Tips 2023.11.20

ドコモのデータ、メディア、D2C Rの技術をフル活用
公式アプリ「Coke ON」において、前月比+70%の新規顧客を獲得

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CANVAS編集部

左からD2C R 取締役 椿本氏、日本コカ・コーラ ベンディング事業部 永井氏、NTTドコモ カスタマーサクセス部 酒井氏、NTTドコモ マーケティングイノベーション部 市川氏   

みなさん、こんにちは。CANVAS編集部です。

D2C Rは、NTTドコモとともに多くの企業のデジタルマーケティングを支援しています。
今回は、自動販売機でのドリンクの購入体験をより快適なものにするため、積極的なデジタル施策を展開している日本コカ・コーラ株式会社をサポートしました 20231月~2月にかけて、公式アプリ「Coke ON」の利用を促すため、「Coke ONd払いをしたことがない人(2023年1月29日時点) 」を対象としたポイントプレゼントキャンペーンを実施。ドコモが保有する膨大かつ精緻なデータに基づいた適切な仮説ターゲット設定、dADNWを活用した効果的な広告配信、ドコモの拡張配信AIエンジン「docomo Sense(ドコモセンス)(※以下センス)を利用した確度の高いターゲット抽出などが奏功し、前月比+70%という新規顧客獲得数を達成しています。
D2C Rは、主にメディアの運用やセンスを活用した拡張配信の部分で、本プロジェクトに関わりました。

今回は、キャンペーン開始前に抱えていた課題、取り組みの工夫点、効果などについて、3社の担当者に、座談会形式でたっぷりと振り返っていただいたインタビューをお送りいたします。

この記事を読んでいる方へ

▼SNS×広告 意識調査レポート
・広告表現別の印象
・インフルエンサー/コラボ/UGC風
・好きな広告
・煩わしい広告
・買いたくなる/シェアしたくなる広告
などZ世代の実態を知ることができる内容です。

詳しく知りたい

「自動販売機のイノベーション」を追求し、ともに20年以上、歩み続ける

まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

永井氏:日本コカコーラ、ベンディング事業部の永井です。おもに、当社の公式アプリ「Coke ON」をはじめとするデジタルプラットフォ
    ームを活用したマーケティング施策の企画やサービス開発などを行っています。

酒井氏:NTTドコモの酒井です。私は、2022年に新設されたスマートライフカンパニー(以下、SLC)のなかのカスタマーサクセス部(以
    下、CS部)に所属しております。クライアント様と直接対話しつつ、SLCが提供するマーケティングソリューション、「dポイン
    ト」「d払い」「docomo Ad Network(以下、dADNW)」等を中心に、カスタマーサクセスの実現をめざしたご提案やご支援を
    行っております。

市川氏:NTTドコモの市川と申します。(D2C Rより出向中)私は、SLCのなかのマーケティングイノベーション部(以下、MI部)という
    ところに所属しています。MI部は、クライアント様が抱えるマーケティング課題を解決すべくプランニングを行うセクションで
    す。酒井の所属するCS部と連携しながら、データ、メディア、その他NTTドコモのアセットをフル活用して、顧客ビジネスの成長
    を後押しする施策を立案しています。

椿本氏:D2C Rで営業管掌の取締役をしております椿本です。今回はメディアを運用する代理店としてプロジェクトに携わらせていただき
    ました。おもに、AIエンジン「センス」を活用した拡張配信の部分や、広告運用の設計などに関わっております。   

─ 2023年1月~2月にかけて、d払いのエントリーユーザーを対象としたCoke On利用促進キャンペーンを実施したとお聞きしました。
 キャンペーンに至るまでの、日本コカ・コーラ様とドコモのお付き合いはどのようなものだったのでしょうか?

永井氏:ドコモさんとは、2000年頃からお付き合いをしております。おサイフケータイやiDが始まった頃、キャッシュレス決済の黎明期と
    言ってよいような時代から、20年以上、さまざまな形で継続してタイアップを行ってきました。自動販売機の進化やイノベーショ
    ンを一緒につくってきた、まさにパートナーと言える存在ですね 
    取り組みを始めた当初は、多くの決済サービス事業者が新規ユーザーの獲得を競い合って、盛んにポイント還元キャンペーンを実
    施していました。この流れは、政府のキャッシュレス・ポイント還元事業や新型コロナウィルスの流行などもあって、どんどん加
    速していったように思います。

     現在は、ユーザーが固定化してきて、だいぶ落ち着いてきたような印象ですね。d払いを使うユーザーはいつもd払いを使うし、
    他のサービスを使うユーザーは他のサービスを使い続ける。このような背景もあって、最近は、よりd払いにロイヤリティのあ
    る、d払いを使い続けるユーザーに深く届く施策とはなにかを考えるようになりました。そんな流れや、これまでの関係性があっ
    て、今回のキャンペーンについてドコモさんに相談したという次第です。

Coke ONの新規利用者数がやや停滞・・・。ドコモとD2C Rの知見を生かし、新たな施策に挑戦!

