ゲームアプリのマーケティングは、“集客”と“定着”を同時に考えるとまだまだ伸びる!
伊藤 大悟
D2C Rの伊藤大悟です。
広告代理店での運用、営業を経験し
現在はクリエイティブプランナーとしてクリエイティブ領域を見ています。
今回、世界46カ国、3,800以上のアプリに導入されている
アプリの成長支援ツールで注目を集めるReproさんにインタビューをさせて頂きました。
(左から)
株式会社Repro 執行役員 楠目亮氏
株式会社D2C R マーケティング&ストラテジー本部 伊藤大悟
国内スマホゲーム市場が成熟期に入っている昨今では、
アプリインストール後のアプリ内でいかに既存の顧客の維持・囲い込み・活用するか
という“リテンション”が重要視されてきています。
そこで、アプリの分析からプッシュ通知やポップアップといった
マーケティング機能を用いてアプリのグロースハックができるツール「Repro」を
手掛ける株式会社Reproの楠目亮さんに、
アプリ『内』マーケティングの重要性について詳しくお話しを伺います!
プロモーション担当とアプリ制作担当の間で抜け落ちる“定着”のための施策
「こんにちは、D2C Rの伊藤です。
普段は広告代理店のクリエイティブプランナーという立場から
お客様のアプリマーケティングのお手伝いをしています。
業界は主にゲームのお客様が多いですね」
「こんにちは、Reproのゲームの統括責任者の楠目です。
私は、主に、アプリのグロースハックにかかる新規領域の開拓を担っていて、
現在は、特にまだ浸透していないゲーム業界に向けたアプリ『内』マーケティングの
コンサルタント兼エヴァンジェリストという立ち位置ですかね。」
「今回のテーマはゲームアプリのマーケティングですが、
主に”集客と定着”についてお伺いしていきたいと思っています。」
「はい。私はアプリのマーケティングの中でも特に、
アプリ『内』マーケティングの領域を見ているのですが、
多くの事業者様で大きく抜けてしまいがちな部分があると思っています。
アプリをユーザーにインストールしてもらう<流入>という最初のフェーズと、
面白いゲームを提供して課金につなげる<課金・継続課金/重課金>という刈取りのフェーズ、
この2つのフェーズの間にある
“ユーザーを定着させる”という<定着・利用(促進)>の部分ですね。
プロモーションを担うマーケターと、
ゲーム作りを担うプロデューサー・ディレクターという体制で
アプリを運用しているときには、担当領域の間の部分となってしまうこともあり、
そういった意味でも“ユーザーの定着”が抜け落ちてしまうのかもしれません。」
「確かにそういうケースはあるかもしれませんね。
ユーザー獲得というKPIの次は、いきなり課金や売上をみてしまったり……。」
「ユーザーがアプリをインストールした直後に、
定着のためにできることは色々ありまして、
たとえばチュートリアルから始まる正に遊び始めがそうですよね。
初めてデッキを組む、装備を考える、
クエストをクリアする、ステージをいくつか突破する…など、
たくさんの小さなハードルをユーザーが一つずつ
超えていけるようにすることが、定着につながります。」
「そうですね。私個人もけっこうゲームアプリをプレイしますが
そういったステップをうまく進んでいけると、
ゲームにどっぷりハマって気づくと課金しているというケースが多いと思います。
逆に、どこかのステップでつまづくと急にやる気がなくなって、
それ以降はアプリを開かずにアンインストールしてしまったり。」
「そうなんです。だからこそ、ユーザーの定着につながるステップを設定し、
一つひとつの小さなハードルを超えてもらうために、
それぞれのステップで、ユーザーへ適切なコミュニケーションをとる
アプリ『内』マーケティングはとても重要なのです。
アプリ内のマーケティングは言い換えれば、
獲得した後のユーザーを“育てる”という取り組みですね。」
「一昔前では広告代理店の立場だとどうしても集客の部分を重視しがちで、
そういったアプリ内のマーケティング領域にはなかなか入り込みにくかったんですよね。
ただ、最近では“リテンション広告”という、
いま遊んでいるユーザーをキープしたり、
アプリから離れてしまったユーザーを呼び戻したりする施策がトレンドなので、
広告代理店もそういった領域にも踏み込んでいくべきだと強く感じます。」
「そうですね。アプリにおいては“集客”だけを意識していては不十分で、
“定着”も一緒に考えていく必要があります。
“定着”の部分をおろそかにすると
せっかく低いCPIで獲得しても穴の開いたバケツに水をくむようなもので、
ROASで見るとうまくいっているとは言えない状況のアプリは少なくありません。
せっかく、コストをかけているのに、とてももったいないなぁ、と感じています。」
「とくにゲームアプリに関しては近年のトレンドとして
IP系のタイトルやコンシューマーの会社がたくさんリリースを出しているため、
CPIも徐々に上がっているな、というのを実感しています。
なので、市場トレンドとしても新規獲得がしにくくなる以上、
“定着”や“呼び戻し”の施策はより重要になってくるでしょうね。」
「寝たユーザーを起こすのは大変なので、寝かさないことが重要と考えています。
では、ここからはゲームアプリで“定着”の視点から効果を上げた事例をいくつか紹介します。」
ユーザー定着のカギとなる正しいプッシュ通知の活用方法とは
「まずはゲームにおける、寝かさないための施策として
“お気に入りキャラを活用したプッシュ通知”を紹介します。
やはり、自分の”お気に入り”には、心を惹かれますよね(笑)。」
「なるほど、ユーザーが持っているキャラクターのデータを活用して
