Metaのブランドリフト調査とは?:仕組み、実施手順、実例紹介まで

こんにちは、D2C Rソーシャルメディアソリューション部の佐々木です。
広告を配信していて自社のブランドが実際どのくらいユーザーに認知されいているか気になりませんか?
今回はブランド認知度に対する広告の影響を測定するMetaのブランドリフト調査についてご紹介していきます!
目次
ブランドリフト調査とは
ブランドリフト調査とは、リフトテストの一種で、「消費者にブランドが知られているか」「そのブランドの商品を購入したいか」「広告等を見てブランドを覚えているか」などブランドの認知度を測定するテストです。
画像引用元:Facebookが管理するブランドリフトアンケートの質問について | Metaビジネスヘルプセンター
Metaのブランドリフト調査には下記4つの特徴があります。
・正確な効果測定が可能
・成果に焦点を合わせられる
・すぐに結果を活用できる
・オプションの調整が可能
ブランドの認知度に対するMeta広告の影響の把握や、ブランドリフト調査のテスト結果を用いて今後のキャンペーン構成の材料にすることができます。
ブランドリフト調査の仕組み
ブランドリフト調査では、キャンペーンの対象となるオーディエンスを、「Meta広告に接触した(広告を見る機会があった)グループ」と「Meta広告に接触しなかった(広告を見る機会がなかった)グループ」の2つに自動的に作成します。
広告の配信後6時間~2日以内にそれぞれのグループに対してブランド(商品)のアンケートを配信します。
画像引用元:Facebook広告のテストにおけるリフトとホールドアウトについて | Metaビジネスヘルプセンター
アンケート配信後、広告に接触した人/接触しなかった人を比較し、広告が何割の人に認知されたか、広告のメッセージが性別・年齢別でどれだけ伝わったかなど、主要なブランド指標における態度変容(広告想起や認知度、好意度など)の広告効果を測ることができます。
ブランドリフト調査を実施するには
実施条件
ブランドリフト調査を実施するためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。
条件を満たしていない場合は実施ができないため、事前に確認するようにしましょう。
詳しくは下記をご確認ください。(2024年10月以降に変更があった条件)
最低出稿金額 | 800万円 |
掲載期間 | 2週間以上~4週間未満 |
最低実施リーチ数 | 600万以上 |
フリークエンシー | 週2回以上推奨 |
購入タイプ | 「予約」または「オークション」 |
キャンペーン目的 | DR目的(売上、アプリインストール)以外のキャンペーン目的で実施可 |
設問数 | 3問以内(4問不可) |
最低出稿金額の補足
・600万以上リーチを達成するために、例えば見積りで400万円が必要となった場合でも、最低出稿金額800万円が必要になります。
・5週間目以降も継続する場合は、最低出稿金額は150万円/週に追加になります。(例:5週間の場合950万円、6週間の場合1,100万円)
注意事項
・最低出稿金額または最低実施リーチ数は調査結果の取得を保証するものではありません。
・最低実施リーチ数を下回った場合、調査結果が取得できない可能性があります。
・シミュレーション上で最低実施リーチ数 600万を見込める金額で設定してください。
・ターゲットや配信するプラットフォームに制限がある場合、リフトに影響を及ぼす可能性があります。
・Facebook/Instagramで同時に広告を配信する場合、調査結果は Facebook/Instagramの広告効果をまとめたものになります。
・Instagramのみ配信の場合は調査バナーは Instagramのみに表示されます。
・申込み締め切りは、実施日から10営業日前となっています。
参考:ブランドリフトの最小要件 | Metaビジネスヘルプセンター
質問設定
質問は上限3問まで設定することができます。
質問の内容は、必須項目である「広告想起」から1問と、以下の表のリストから2問の合計3問(1問はカスタマイズ可能)で構成します。
各質問は150文字以内で作成可能です。
質問カテゴリー | 例 |
標準広告想起 ※必須項目※ |
「過去2日間にオンライン上・モバイルデバイスで[ページ名]の広告を見た覚えはありますか?」
|
標準ブランド認知度 | 「[ページ名]をご存知ですか?」 |
抽象的好感度 | 「[ページ名]を総合的にどう思いますか?」 |
熟知度 | 「[ページ名]についてどの程度知っていますか?」 |
おすすめ | 「[ページ名]を友達にすすめますか?」 |
※質問への回答形式は1人あたり3問ではなく、1問回答形式です。
質問内容はキャンペーンの目的にあったものを作成する必要があります。
質問設定する上での注意点として、回答者が答えにくい質問や2つ以上の論点を含む質問、誘導尋問などは避けてください。
調査結果について
広告配信終了後の最短3週間でブランドリフト調査レポートが納品されます。
調査の結果を理解することで、その後のマーケティング戦略を考えることが可能です。
レポートは、「ブランドリフト結果」と「利用者層データ」の2種類を確認することが出来ます。
ブランドリフト結果
「ブランドリフト結果」では、各質問毎に以下の項目で結果を確認することが可能です。
・ブランドリフト率
パーセンテージポイントの上昇。
