ATT実装前後の挙動を追う ~未来を読み解く~
樋口 師寿
「未来を読み解く」シリーズでは、
デジタルマーケティングにおける最新情報/トレンドに対して、
今ある情報をベースに”考え抜いた未来について”CANVASを通じて、
不定期に連載してまいります。
今回の連載では、ATT施行前後での配信実績に置ける挙動を比較して参ります。
この記事を読んでいただいた皆様にとって、
デジタルマーケティングにおけるKGI/KPIの見直しや
仮説検証のデータ補完にご活用していただく、といった
皆様のありたき姿に少しでも近づける情報になれば幸いです。
ATT施行とは
Appleがプライバシー保護を目的として、IDFA(ユーザーデータ)を許諾なしでは収集できないようにした取り組みの事。
2021年4月26日に実装。 >>詳しくはコチラ
ATT施行による広告配信への想定される影響について
IDFAの取得が出来なくなる事で、コンバージョンデータが減少=CVRが低下し、
これまでの広告配信で指標としてきたデータの見直しが必要となる。
またCVが管理画面に一部数値として返って来なくなることにより、
多くの広告プラットフォームでの機械学習がうまくワークしなくなる可能性がある。
≒広告費の活用の仕方や広告における追うべき指標の見直しが必要となる。
計測手法がどう変わったのか改めて整理
各社媒体管理画面で採用するsourceが異なる事に注目
表1)ATT実装前後の管理画面数値の比較
※SRN媒体(Google、Twitter、Facebook、Apple Search Ads)は、MMP側にIDFAベースでインストール報告を実施
※Apple Search Ads:Apple Ads Attribution APIの実装で、iOS14.3以降のデバイスによるすべてのインストール数が確認可能
ATT施行後の変動について
ATT施行が4月26日に実施、想定よりもiOS14.5の普及速度が遅い。5月18日時点で、普及率は14%と低い状況。
図1) ATT施行の実績値前後比較(source:AppsFlyer https://www.appsflyer.com/jp/ios-14-att-dashboard)
表2)4/12~25 VS 4/26~5/16の変動幅 (source:D2CRアプリ実績 ※複数案件合算値 )
表2で分かる通り、計測のsourceが変更となったMediaではCVRが下降傾向となった。
AppleSearchAdsはATT施行後も計測sourceが変わらないため、CVRの下降は見られない。
国内のiOS14.5の普及率は14%(図1)とまだ低い状況のため、今後iOS14.5の普及に伴い、変動幅は大きく変わっていく可能性が高い。
表3) 対象案件における挙動の増減表
どの数値を元にKPIの設定をすべきか
表3で分かる通り、iOS14.5の普及率が低い事もあり、各アプリで挙動に差が出ている状況。
一概にどの指標をKPIとしてマーケティング活動をすべきかはまだ判断が難しい。
次回はアプリに限定せず、web領域での挙動の変化についても言及してまります。
まもなく訪れるアンチトラッキングによる運用型広告の営み崩壊を前に、
広告におけるダメージを最小限にすべく、
今から各社対応/対策すべき内容について今後も語らってまいります。
引き続きよろしくお願いします。
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前職でメディア運営、SEM運用業務を経験。Web広告に魅力を感じ、知見を深めたい思いから2014年D2C Rに中途入社。クライアントパートナーとして、顧客に寄り添うマーケターを目指している。2児のパパ。趣味は子供とドライブに行くこと。