─ キャンペーン開始前に抱えていた課題について、詳しくお聞かせください。

永井氏:自動販売機のキャッシュレス決済対応が始まって約20年、Coke ONがローンチしてから約2年。ほどほどの年月が経過したことも
    あり、最近、少しずつ新規ユーザーの伸び率が鈍化してきたと感じるようになりました。恐らく、アーリーアダプター的なユーザ
    ーに情報を届け切ったということもあるのでしょうね。となると、これまでと同じようなユーザーに情報を届けてもあまり大きな
    効果は見込めません。アーリーアダプターの奥にいるレイトマジョリティ、これまでとは違うターゲットにキャンペーンを届けな
    ければならないと考えました。

    また、dアカウントやd払いの登録者は、約9, 600万人(※2023年6月時点)にのぼると聞いています。その数を考えると、Coke
     ON
d払い利用者は、まだまだごく一部と言わざるを得ません。もっともっとユーザーを獲得できるはず、潜在ユーザーがいるは
    ずだという思いもありました。

     当社の自動販売機は、全国に約45万台設置されています。それらでd払いが使える環境は整っていますので、あとはいかにして今
    まで利用してこなかったお客様に「d払いで簡単に買い物ができる」ということを訴求するかだなと。知ってもらう、気付いても
    らうことが鍵になると感じており、ドコモさんに「新しいアプローチで、新しい層に、キャンペーンを届けられませんか?」と相
    談させていただきました。

ご相談を受けて、酒井さんはどのようにお感じなりましたか?ご感想や、その後の提案内容についてお聞かせください。

酒井氏:私も永井さん同様、「もっとユーザーが獲得できるのではないか」と考えていました。さまざまな取り組みをご一緒するなかで、
    Coke ONCoke ON Payの認知度が高まっていること、同時にd払いがプラットフォームとして成長していることを実感しており        
    いわば成熟期だと感じていましたので、それなら少し実験的に、永井さんのおっしゃる新しいアプローチをしてみたいなと思っ
    たことを覚えています。それですぐに、MI部の市川に相談しました。

市川氏:酒井から話を聞いて、まずは、D2C Rと一緒に、既存のd払いユーザーを分析するところから始めました。ドコモが保有するデー
    タをもとに「既にアプリをダウンロードされているのはどのような方なのか」を探り、顕著な特徴を抽出し、そして、「よく買う
    飲み物は炭酸飲料やエナジードリンク」「ウォーキングアプリを活用」「30~50代の男性会社員」など人物像をあぶり出し
    て・・・。       

椿本氏そうやって属性を細かく分析していき、「このような方であれば新規ダウンロードをしていただけるんじゃないか」という、ベー
    スとなるターゲット像を導き出していったんですよね。

市川氏そうでしたね。さらに、そこを起点にして、Coke ONを取り巻く市場概況、保有データから見える生活者インサイトなどの調査・
    分析を行い 、酒井とも議論を重ねつつ、仮説ベースでターゲット設計を行っていきました。

酒井氏:その仮説を永井さんにぶつけて、ディスカッションするということを繰り返しました。永井さんからは、「既存のユーザーは圧倒
    的にビジネスパーソンが多い」「コーヒーの購入がとにかく突出して多い」など、一次情報や暗黙知の共有も。「今、このキャン
    ペーンを届けるべきターゲットはどういう人か」「今までリーチしていなかったd払いユーザーは既存ユーザーとどう違うのか」
    を考え抜いていきました。

提案段階から、日本コカ・コーラ様、ドコモ、D2C Rが、それぞれの立場で知見を寄せ合い、連携しながら新たなターゲットを模索し
 ていったのですね。

市川氏そうですね。2022年の11月頃にご相談いただいて、そこから約2か月。週次でミーティングを行い、3社で密に議論を交わしなが
    ら仮説ターゲット像を磨き上げていきました。そして、20231月。「100円以上のコカ・コーラ社製品をはじめてd払いで購入し
    た利用者に対し、150ポイントのdポイントを付与する」というキャンペーンを打ち出し、Googleディスプレイネットワークや
    dADNWを利用したPRを開始したのです。

3段階の施策、クイックな改善対応で、前月比+70%の新規顧客獲得数を実現

今回の施策は、012と、3段階のステップで行ったとお聞きしています。詳しい内容についてお聞かせいただけますでしょうか。

椿本氏仮説ターゲットに対して広告を配信するという実験的な取り組みだったこともあり、データの分析、仮説ターゲットの精緻化やプ
    ランの見直しなどを短期間で小幅に行いました。