広告接触グループと広告非接触グループを比較して、キャンペーンに対するポジティブな反応の数がどれだけ増えるかを推定した数値です。
・ブランドリフト
期待されるアクションを起こした人の推定人数(広告を見たことを覚えている人やブランドを記憶している人など)。
アンケートで望ましい回答を選択した人数が広告接触グループと広告非接触グループの間でどのくらい差があるかを示した推定値です。
・ブランドリフト単価
期待されるアクションを起こした人の推定獲得単価。
ブランドリフトテストのアンケートで望ましい回答を選択した人の増加分1人当たりの推定コストです。
※通貨はドル表記になります。
利用者層データ
調査レポートでは、各質問それぞれ全体の結果以外に性別・年齢のブランドリフト率を確認することが可能です。
年齢層や性別データからリフト値が分かれば、今後のキャンペーンを特定の利用者層向けに調整できます。
例えば、若年層をターゲットにしたいが広告想起リフトが低かった場合、若年層に対して最適なクリエイティブを作成することなどが考えられます。
参考:ブランドアンケートテストの結果に応じて戦略を展開する | Metaビジネスヘルプセンター
実例紹介
それでは弊社で実施したブランドリフト調査の実例を紹介いたします。
※企業名は伏せています。仮名「るぼっと通販」を使用します。
また、レポートについては加工済みのため実際のものとは異なります。ご了承ください。
▼実施内容
案件カテゴリー:ネット通販
期間:2週間
リーチ:350万
フリークエンシー:2.4回
配信目的:ウェブサイトコンバージョン
質問項目①:必須項目【広告認知】
過去2日間にオンライン上・モバイル機器でるぼっと通販の広告を見た覚えはありますか?
選択肢:・はい ・いいえ ・わからない
質問項目②:【ブランド認知】
るぼっと通販を知っていますか?
選択肢:・はい ・いいえ ・わからない
質問項目③:【検討意向】
るぼっと通販で購入する可能性はどの程度ありますか?
選択肢:・非常に可能性が高い ・可能性が高い ・どちらでもない ・どちらかというと可能性は低い ・非常に可能性が低い
上記の3項目で質問を作成し、2週間のブランドリフト調査によって下記結果が出ました。
全体結果
まず全体結果です。
各質問に対して肯定的な回答を行った広告接触群/非接触群の比較です。
質問項目①:【広告認知】
過去2日間にオンライン上・モバイル機器でるぼっと通販の広告を見た覚えはありますか?
に「はい」と回答したユーザーは、非接触群よりもMeta/Instagram広告を見た接触群の方が1.3Ptsと僅かながらリフトがありました。
一方で、
質問項目②:【ブランド認知】
るぼっと通販を知っていますか?
で「はい」と回答した広告接触群は非接触群より1.7Pts低いと結果となり、
質問項目③:【検討意向】
るぼっと通販で購入する可能性はどの程度ありますか?
で「非常に可能性が高い」「可能性が高い」と回答した広告接触群と非接触群は差が見られない結果でした。
次に各質問に対する詳細な回答結果、性別・年代別の結果を見ていきましょう。
質問①:【広告認知】の回答結果
質問①の広告認知において、全体では広告接触群の方が1.3Pts増のリフトがありました。
肯定的な回答をした(「はい」と回答をした)性別・年代別の結果を見ると、男性セグメント(M)で2.1Pts増の若干のリフトがあり、年齢別では35~65才以上の年齢層で1.9Pts~5.4Pts増の有意なリフトが見られました。
質問②:【ブランド認知】の回答結果
質問②のブランド認知について、全体では広告接触群の方が低下した結果でしたが、肯定的な回答をした(「はい」と回答をした)35~44才セグメントにおいては4.3Pts増の若干のリフトが見受けられました。
質問③:【検討意向】の回答結果
質問③の検討意向について、全体は差が見られない結果でしたが、肯定的な回答をした(「非常に可能性が高い」「可能性が高い」と回答をした)性別・年代別の結果を見ても差が見られない結果となりました。
今後の施策
以上の結果より、広告認知、ブランド認知の項目においてMeta/Instagram広告に接触した35才以上の層で多少のリフトが見られました。今後のキャンペーンにおいて35才以上を中心としたターゲティングを行うことや、通販系サービスと相性の良いダイナミック広告などを使用することで新規ユーザーへのリーチとブランド認知向上を狙うことが考えられます。
検討意向の項目については、Meta/Instagram広告の影響によってるぼっと通販での購入検討意識が向上したとは言えませんでした。そのため、今後の施策としてセール訴求やポイント訴求などユーザーにより明確な購入メリットを伝えるクリエイティブの工夫を行うことが必要と思われます。
信頼度についてですが、今回の実施ではあまり良い信頼度とはなりませんでした。
適切な質問の設定と目的を明確にすることによってブランドリフト調査の信頼度が上がり、Meta広告の効果測定に繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Meta広告の真の価値とパフォーマンスを把握することができる効果的なブランドリフト調査についてご紹介いたしました。
ブランド認知度を測りたい広告主様にはもちろん、広告配信においての潜在ターゲットも知ることができる調査です。
またD2C Rでは、Metaアカウント担当者と連携して最適なアンケートの質問を決定することが可能です。
Metaでの広告配信やリフト調査に興味がある方は是非お問い合わせください。