Data 2022.12.08

Facebook コンバージョンAPI(CAPI)とは~誕生の背景から仕組み、実装方法まで~

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星野 いずみ

みなさん、こんにちは。
D2C R メディア&ソリューション本部の星野です。

直近、各メディアでリリースが相次いでいるCookie規制の対策メニュー。

特に「コンバージョンAPI」と呼ばれる機能は、
Facebookをはじめとして、Google、LINE、Yahoo!、Twitterが続々とリリースしているため、
デジタル広告に携わる方は聞いたことがあるのではないでしょうか?

今回は、その「コンバージョンAPI」について、
Facebookを例に誕生の背景や仕組み、メリット、実装方法などを
できるだけわかりやすく解説いたします。

この記事を読んでいる方へ

▼2024年8月の媒体アップデート情報
・Googleの配信先にXが追加
・Yahoo!の配信面/FMTアップデート
・MetaのFQのアップデート
・LINEのFMTアップデート
など広告担当者必見の内容になっています。

詳しく知りたい

コンバージョンAPI誕生の背景

プライバシー保護・Cookie規制の潮流

前提

近年、ユーザーのプライバシー意識が高まっており、
法律による規制とブラウザやデバイスの技術的規制の2軸で人々のプライバシーを守る体制が着々と強化されています。プライバシー保護・Cookie規制の潮流

法的規制

まず、法律面による規制では、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(米カリフォルニア州消費者プライバシー法)、
また日本国内だと今年4月には改正個人情報保護法が施行され、
Cookieをはじめとする個人識別子やWebの行動履歴の使用制限が行われています。

技術的規制

ブラウザやデバイス側の技術的な規制という観点だと、
AppleのITPによるSafari、iOSでのCookieの使用制限や広告IDである
IDFAの取得に際してのユーザーの同意取得義務化は既に行われており、
2024年後半には、「Chromeにおいて3rd Party Cookieを廃止する」とGoogleが宣言しています。2024年後半には、「Chromeにおいて3rd Party Cookieを廃止する」とGoogleが宣言しています

ユーザーのプライバシーは当然保護されるべきです。
ただし、ビジネスの成長には、データ活用が必要であることも事実です。

そのため、これまでと方法を変え、透明性を担保したデータの利活用方法を模索していかないと、
今までのようなマーケティング・プロモーションを行うことはできなくなるという側面が
「プライバシー保護」の取り組みには存在しているのです。

デジタル広告への影響

では、デジタル広告にはどのような影響があるのかご説明します。

Cookie、中でも3rd Party Cookieについては、
デジタル広告の効果計測やターゲティングの識別子として利用されており、
使用制限や規制が起こると広告配信の取り組みへ大きく影響します。

識別子である3rd Party Cookieが欠損してしまうと、
メディア側は広告に触れたユーザーがCV地点等に到達したのか分からなくなります。

それによって単純なCV数の減少に加え、
最適化学習機能の低下やリターゲティング母数の減少を招き、様々な悪影響をもたらしてしまうのです。デジタル広告にはどのような影響があるのか

そこで直近、各メディアは3rd party Cookieの廃止に向けてソリューションを展開しています。

Facebook コンバージョンAPI(CAPI)とは

概要

各メディアがプライバシー保護とデジタル広告の効率性を
両立させるものとして展開されているソリューションは、「コンバージョンAPI」と呼びます。
※メディアにより名称や仕様が若干異なります。

従来のCookieに依存した計測・配信から脱却するため、
ユーザーから事前に同意をもらっている前提で、1st Party Dataを用いて計測する機能です。

本記事では各メディアの中で一番早く「コンバージョンAPI」をリリースした、
Facebook社を例に仕組みをご説明します。

仕組み

具体的には、広告主のクライアントサーバーからFacebook社の広告サーバーへ
イベント情報とハッシュ化したメールアドレスなどのユーザー情報(1st Party Data)を送信する仕組みです。FacebookCAPIの仕組み

