Cookie Less時代にGoogleから提唱する新たなターゲティング手法~未来を読み解く~
柳澤 匡
はじめまして。
P&D本部ディレクション部の柳澤です。
今回は、7/13に公開になった記事
「最新のCookie規制の延期までのデジタル広告の変遷をさらっとおさらい! ~未来を読み解く~」に続く内容となっております。
Cookie規制の変遷が分かった上で、実際にGoogleが提唱するCookieに代わる技術、
『FLoC』や『FLEDGE』は一体どんな手法なのか?
できるだけシンプルにお伝えできればと思います。
Cookieに代わる新たなターゲティング
GoogleのCookie撤廃のアップデートが延期になりましたが(2021年7月現在)、
引き続きGoogleが提唱する個人情報を保護した形でのターゲティング手法が注目されております。
その名も『FLoC』と『FLEDGE』。
どちらもFから始まっており、これまた難しそうな名前だ・・・と思っている方に向けて、
非常に簡単に説明しますと、
■FLoC :興味関心ターゲティング
■FLEDGE :ブラウザ上でのオークション
を実現する仕組みとなっております。
具体的にどういった内容なのか?この後、それぞれに関して深掘って参ります。
FLoCとは
そもそもFLoCとは、Federated Learning of Cohortsの頭文字を取って作られた言葉です。
直訳すると、
・Federated⇒連なった
・Learning⇒学習
・of Cohorts(以後、コホート)⇒の集合群
直訳をわかりやすく表現すると、個人を特定することなく、匿名の集合群として捉え、広告配信対象とする技術を指します。
一体どういうことか、図をご覧ください。
Googleブラウザを利用するユーザーは、Web上で行った行動を基に、
Googleのコホート分析によって複数の集合群にカテゴライズされます。
※コホート・・・オーディエンスを抽出する技術を指し、
FLoCはコホートを活用して広告配信用のセグメントへ変化する技術を指します。
当初ユーザー単位で個人の興味関心がカテゴライズされておりましたが、
①家電に興味あるユーザー群
②旅行に興味あるユーザー群
③スポーツに興味あるユーザー群
といったユーザーの集合群で分類する処理が行われます。
つまりは個々の閲覧データに関して、他者に共有されること無く、
個人のプライバシー保護を尊重した形で、セグメントを形成する技術がFLoCであるのです。
FLEDGEとは
FLEDGEはFirst “Locally-Executed Decision over Groups” Experimentの頭文字を取って作られた言葉となります。
直訳すると、
・First⇒最初の
・“Locally-Executed Decision over Groups”⇒グループに対するローカルで実行された決定
・Experiment⇒実験
となります。
Googleが過去に提唱していたTURTLEDOVEをより実用化したもので、
アドサーバで行われていた広告オークションを、ブラウザ上で実行するものとなります。
ブラウザに保存されたユーザー情報と、外部の「信頼されたサーバー」から送られるメタデータに基づいて、
ブラウザ上で広告枠のオークションを行えるようにすることを目指しております。
※「信頼できるサーバー」に関しては、現状はブラックボックスになっており、詳細情報は不明となります。
ブラウザ上でオークションが完結するため、広告オークションへのデータ流入を制限し、
プライバシー保護を実現します。
まとめると、コホート技術を通じて個人を特定しない形で、配信対象セグメントを形成するのが『FLoC』、
そのセグメントに対してブラウザ上でのオークションを行う技術が『FLEDGE』となります。
最後に
いかがでしたでしょうか?
『FLoC』『FLEDGE』ともに、プライバシーを保護した上での広告配信を実現するための技術として
Googleが提唱しております。
今後はCookieが無くなる時代に向けて、プライバシーを保護した形での技術革新がますます進んでいきます。
まだ見ぬ新たな技術の登場に向けて、デジタルに関わる人材としては変化に臨機応変に対応していくべく、
今まで以上に1つ1つの技術への理解を深めることが求められてきます。
本記事では、新たなアップデートに合わせて引き続き更新して参ります。
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P&D本部 ディレクション部所属。 新卒D2Cグループに入社し、大型リスティング案件を中心に運用担当として従事。 その後、エンタメ・金融をはじめ、様々な業種のアカウントコンサルの経験を経て、現在の部署にてGoogleのメディアパートナーセールスを担当。 趣味はダブルダッチで、世界大会出場の経験を持つ。