話のリアリティが増す魔法の言葉、教えます。
高尾 智章
こんにちは、ストラテジックプランナーの高尾です。
数ある記事の中から、この記事をご覧いただきありがとうございます。
実績のお話やツールを有効活用した調査のお話など、一歩踏み込んだweb広告業界を感じられるところが、こちらCANVASの特徴ではございますが、本日は一歩引いた、広い面での“考え方”についてお話できればと考えております。
ビジネスマンとしての経験を長く積まれた方や、業界知識を求めてご覧になった方にとっては少々退屈に感じられるかもしれませんが、実例や経験談を交え、タイトル通りリアリティのある内容を目指しますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
さて、我ながら詐欺のようなタイトルを付けての書き出しとなりましたが、本日は実際に私も使っている、魔法の言葉を2つほどお伝えします。
とはいえ、この言葉を使ったから「コンペに勝てた」とか「新規案件を獲得できた」とか「彼女が出来た」となるわけではありません。
あくまでも、それらの勝率を上げるための仕込みに使うもの、くらいのイメージとしてお考え下さい。
Magic Word Ⅰ なんで?
「は?」と思われた方も多いかと思います。しかし、それこそが重要なんです。
「なんで“なんで”が魔法の言葉なんだよ」
それです。
なにかしらの発言をしたら理由を求められるのは至極当然。上司や決裁者から「“なんで”このクリエイティブで獲得できるの?」や「“なんで”CPA上がったの?」と聞かれるシチュエーションは容易に想像できますよね。
逆に、私が決裁者側の立場だった場合、“なんで”に答えられないような施策に判を捺したいとは到底思えません。
つまり、この“なんで”を攻略できるか否かが、実施の明暗を分ける大きなポイントとなるわけです。
そして、“なんで”が起きている以上、必ず理由は存在します。
ここでひとつ、私が小学生だったころのお話を例にとってご説明します。
たしか小学1年生の頃だったと思うのですが、ある日消しゴムを忘れてしまった私は隣の席の女の子に消しゴムを貸してもらえないかお願いすることにしました。
すると女の子は「なんで?」と答えます。当然、私は「家に忘れたから」と答えます。
そしてここからが未だに私の記憶に深く残っている要因なのですが…。
女の子「なんで?(忘れたの)」
私「宿題やってて」
女の子「なんで?(宿題やってたの)」
私「先生が出したから」
女の子「なんで?(先生は宿題を出したの)」
といった具合に、女の子の威圧感も合わさりこの辺りで私は泣き崩れてしまいギブアップ。
結局、他の友達に消しゴムを貸してもらうという結末を迎えたわけですが…。
もし当時の私にもう少し行動力があったのなら、先生に宿題を出した理由をヒアリングし教頭先生の方針であることが発覚、教頭先生に再度ヒアリングするくらい、学内で追いきれなくなるまでは頑張ってみたかったと思います。
と、話はだいぶ壮大になりましたが、私を営業マン、女の子を上司、先生を提案したいメディアの媒体担当といった風に置き換えた場合、こういったケースがあり得ないことはないのではと思います。
もちろん、本件の女の子みたいに高圧的な態度で「なんで、なんで」連呼するような上司の場合は、メディアより先に労働基準監督署にヒアリングすべきですが、少なくともそれが新メディアでの配信を実施するにあたって必要な疑問である場合は、ノータイムで答えられるに越したことはないはずです。
そして、“なんで”に答えられるようにするため、はたまた“なんで”が起きないようするためには、全て事前の調査がものをいいます。
以下、私が実際に行った調査を一部漫画にして記載します。
といった風に議題から“なんで”を追求し、商材の問題点に行き着くまで調査します。
こうすることで、疑問を未然に防ぐだけではなく、調査すべき内容や提案の方向性を決めることにも貢献できるんです。
繰り返しになりますが、“なんで”が起きる以上、理由はちゃんと存在します。
続けようと思えば無限に続く“なんで”ですが、必ず提案に信ぴょう性、リアリティを付加することが出来ますので、根気よく、納得のいくまで続けてみてください。
Magic Word Ⅱ だからなに?
