来のコンバージョン率やクリック率だけでは見えにくい「施策の純粋な効果」を測定することができます。

この記事では、リフト値の基本的な意味や計算方法はもちろん、A/Bテストとの関係や、実際のマーケティング施策にどう活かせるのかまでをわかりやすく解説します。

リフト値とは?

リフト値とは?

リフト値(Lift Value)とは、マーケティング施策によって「対象者の行動がどれだけ増加したか」を測る指標です。広告やキャンペーンを実施したグループ(テスト群)と、施策を行わなかったグループ(対照群)を比較することで、純粋な施策効果を数値化できます。

たとえば、新商品を紹介するバナー広告を配信した場合、広告を見た人の購買率と、見ていない人の購買率を比較することで、広告による購買行動の“上乗せ効果”を可視化できます。このとき、「広告を見た人の購入率が10%、見ていない人が5%」なら、リフト値は2.0になります。

リフト値が 1.0 より高ければ効果あり、1.0 より低ければ逆効果という判断が可能です。

リフト値分析のメリット

リフト値分析には、以下のようなマーケティング上のメリットがあります。

  • 施策の「純粋な効果」がわかる
     リフト値は、他の影響を排除して広告・施策そのものがもたらした増加分を示します。CVR(コンバージョン率)のような絶対値では測れない、背景要因をコントロールした比較が可能です。
  • A/Bテストとの相性が良い
     ターゲットを均等に分けて施策の有無を検証することで、より信頼性の高いデータが得られます。小売やEC、アプリ施策など、実際の行動データを活用する領域で特に有効です。
  • 短期施策の効果測定に強い
     一時的なキャンペーンやクーポン配布の影響など、期間限定の施策でも成果を見極めることができ、次の施策立案に役立ちます。

リフト値と類似指標との違い

リフト値と一緒に計測される指標に、CVR(コンバージョン率)やROAS(広告費用対効果)などがあります。これらは確かに施策の成果を評価するための重要な数値ですが、以下のように使い分けをします。

指標内容特徴
リフト値テスト群と対照群の成果を
比較して効果を測定
相対的な
「上乗せ効果」を評価
CVR広告を見た人の何%が
購入・登録したか
絶対値
他要因の影響を受けやすい
ROAS売上 ÷ 広告費で
算出される費用対効果
売上で投資効率を評価
売上が多くても
利益が少ないと見誤る可能性

特に、「広告を出せば一定数のCVは得られるが、それが広告によるものか他の要因かはCVRやROASではわかりにくい」という点で、リフト値が役割を果たします。

リフト値の計算方法

リフト値は、広告や販促施策の効果を「どれだけ成果が増えたか」という視点で定量化できる指標です。正確なリフト値を算出するには、施策の影響を受けたグループと、そうでないグループを比較する必要があります。そのため、数式や分析設計における理解が欠かせません。

ここでは、リフト値の基本的な計算式から、リフト値が示す意味、そして適切に算出するために用いられる代表的な分析手法を詳しく解説します。

基本の計算式

リフト値の計算式は、以下の通りです。

リフト値 = テスト群の成果率 ÷ コントロール群の成果率

例えば、

「広告を配信したユーザーの購入率が12%」「配信していないユーザーの購入率が6%」だった場合

リフト値 = 12 ÷ 6 = 2.0

この場合、「広告によって購入行動が2倍になった」という意味になります。

※成果率とは?
成果率は、主に「コンバージョン率(CVR)」「来店率」「登録率」などのKPIが設定されます。

リフト値1.0以上・1.0未満の意味

リフト値が示す数値の意味は以下の通りです。

  • リフト値 > 1.0
     → テスト群の成果がコントロール群を上回っており、施策にポジティブな効果があったと判断される。
  • リフト値 = 1.0
     → テスト群とコントロール群に違いが見られず、効果なし(中立)と判断される。
  • リフト値 < 1.0
     → テスト群の成果が下回っており、施策がネガティブな影響を与えた可能性がある。

リフト値は「施策によってどれほど差分が生まれたか」を示すため、1.0を基準にプラス・マイナスの判断を行います。なお、リフト値の変動は母数や母集団の偏りによって左右されるため、十分なサンプル数の確保が重要です。

リフト値の確認に使われる分析手法(A/Bテスト・対照群)

リフト値を正しく算出・活用するためには、以下のような分析手法が用いられます。

A/Bテスト

施策の「有無」による成果の違いを比較するための最も基本的な方法です。ランダムに分けられた2つのグループに対して、片方に施策(広告配信・クーポン提示など)を行い、もう一方には何もせず、結果を比較します。