プッシュ通知を送るということでしょうか?」
「はい、そういうことです。
例えば、恋愛ゲームですと、イケメン風なキャラが好きな方や、
草食系なキャラが好きな方、と好みは色々ですよね。
具体的には、そのユーザーのお気に入りキャラの
口調や画像でプッシュ通知を送るのです。
その効果、開封率は、なんと1.3倍だったといった事例もあります。
ここでは、お気に入りキャラの話をしましたが、
デッキ(の左上のキャラ)でも良いですし、
ナビキャラや敵キャラでも構いません。
近年のトレンドとしてIP系が増えていることもありますので、とても有効です。」
「たしかに、無味乾燥なプッシュ通知と比較するとかなり効果は変わってきそうですね。」
「上の事例はほんの一例でして、
マーケティングシナリオを組んだ上で、
セグメント別にプッシュ通知を配信していくことで、
7日後リテンションレートが数%改善しているケースが多いです。
もちろんアプリに依りますが。」
「やはりユーザーをセグメントで分けて、別々のアプローチをすることが重要なんですね。」
「また、イベントの参加を促し、ユーザー定着を促す
という施策もアプリ内のマーケティングとして取り組めるものです。
例えば、ランキングに応じ報酬を得られるイベントだった場合、
ランキングが20,000位のユーザーに、500位以内の報酬を訴求してもシラケますよね…。」
「無茶言うなってなりますね(笑)。」
「ただ、逆に400-800位のユーザーは燃えると思います。
上位に入るためには、当然、プレイ時間増や課金が必要になってきますので、
そのあたりを訴求することでPURやARPPUが数%上がったりしています。
上図のように、ユーザーの状況に合わせた訴求で
プッシュ通知やポップアップを用いてイベント参加を促すことで、
ユーザーの定着に繋げられます。」
「状況毎にユーザーの気持ちを想像することが大事になってきますね。」
「そうですね。イベントの参加を促すプッシュ通知を送るときに、
すべてのユーザーに対して、同じ内容のプッシュ通知を送っているアプリは多いです。
しかし、始めたばかりのユーザーにとっては、
そもそもどういったイベントなのか、イベントによりどんなメリットがあるのかを
理解できない訴求となってしまっている場合が少なくありません。
ユーザーの定着を考えると、そのユーザーの状況に合った訴求が重要です。
今回はプッシュ通知のお話が中心になってしまいましたが、
次回にでも、ポップアップの活用方法を是非ご紹介したいところですね(笑)。」
「事例のご紹介ありがとうございました。
いずれの事例も聞いただけで効果が見込めそうなイメージがありますね。
これらの施策をやろうと思った場合、すぐできるものでしょうか?」
「ユーザーの利用状況に応じて、
プッシュ通知やアプリ内メッセージの送信を一元管理できるツールもあるので、
そういったツールを活用すればよりスピーディーに
PDCAを実施してアプリを成長させることができます。
弊社の例ですが、実際に、ゲームアプリだけでなくECや大手企業のアプリにも、
こういった管理ツールを導入されている企業が増えています。
開発の知識が無い方でも色々試していただけるようにしていますので、
やることが山積みなエンジニアの手を煩わせることなく、
プロモーション担当者でも施策の実施から検証まで、
スピーディーにPDCAを回せるようになるのです。」
「アプリのプロモーション担当の領域が更に広がるわけですね(笑)。
そうなると、それこそ代理店側もその領域で一緒にお手伝いすることはできそうですが。」
「できると思います。
大切なのは各アプリにおけるマーケティングシナリオ、
すなわち適切なユーザーの成長ステップを設定し、
そのステップごとにユーザーと適切なコミュニケーションを取っていくことなので。
“ユーザーとコミュニケーションをとり、
いかに動いてもらうか“という視点でいくと
広告代理店の知見が活かせる部分はあるのではないかと。」
「弊社としてもユーザーの“集客”だけで終わるのではなく、
その後の“定着”まで視野に入れ、
ユーザーを“育てる”施策をお客様と一緒に考えていければと思います。
本日はありがとうございました!」
D2C RとReproが共催で開催した
「#MarketingLIVE Vol.1」のセミナーレポートはコチラ
・Appliv
アニプレックス・DeNA・マイネットのマーケ戦略。D2C Rセミナー「#MarketingLIVE」レポート
・Spicemart
【#MarketingLIVE】スマートフォンゲームの主要パブリッシャーが語る「最新アプリマーケティング」
「ちなみに、いまReproさんを導入するにあたってなにか“これぞ”といったメリットはありますか?(笑)」
「そうですね…!(笑)
ゲームアプリ案件に関してはReproとしても注力していきたい領域のため、
今ご導入いただければ私がアプリ『内』マーケティングのシナリオの策定から施策立案まで、
すべてトータルでサポートさせて頂きます。」
「ツールを導入してハイ終わり、ではないと。」
「はい。新しい領域なので使い方のイメージなどもなかなか湧きにくいかと思います。
Reproでは、ツールは活用してなんぼ、結果を出してなんぼ、
と考えていますので、導入後も軌道に乗るまでは
定期的なお打合せなども含め、手厚くサポートさせて頂きます!」
【Twitterアカウント:@ito_daigo65】クリエイティブプランナー(部長) メディアレップで代理店営業やって広告代理店で運用やって営業やってクリエイティブプランナーになりました。バズも獲得も両方やれちゃうクリエイティブをつくることが目標です。