決して他人に圧力を掛ける意味合いではありません。ここでの使用方法はあくまで自問自答、あくまで提案の質を上げるための言葉です。
他者に使用するにしても、同じ案件を担当するチームメイトや客観的な意見を求められたときなど、前後の言葉に注意して使ってください。
とはいえ、こんなに便利な言葉もありません。ぜひ、前述の“なんで”と併用してご使用いただきたい言葉です。
“なんで”の項目でもお伝えしましたが、あの手の調査は続けようと思えば無限に続きます。
良い塩梅で切り上げたとしても、きっと調査で得た内容は膨大なものになっているでしょう。
そんなときに起こりがちなのが、報告プレゼンです。
膨大な量の調査をしていると、納得するデータを得た段階でなんともいえない達成感が生まれてしまい、その勢いのまま資料を完成としてしまうことも往々にしてあります。
しかしこれでは、ただ調査内容を報告しているだけで、具体的な戦略も改善案もなにもありません。
調査データは、プロモーション施策に生かして初めてその役目を果たします。
一度、調査を終えた段階で、自分に“だからなに?”と投げかけて見て下さい。
もし調査だけで満足してしまっている場合は、きっと「○○ってデータが出ているんです!」といった報告じみた言葉しか浮かんできません。
聞く側が欲しいのは「○○ってデータが出ているので、こんな施策をしましょう」です。
では、ここで今一度“なんで”の項目の例を見てみましょう。
決裁者「そうですか…」
話に落ちがなく、相手にディスカッションする気がない場合、この一言でプレゼンが終了してしまいますよね。これが報告プレゼンです。
しかも上記の場合ですと、同コンセプト商品の欠点についても触れているため、受け取り方によってはネガティブな、ユーザーが定着しない市場なのでは?といった印象を与えてしまう可能性すらあります。
こういった状況を回避するためにも、調査を終えた段階で必ず“だからなに?”をイメージしてみてください。
例えば、上記の例に当てはめてみると、
といった具合に、話に落ちがつきます。
こちらは意図的に結論を隠していたため、少々強引な印象を受けますが、下記のようなケースでも“だからなに?”は有効です。
こちらは結論に着地するための“だからなに?”ではなく、次回につなげるためのポジティブな表現となります。
聞きようによっては「それがどうした?」みたいな開き直った表現にも思えますが、刺さらなかったから別訴求のデザインを作るのは少々もったいないです。
もちろん、新しい訴求のクリエイティブは早急に作成すべきなのですが、件のクリエイティブには「季節訴求が特定の人には刺さらないことが分かっているデザイン」というアドバンテージがあります。
それらを除外したユーザーにぶつけてみるのも、良いデータが見つかるきっかけになるのではないでしょうか。
こうした発想の展開にも“だからなに?”は非常に有効です。
なにかデータが取れた際、一度自分の心に“だからなに?”と問いかけてみてはいかがでしょうか。
さいごに
マーケティングではよく5W1Hなんて言葉が用いられますが、今回ご紹介しました2つの言葉もその一環です。
ただ、時期(When)の決まっていないプロモーションを考えなければならないケースもあれば、人(Who)を選ばずオールリーチで配信しなければならないケースなど、必ずしも5W1Hが全て揃わないシチュエーションも存在します。
しかし、なんで(Why)、だからなに(So What)、この二つはどこへ行っても必要となる要素の塊です。
小学生でも使いこなせるワードではありますが、ビジネスマンとして生きる今だからこそ活用の幅が広がるのではないでしょうか。
ぜひなにか悩んだときには、しつこいぐらい使ってみてください。きっと面白い答えが見つかるはずです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
営業本部 ストラテジックプランニングチーム所属。2019年4月、ゲーム営業部より異動。複数の案件で企画設計を中心に業務しています。民族音楽が好きです。