シニア向け広告の種類と効果的なアプローチ方法|表現の注意点とドコモ広告の活用事例
CANVAS編集部
みなさん、こんにちは。
少子高齢化により、ますます高齢者が増えていく日本にとって、今後のマーケティングにシニア層へのアプローチは欠かせません。
今回は、シニアの市場動向からシニアに最適な広告と重要なポイントについて解説します。ターゲットとするシニア層について今一度考えてマーケティング施策に活かしてみてください。
これまでターゲットとしていなかった、これからシニア市場を開拓する方も必見です。ぜひご一読ください。
目次
シニア層の人口推移と市場規模
少子高齢化が進む日本において、シニア層をターゲットにした「シニアマーケット」の重要性がますます高まっています。2023年9月15日現在の推計によると、日本の65歳以上の高齢者人口は3623万人で、1950年以降初めて前年より1万人減少しました。しかし、総人口に占める割合は29.1%と過去最高を更新しており、日本は世界で最も高い高齢化率を持つ国となっています。
特に、75歳以上の人口が初めて2000万人を超え、80歳以上の人口も1259万人に達するなど、高齢者人口の高齢化が進んでいます。これらの年齢層は、今後も増加傾向が続くと予測されており、シニア層をターゲットにしたビジネスチャンスはさらに拡大することが期待されます。
内閣府が公表した「高齢化の推移と将来推計」によれば、2025年には日本の総人口の30.3%が65歳以上となり、3人に1人が高齢者となる見通しです。さらに、2040年には65歳以上の割合が34.8%、2045年には36.3%に達するとされています。こうしたデータは、シニア層向けのマーケティングや広告戦略が今後ますます重要になってきています。
シニア層は購買力が高く、特に健康や生活の質に関わる商品やサービスへの関心が強いとされています。シニアマーケットは日本市場において今後も成長が期待される分野であり、企業がこの市場に対応した戦略を立てることが求められています。
シニア市場の規模と成長性
2025年までに日本のシニア市場は101.3兆円規模に成長すると予測されています。これは、2007年の対比で約161%の成長を示しており、国内需要を強く牽引しています。シニア市場の成長を支える主要な要因としては、高齢者の健康や生活を支える医療・医薬・介護産業の急速に拡大しています。
また、シニア市場は医療・介護にとどまらず、生活全般にわたる広範な分野で成長を続ける予測のため、シニア向けの製品やサービスを成功させるためには、市場の拡大と共に絶えずシニア層にリーチしつづけることが重要になってきます。
シニア向け広告とは?
シニア層は、シニア・高齢者世代を対象とした広告です。購買力が高く、消費行動に対する意識が他の年齢層と異なるため、世代に応じた広告戦略が必要です。
シニア層は、若年層と比べて長年の経験に基づいた消費習慣を持っており、信頼感や安心感を重視する傾向があります。また、複雑な商品への理解が求めづらい傾向にあるため、端的で分かりやすい訴求が求められます。
そして、テレビや新聞、メール広告などの従来型メディアへの依存度も高いですが、近年はデジタルメディアの利用が増加しているため、複数のチャネルを組み合わせた戦略設計が必要になります。シニアだからといってトラディショナルメディアを活用するという概念は変わってきています。
シニア世代の情報メディア利用実態
シニア世代のメディア利用は、総務省が行った「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、ネット利用時間が50代以上で増加傾向にあります。特に、平日のネット利用時間は土日と比較すると多く、ネットでは平日のリーチがシニア世代に有効と考えられます。
また、平日・土日どちらもテレビ(リアルタイム)視聴時間が伸びており、若年層とは真逆の傾向にあることから、テレビの活用は非常に重要であるということが分かっています。
シニア層の4分類
シニア層には、様々なライフスタイルや価値観を持つグループに分類されています。