    提案段階に行ったのが、ステップ0の作業。先ほど市川さんからお話があった通り、「既にアプリをダウンロードされているのは
    どのような方なのか」などを細かく分析しました。続くステップ1(キャンペーン前半)では、ステップ0で導き出したターゲット
    に実際に広告配信を行って効果を検証。ステップ3(キャンペーン後半)では、ステップ1で得られたCVRなどをもとに、ドコモの
    拡張配信AIエンジン「センス」を使用して、ターゲットの拡張とセグメントの精緻化に取り組んでいます。

─ キャンペーン前半は、予測していたほど数字が伸びなかったとか。原因や、リカバリーのために行った工夫や改善についてお聞かせくだ
 さい。

椿本氏キャンペーンが始まった頃は、さまざまなメディアを使って広告を配信していました。ところが、数字が伸びない。この事実を受
    けて、CVした人の動きや、各メディアのデータを詳しく見てみたところ、明らかに効果の低いメディアと、突出して効果が高いメ
    ディアがあることがわかったのです。

酒井氏:そこでメディアを、突出して効果が高かったdADNWに絞ることにしました。dADNWとは、ドコモユーザーやdポイントクラブ会
    員など、幅広い層のユーザーに対してセグメント配信が行える運用型の広告サービスです。主に、ドコモが運営する3つのメディア
   「dメニュー」「メッセージS」「マイマガジン」に広告を配信することができます。
   これらに、dADNWでしかブローチできない層、d払いへのロイヤリティの高い方やレイトマジョリティ層が、多く接触していること
   がわかりました。メディアを絞るという思い切った方向転換をしたことで、数字がグンと伸長しました。

椿本氏:あわせて、ドコモの拡張配信AIエンジン「センス」を活用し、ターゲットの拡張とセグメントの精緻化にも取り組みました。「セ
    ンス」によって、キャンペーン中にCVした人たちと似たような属性・傾向・嗜好・位置情報を示すユーザーを拡張し、新たな仮
    説ターゲットと位置づけて広告を配信。 CVCVにつなげるこの施策も、新規ユーザーの獲得に大きく寄与したものと思っていま  
    す。

取り組みの効果やご感想についてお聞かせください。

永井氏:新規顧客獲得数が前月比+70%と驚くほど伸長しました。これはドコモさんとD2C Rさんがクイックに対応してくださったおかげ
    です。「数字が伸びない」となったときも、前向きかつ柔軟に、素早く、次の打ち手を講じてくださいました。

    自動販売機は、消費者のご家庭や職場から歩いて5分ぐらいの範囲に1台程度はあるような身近なもの。かつ、購入単価も200円以
    下と、高価なものではありません。ですから、認知してからじっくり検討をするような時間はほぼないんですよね。そのような自
    販機ならではの特性もあって、こういうキャンペーンは、いかに早く、適切に、届けるべく人に情報を届けるかが重要だと思って
    きました。効果がないならすぐやめたほうがいいし、対策があるならすぐ講じたほうがいい。

    冒頭でお話した長いお付き合いや密なコミュニケーションがあったからこそだと思うのですが、我々のそうした考えや事情を理解
    して、積極的に、スピーディーに動いていただけた。そこが非常によかったなと思っています。

酒井氏:今回の取り組みを通じて、ドコモデータをベースにした仮説ターゲット設計の有用性、約9,600万人というドコモユーザーのポテ
    ンシャル、dADNWのメディアとしての強さ、「センス」による拡張配信の有用性など、私たちとしても幅広い強みがあることを     認識できました。

    他にも、ドコモユーザーを深く理解した“刺さる広告クリエイティブ”を生み出せる点、位置情報を加味したデータ分析ができる  
    点、情報開示を許諾してくださっているユーザーが多い点など、ドコモならではの強みはたくさんあります。

    こうした強み、経験、手応えを、引き続き、日本コカ・コーラ様との取り組みに生かしていきたい。そして今後は、さらにより多
    くの企業様に提供していきたいと考えています。

椿本氏:そしてなにより、今回の取り組みで、ある程度“勝ち筋”のようなものが見えたところがよかったなと感じています。前半では苦労
    やつまずきもありましたが、試行錯誤や改善を繰り返し、結果的に高い効果を得ることができた。この経験を踏まえて、継続的  
    に、さらなるご支援をしていけると嬉しいですね。酒井さんのおっしゃるように、他の企業様のご支援にも、ゆくゆくは生かして
    いきたいと思っています。

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広報の川向です。デジタルマーケティング情報を発信する『CANVAS』の運営&編集担当。中の人としてTwitterはじめました(@canvas_d2cr)。テキストは標準語ですがしゃべると関西弁。最近つけてもらったあだ名はゲリラ広報。

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