【図解】時系列でインサイトについて考えてみた
本田 英一郎
こんにちは、ストラテジックプランナーの本田です。
さて今回はインサイトがテーマになるわけですが、職種柄ターゲットのインサイトを考える場面が多々あります。なのに、これがなかなか難しく日々四苦八苦している状況です。特に私はターゲットの『現在』ばかりに目がいきがちで捉えるべきインサイトを見逃すことがあります。そんな私が実践で考慮している『時系列』をキーワードに据えたインサイトの捉え方について、事例を交えてお伝えできればと思います。
目次
談話:痛風について
同僚と会話したときの内容を例にして、早速解説していきたいと思います。
それはある日Y氏とキャンプに行ったとき・・・
Y氏:「この前ゾッとしたことがあってもしかしたら20歳で痛風を発症してたかもしれないんですよ」
私:「え…?! 2年前に発症したのが初めてじゃないの?」
Y氏:「翌々思い返してみると、大学時代に足の指先いてぇーなって、思ったことを思い出したんす」
私:(ほぉ…)
後日・・・
私:「そいえばこの前の痛風の話だけど、最近発作は出てないの?」
Y氏:「最近は出てないですよ。痛風キッカケじゃないですけど最近は筋トレしてます。楽しいですよ」
私:「良かったね。オレも意識的に体を動かさないとな。因みに、食べ物にも気を付けた方が良い病気なの?」
Y氏:「気を付けるに越したことないですよ。ただ自分の場合は食事より運動派ですね」
私:「対処法は色々あるわけか。もう痛風の発作はごめんだ!って思う?」
Y氏:「嫌ですよ。でも回数こなすと慣れてくるんですよ。知人の場合は痛いだけで、薬を飲めば耐えられるって。話してて笑いましたw」
私:「猛者wwwつまり痛さに耐えられれば、痛風に対する恐怖心は薄れていくのか」
これまでの会話を『時系列』に落とし込んでインサイトを捉えていきたいと思います。
図解:時系列で考えてみた
トンマナ整理
時系列で考えるに辺りグラフの横軸を時とし、縦軸を尿酸値としてみました。基準値のゾーンで推移していく分には痛風になる恐れがないというわけです。
過去Y氏は基準値を超えていた
尿酸値が基準値の2.0~7.0mg/dLを超える数値であった。当時20歳のY氏は痛風(仮)を発症。尿酸値を気にする年齢でもないし、まさか痛風を患っているとも気付かず放置。
Y氏の痛風発症
そして、ついにその時が。Y氏は2?歳にして痛風発症(自覚)。当時の事は私も鮮明に覚えており、捕獲前のモンスターと言わんばかりの悶えようでした。
健康体へ
痛風の痛みをキッカケに筋トレを中心とした生活改善を実行。尿酸値を下げ、痛風の発作を防ぐため努めた結果です。
なぜ現在に至ったか
ここで注目すべきは筋トレをするに至るインサイトが『もう二度と痛風の発作だけはごめんだ(強迫観念)』であること。また、この時点では、あくまで筋トレの価値規定は理想を手にする一手段という点です。
未来に対してパターンA
未来をどう思い描くか?は人さまざま。「痛いだけで耐えられる」つまり『死にはしない』というインサイトが存在し、薬で痛みを押さえる行動パターンが生まれています。
未来に対してパターンB
筋トレが習慣化した行動パターン。インサイトが『もう二度と痛風の発作だけはごめんだ』から『筋トレって楽しい』へと変化。この時点で筋トレの価値規定が目的へと変化し、尿酸値の維持・低下は付加価値となっています。
十人十色
パターンA・Bに限らず、あらゆる可能性をトレースすると図のようにカオスな状況が出来上がります。
変遷からインサイト
過去・現在・未来にトレースした変遷に応じて、様々なインサイトを導くことが可能です。
解説:補足事項
カスタマージャーニーを描く要領で『過去・現在・未来』の3点を抑えることでインサイトを抽出することが出来ました。
この方法で考えるとインサイトは無数に存在することが分かります。そこで市場調査の実施により、さまざまな変遷の優先順位を付けることができます。また運用型広告による効果検証も有効な手段です。
事例が痛風だったので数値(尿酸値)で追うことが可能で分かり易い事例かな?と思い選んでみました。数値以外にも「ネガ・ポジどっちの感情に触れたか?」という変遷を作るだけでも考える糸口になりそうです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?ユーザーの状態を『時系列』にトレースすることで、MECEのあるインサイト抽出が出来ると思います。読者の中で「何か足りない、漏れてそうだな」と感じることがある方は、一手段として時系列にトレースしてみてはどうでしょうか。
ストラテジックプランニング部 ストプラチーム所属。新卒では食品商社の営業を経験。2015年 D2C Rに転職後、プランナー・ADNWやSNSの広告運用・メディアセールスを従事。エンタメ系のアプリを中心に案件を担当。猫の心情をくみ取るのが得意です。