ここでは、代表的な4つのシニア層(アクティブシニア、ディフェンシブシニア、ギャップシニア、ケアシニア)について、それぞれの特徴を紹介します。
イメージ | シニア分類 | 特徴 |
---|---|---|
アクティブシニア | 健康で活動的なライフスタイルを楽しむ。 趣味や旅行、スポーツなどに積極的で、 新しいことに挑戦する意欲が高い。 | |
ディフェンシブシニア | 健康や生活に不安を抱えており、 慎重でリスクを避ける傾向が強いシニア層。 新しいものよりも、実績や信頼性を重視する。 | |
ギャップシニア | デジタル技術に対して興味はあるが、 十分に使いこなせていないシニア層。 インターネットの利用には不安を感じつつ、 適応しようと努力している。 | |
ケアシニア | 健康状態が不安定で、 日常生活に介護や支援が必要なシニア層。 安心感や支援が生活の中心となっている。 |
最も購買力のあるシニア世代はアクティブシニアですが、実際にはシニア人口の25%程度とごく一部である状況となっています。今後の介護や就労を辞めて年金などで生活する層がどんどん増えていくことを考えると、ディフェンシブシニアやギャップシニアをどのように動かしていくのかがマーケティングで非常に重要となってきます。
シニア向け広告の種類
シニア層にリーチし、効果的にメッセージを伝えるためには、先述した通り様々な広告を利用する必要があります。シニア向け広告の代表的な種類と、それぞれの広告手法が持つ特徴や効果について詳しくご紹介します。
テレビ広告
テレビ広告は、シニア層にリーチする最も効果的なメディアの一つです。多くのシニア層は、日常的にテレビを視聴しており、特にニュースや情報番組を見る傾向にあります。最近ではインフォマーシャルなど、シームレスにメッセージを伝えることができるため、インパクトが強く、記憶に残りやすいです。
シニア層をターゲットにしたテレビ広告では、信頼性や安心感を訴求する内容が効果的です。また、放送時間帯にも配慮し、シニア層がよく視聴する時間に合わせて広告を流すことが重要です。例えば、平日の昼間やに広告を集中させることで、より多くのシニア層にリーチすることができます。
ラジオ広告
ラジオ広告は、特に地域密着型の広告としてシニア層に効果的です。多くのシニア層は、家事をしながらや車の運転中にラジオを聴いており、情報や娯楽を得る手段としてラジオを活用しています。ラジオ広告は、音声だけでメッセージを伝えるため、パーソナルな接触が可能で、親しみやすさが強みです。
シニア層をターゲットとする場合、地元の情報や身近な話題に関連する内容を取り入れた広告が効果的です。また、シンプルでわかりやすいメッセージが求められます。
オンラインメディア
オンラインメディアは、近年、シニア層の利用が増加しているメディアです。インターネットやスマートフォンの普及により、オンラインで情報を収集したり、サービスの利用が増加しています。特に、ニュースサイトや健康関連の情報サイト、SNSの活用です。
オンラインメディア広告では、シニア層の関心に合わせたコンテンツを提供することが重要です。例えば、健康維持や趣味に関連するコンテンツを提供し、広告として表示することで、自然な形でシニア層の関心を引きます。また、ランディングページでは分かりやすいUIであることも重要となります。
D2Cグループが提供する「docomo Ad Network」では、NTTドコモのキャリアユーザーへダイレクトにメール広告を届けることが可能です。
新聞広告
新聞広告は、シニア層にとって依然として重要な情報源です。多くのシニア層が、日常的に新聞を読んでおり、特に地域のニュースや広告に関心を持っています。新聞広告は、詳細な情報を伝えるのに適しており、紙面の信頼性も高いため、シニア層の購買行動に大きく影響を与えます。
新聞広告では、シニア層が関心を持つテーマ(健康、金融、地域イベントなど)にフォーカスした内容が効果的です。また、シニア層は紙面をじっくり読む傾向があるため、広告のビジュアルやレイアウトにもこだわり、見やすくすることが重要です。