  • 特徴:高い信頼性、因果関係の明確化
  • 適用例:広告配信の有無、UI変更、文言の違いなど

マッチド・コントロール法

ユーザーの属性や行動履歴が似た人をグルーピングし、片方に施策を適用して比較します。純粋なランダム分割が難しいケースに適しています。

  • 特徴:バイアス軽減、外的要因のコントロール
  • 適用例:購買履歴を持つユーザーにのみリターゲティング広告を配信する際の比較

プレポスト分析

施策の前後で同一グループの行動を比較する手法です。正確な対照群を作れない場合に用いられることが多いですが、外部要因の影響を受けやすい点に注意が必要です。

  • 特徴:短期施策で実施しやすい
  • 適用例:イベント、セール、キャンペーン時の来店数比較

回帰分析・因果推論モデル

機械学習や統計的因果推論(DID、PSM、ベイズ推定など)を用いて、複雑な要因が絡む場合でもリフト値を定量的に抽出します。大規模なデータ分析や複数施策の同時評価に有効です。

  • 特徴:複雑な要因を整理し、定量化可能
  • 適用例:大規模プロモーション、複数チャネルでの施策比較

ドコモデータを活用したリフト分析

ドコモデータを活用したリフト分析

リフト値をマーケティングで活かすには、ただ効果を「測る」だけでなく、“リフトを高める施策を設計する”視点が不可欠です。そこでNTTドコモのデータを活用したdocomo data squareのリフト分析です。

docomo data squareでは、全国規模で取得された高精度な位置情報データ購買・店舗来訪データを掛け合わせることで、「どのエリアの」「どのような属性の人が」「どの施策で反応したか」を詳細に可視化できます。

このデータ基盤を活用すれば、以下のようなリフト分析と施策改善のPDCAを一気通貫で実現できます。

  • 施策前分析
     位置情報と購買行動から「リフト値が上がりそうなターゲット層・地域」を抽出
  • 施策設計
     広告・チラシ・Web施策など、チャネル別に配信プランを最適化
  • 施策後分析
     配信の有無による行動変化(来店率・CV率など)をリフト値で評価
  • 再設計・チューニング
     成果が出た要因を深掘りし、次回施策へ反映

特に店舗集客や商業施設での販促、チェーン店舗を展開するブランドにとっては、エリア単位でのリフト比較が可能になるため、費用対効果の最大化に直結します。また、匿名かつ統計的に処理された安全なデータ活用が可能なため、個人情報リスクを避けつつ、科学的にマーケティングの効果を検証できます。

\ ドコモデータでリフト分析 /

リフト値の活用シーン

リフト値の活用シーン

リフト値は、広告やプロモーションの施策評価だけでなく、オフラインの店舗施策やオンラインのEC・アプリ施策にまで幅広く活用できる指標です。施策前後や対象グループと非対象グループ間の差を数値化することで、「何がどれだけ効果を生んだのか」を可視化できるため、意思決定の質を高めるうえで非常に有効です。

ここでは、マーケティング施策における代表的なリフト値活用シーンを3つに分けてご紹介します。

広告・プロモーションの効果測定

ディスプレイ広告、検索連動型広告、SNS広告などにおいて、リフト値は「配信の有無による購買・登録・来店などの差」を把握するための鍵となります。

たとえば、特定のターゲットに対して広告を配信し、その後のコンバージョン率を配信していないグループと比較することで、広告が実際にどれほど購買行動を促したのかを測定できます。

主な活用例

  • Facebook広告やYouTube広告などでのブランドリフト測定
  • LINE広告のクリック後購買のリフト評価
  • オンラインセミナーの告知広告による申込リフトの把握

▼ブランドリフトサーベイについて解説した記事はこちら

店舗施策での活用

チラシ配布やクーポンの配信といったオフライン施策でも、リフト値は高い効果を発揮します。対象エリアと非対象エリアの購買率を比較したり、クーポンを配布した人とそうでない人の来店率を比べることで、施策の費用対効果や戦略的な価値を見極めることが可能です。

主な活用例

  • エリア限定チラシ配布による売上リフト測定
  • 会員向けクーポン送付施策の来店促進効果検証
  • ポスティング広告と通常営業エリアとの比較

▼商圏や来店分析について解説した記事はこちら

ECサイトやアプリの改善施策における使い方

リフト値は、WebサイトやアプリのUI改善、レコメンド機能の強化、ポップアップ表示の有無など、ユーザー体験に関する施策評価にも活用されています。特定のUI要素を表示したグループと、しなかったグループの成果を比較することで、UIやUXの影響を定量的に測定できます。

主な活用例

  • 商品ページのレイアウト変更によるCVリフト測定
  • アプリ内ポップアップキャンペーンの有無での購入リフト
  • パーソナライズレコメンドの導入による売上向上効果の定量化