雑誌広告
雑誌広告は、シニア層の趣味や関心に特化した効果的な広告手段です。シニア層は、趣味や専門分野に特化した雑誌を愛読しており、雑誌広告を通じて深く興味を引くことが可能です。特に、健康・旅行・料理・園芸など、シニア層のライフスタイルに関連するテーマの雑誌が人気です。
雑誌広告では、シニア層が興味を持つ内容を掘り下げ、信頼性の高い情報を提供することが求められます。ビジュアルを重視し、広告のデザインや写真を工夫することで、雑誌を読む際の楽しさとともに広告メッセージを伝えることができます。また、読者プレゼントや特集記事と連動させることで、シニア層のエンゲージメントを高めることができます。
同封/同梱広告
同封/同梱広告は、シニア層が商品を購入した際や、購読している冊子などと一緒に提供される広告です。この形式は、確実に手に取る機会が得られるため、シニア層の関心を引きやすく、高い訴求力を持ちます。
同封/同梱広告では、シンプルで分かりやすいメッセージが効果的です。また、クーポンなどを同封することで、次回購入への誘導や新商品の認知度向上につなげることができます。この形式は、商品の価値や使用感を直接訴求できるため、シニア層の購買行動を促進する有効な手段となります。
D2Cグループが提供する「ドコモのダイレクトメッセージ送付サービス」では、NTTドコモのキャリアユーザーの自宅にダイレクトメールを届けることが可能です。ぜひご検討ください。
交通広告
交通広告は、電車やバス、タクシーなどの公共交通機関を利用するシニア層に向けた広告手法です。シニア層は、移動中に多くの時間を費やすことが多く、交通広告はその間に自然と目に入るため、高いリーチ力を持っています。
交通広告では、視認性の高いデザインと、短時間で理解できるシンプルなメッセージが重要です。また、広告の配置場所やタイミングを工夫することで、特定の地域や時間帯に合わせたターゲティングが可能になります。例えば、通勤・通学時間帯を外したり、シニアの多い路線を選ぶことで、更にシニア層のリーチ力を高めることができます。
シニア層への効果的なアプローチ方法
シニア層(高齢者層)に向けた効果的なアプローチ方法についてご紹介します。
スマートフォン利用率
シニア層のスマートフォン利用率は年々増加しています。特に、70代でもスマートフォンを使いこなす人が増えており、日常的にLINEやYouTubeなどを活用しているケースも多く見られます。このため、スマートフォンを通じた広告展開がますます重要になってきています。
シニア層にリーチするためには、スマートフォンを活用した広告をデザインする際に、操作が簡単で直感的なインターフェースを提供することが重要です。また、シニア向けに特化したアプリやサービスを広告することで、スマートフォンの利便性を高め、さらにシニア層を取り込むことが可能になります。
WEBとオフライン同時活用
シニア層に効果的にアプローチするためには、WEBとオフラインの両方を同時に活用するクロスメディア戦略が重要です。シニア層はオンラインで情報を収集する一方で、従来型のメディアや実店舗でのリアルな体験に高い関心を持っています。
例えば、オンライン広告で認知を広げつつ、実店舗でのキャンペーンやイベントをダイレクトメールで自宅に送付するといった組み合わせを行うことで、参加意欲を高めることができます。
シニア層とのコミュニケーション方法
シニア層とのコミュニケーションでは、信頼感を構築することが非常に重要です。長い人生経験を持っており、商品やサービスの選択に慎重な傾向があります。そのため、直接的な売り込みよりも、価値提供を通じた信頼構築が必要となってきます。
例えば、情報提供型の広告やコンテンツマーケティングを活用し、シニア層に役立つ情報を提供することで、ブランドへの信頼感を高めることができます。また、親しみやすい言葉遣いや丁寧な対応を心がけることも大切です。コミュニケーションを通じてシニア層との関係を深め、LTVを考えて長期的な顧客としての関係を築くように設計しましょう。