リフト値を正しく使うための注意点

リフト値を正しく使うための注意点

リフト値は、マーケティング施策の効果を定量的に把握するための有効な指標ですが、使い方を誤ると誤った判断を導くリスクもあります。特に、対象設定やサンプル数、分析期間などの設計にミスがあると、施策の成果を過大・過小評価してしまう可能性があります。

ここでは、リフト値を活用するうえで陥りやすい3つの注意点について、具体例を交えながら解説します。

対象・条件が揃っていないと正確に測れない

リフト値は、「施策あり」と「施策なし」の2つのグループを比較する指標です。そのため、両者が年齢、性別、エリア、購買履歴などの条件面が揃っていなければ、比較の前提が崩れてしまいます。

例えば、「広告を見た人」と「見ていない人」の年齢層や行動履歴に大きな差がある場合、リフト値は施策効果ではなく属性の違いを反映してしまう可能性があります。

対策として有効な方法

  • ランダムなグループ分け(A/Bテスト)
  • 購買履歴・属性データによるマッチング
  • 一定期間の行動トラッキングによる共通条件化

一時的なキャンペーン効果と恒常的なリフトの区別

リフト値は、施策が影響した「瞬間的な行動の増加」を示すことが多いため、「短期的な効果」と「継続的な影響」を混同しないよう注意が必要です。たとえば、クーポンを使って一時的に来店が増えたとしても、それが常連化につながらなければ長期的な施策価値とは言えません。

リフト値の数値が高くても、それが一過性のノイズである可能性があるため、以下のような補完的な分析も重要です。

  • 時系列データによるトレンド評価
  • リピーター化率やLTVとのクロス分析
  • 再施策時のリフトの再測定

母数が少ないと数値がブレやすい

リフト値は割合の比較であるため、分母(ユーザー数や閲覧数)が少ないと変動が激しくなりやすいという特性があります。たとえば、5人中1人が購入したグループと、5人中2人が購入したグループでは、リフト値は2.0になりますが、この差が統計的に有意かどうかは別問題です。

誤解を避けるためには、以下のような対策が推奨されます。

  • 最低限のサンプルサイズ基準を設ける
  • 統計的有意性(p値や信頼区間)の確認
  • 複数回の施策で一貫性のあるリフトを観察する

リフト値の向上施策と改善アプローチ

リフト値の向上施策と改善アプローチ

リフト値が低い、あるいは期待したほどの成果が出ない場合、施策自体に改善の余地がある可能性があります。リフト値は単なる指標ではなく、「どの部分を改善すればより効果が高まるか」を考える出発点としても有効です。

ここでは、リフト値を高めるために実施すべき3つの改善アプローチを具体的に解説します。

ターゲット精度の見直し

施策対象の選定は、リフト値に大きな影響を与える要素のひとつです。関心の薄い層に広告やキャンペーンを実施しても、期待される行動変化は限定的になります。

より高いリフト値を得るためには、「反応する可能性の高いユーザー層」に絞り込むことが重要です。

主な改善策

  • 過去に購入や来店実績のあるリピーター候補層への施策強化
  • Web行動履歴や購買履歴を活用した類似ターゲティング
  • 年齢・性別・興味関心など属性セグメント別のテスト実施

訴求メッセージ・オファー内容の最適化

リフト値は「誰に届けるか」と同時に「何をどう伝えるか」によっても大きく左右されます。仮にターゲットが適切でも、訴求内容が弱い・関心とズレている場合、行動変容は生まれにくくなります。

主な改善策

  • A/Bテストによる訴求文言の最適化
  • 表現トーンやクリエイティブの切り口を複数用意
  • ユーザー心理に訴える具体的ベネフィット表現の導入

配信チャネル・タイミングの調整

同じメッセージでも、「どこで・いつ届けるか」によって反応率は大きく異なります。たとえば、LINE通知は昼休みや通勤時間帯に効果が高まりやすく、ECサイトのポップアップは購入検討中に表示されることでCV率が高まる傾向にあります。

主な改善策

  • ユーザーの行動傾向に合わせた曜日・時間帯別の配信最適化
  • チャネルごとのリフト効果を比較して、費用対効果の高い媒体に集中
  • オムニチャネル戦略による複数チャネル同時接触の検証

まとめ

リフト値とは単なる効果測定の指標ではなく、施策の「本質的な価値」を見極め、マーケティング戦略そのものを改善するために活用する手法です。とくに、A/Bテストや因果推論などの手法を通じて、施策の「真の成果」を数値で把握することで、より再現性のあるPDCAを回せるようになります。

マーケティングにおける意思決定の精度を高めたい、投資対効果の高い施策を立案したいと考えている方は、ぜひ一度、自社の施策評価やターゲティング精度を見直してみてください。YouTubeやMetaを含めdocomo data squareを活用したリフト分析をお考えの際には、ぜひ一度お問い合わせください。

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