シニア層向けの注意点
シニア層のマーケティングを行う上での注意点をご紹介します。
ターゲットの明確化とペルソナ設定
シニア層をターゲットにする際には、単に「65歳以上」といった広範なカテゴリーで捉えるのではなく、先述した通り4つのシニアカテゴリがあり、そのライフスタイルも様々です。生活環境に応じてニーズや価値観が大きく異なるため、ペルソナ設定を行いましょう。
ペルソナ設定では、ターゲットの生活パターンや趣味嗜好、消費行動などを詳細に描き出し、広告メッセージやクリエイティブを最適化していく必要があります。
分かりやすさとシンプルさの追求
シニア層に向けた広告や情報提供では、メッセージの分かりやすさとシンプルさが非常に重要です。複雑な表現や専門用語では伝わらないことがあるため、シンプルで明快なメッセージを心がけましょう。
シニア層に向けたフォントサイズやデザインの工夫
シニア層に対しては、視認性の高いフォントサイズやデザインが有効です。文字のサイズは大きめに設定し、背景と文字のコントラストをはっきりさせることで、読みやすさを向上させましょう。さらに、アイコンやイラストを適度に使用して視覚的に補足することも効果的です。
誤解を避ける表現方法
広告や情報提供の際には、誤解を避けるための配慮が必要です。特に敏感な層であり、誤解を招くような表現があると、ブランドへの信頼が大きく損なわれてしまうことがあります。
年齢に関する表現の配慮
年齢に関する表現は、非常にデリケートな問題です。「高齢者向け」「お年寄り」などの表現は、場合によってはネガティブな印象を与えることがあります。そのため、「経験豊富な世代」「人生のベテラン」など、尊敬や敬意を込めた表現を使用することがおすすめです。また、年齢に固執せず、広い世代に向けたメッセージを含めることも良いアプローチです。
シニア層が多いドコモ広告
D2Cグループが提供するドコモ広告は、NTTドコモのサービスを利用しているユーザー約1億のドコモデータを保有しており、シニア向け広告に非常に有効な媒体です。ユーザーの50代以上の割合は約40%(2023年1月時点)と非常にリーチ力が高く、セグメントも商材によって選択することが可能です。
docomo Ad Network|メール/ディスプレイ広告
docomo Ad Networkは、NTTドコモが運営するメディアなどに掲載可能なアドネットワークです。主に、メール広告とディスプレイ広告の2つのメニューがあり、一部メニューにおいては外部メディアにも配信可能です。
メール広告では、シニア世代ではまだまだ使うことが多いメールを活用して、PUSH型メール広告を配信することが可能です。メール広告においてはユーザーの55%が50代以上と、シニア世代への広告配信に最適です。メール広告とディスプレイ広告を組み合わせて、ドコモメディア全体でシニア世代に配信を行うことも可能ですので、ぜひ一度お問い合わせください。
ダイレクトメール送付サービス|DM(同封/同梱)広告
D2Cグループが提供するダイレクトメール送付サービスは、約4,400万人のdポイントクラブ特約会員(2024年5月時点)にNTTドコモからのお知らせとして紙のダイレクトメールが送付できるサービスです。
dポイントへのロイヤルティが高いユーザーに対して、企業信頼度の高い「ドコモ」から送付することで、広告に高い安心感を与えることが可能です。地域ターゲティングも可能なため、全国展開していない企業様も利用することができます。
まとめ
シニア市場は、日本の高齢化社会において、今後ますます重要性を増していく成長分野です。シニア層の購買力と消費傾向を理解し、彼らの心理的特徴や行動パターンに応じた広告戦略を展開することが求められます。テレビやラジオ、WEBメディアなど多様な広告手段を組み合わせることで、シニア層に効果的にアプローチすることが可能です。
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