詳細としては、CVしたユーザー情報と
Facebookユーザー情報をマッチングすることでCV計測を可能とします。

ユーザー情報は常にハッシュ化された状態で利用され、マッチング後は自動で削除されます。マッチングの仕組み

必要なデータ

コンバージョンAPIでFacebookサーバーに送信するものとしては、
イベント名や発生時間に加えて、Cookieに代替する識別子としてユーザーに関する情報を送信します。
送信するデータが多い程、計測精度は向上します。必要なデータ一覧

詳細は下記をご確認ください。
他にも送信できるデータやパラメータ、書式などが確認いただけます。
パラメーター – コンバージョンAPI

Facebook コンバージョンAPIの実装方法

コンバージョンAPIを実装する方法としては、大きく下記の4つに分けることが出来ます。
それぞれ、仕組みやメリット、デメリットなどを説明いたします。

①自社で開発を行う
②パートナー統合の利用
③Googleタグマネージャーのサーバーサイドタグの利用
④コンバージョンAPIゲートウェイの利用

①自社で開発を行う

自社サーバーからFacebookサーバーへデータを送信する仕組みを一から自社で構築する方法です。自社開発

メリット

①他メディアのコンバージョンAPIへの応用性が高い
 自社で一連の開発を行うため、仕様が異なるメディアのコンバージョンAPIに対しても、
 調整を行うことが出来ます。
 そのため、一度仕組みを構築してしまえば、他メディアの実装において応用が利く可能性が高いです。

②CV地点でユーザーデータが取得できない場合でも実装可能
 CV地点でメールアドレスなどが取得できない場合でも、
 この実装方法ではクライアントサーバーを経由して後から送信することができるため、
 コンバージョンAPIの実装が可能になります。

③オフラインのコンバージョンも計測・最適化に活用できる
 来店や店舗購買のデータを取得している場合、そのデータをFacebook上に送信することが可能となり、
 最適化学習やCV計測に活用できます。
 そのため、よりビジネス全体のゴールに近い指標を取り扱うことができます。

デメリット

一からコンバージョンAPIの仕組みを行うには、
設計・開発だけでなく、運用保守を行うことができるエンジニアのリソースが必要になります。

費用

設計・開発・運用保守に伴う費用が発生します。

②パートナー統合の利用

ShopifyやWordPressなど、FacebookコンバージョンAPIとの統合を提供しているパートナー経由で
コンバージョンAPIを実装する方法です。統合パートナー一覧

メリット

パートナーにもよりますが、コンバージョンAPIの仕組みを1から開発する必要や複雑なコードを書く必要がなく、
比較的簡単かつ素早く実装が可能です。

デメリット

統合パートナー経由の実装に対応しているのは現状Facebookのみとなり、
他メディアのコンバージョンAPIへの応用性は現状だと低い点が懸念です。

費用

パートナーによって費用は変わります。

③Googleタグマネージャーのサーバーサイドタグの利用

GA4とGTMのサーバーサイドコンテナを利用し、タグベース(サーバーサイド)で必要なデータを送信する方法です。
複雑な開発は不要で、場合によってはノーコードで実装が可能です。サーバーサイドタグ

メリット

GTMやGCPの設定のみで完結するため(場合によってはサイトコード改修もあり)、比較的簡単かつ素早く実装可能です。
また、②パートナー統合の利用 や ④コンバージョンAPIゲートウェイ利用 の方法よりも他メディアへの応用性が高いです。

デメリット

①自社で開発を行う 方法と比較すると他メディアへの応用性は下がります。
GoogleやYahoo!については、本実装で設定したデータ取得設定を転用することが可能ですが、
現状APIでの実装のみ提供しているTwitter、LINEについては別途対応が必要になります。

費用

GCPのサーバー費用がかかります。
※トラフィック量に応じて変動がございます。

④コンバージョンAPIゲートウェイの利用

AWSを活用したコーディング不要のセルフサービス型の設定です。コンバージョンAPIゲートウェイ

メリット

ノーコードで比較的簡単かつ素早く実装が可能です。
また、コンバージョンAPIの仕様アップデートに自動対応されるため、
メンテナンスコストが軽減されます。

デメリット

他メディアでは本実装方法の提供はしていないため、他メディアへの応用性がありません。
また、ノーコードではあるものの、AWSの契約が必要であり、
AWSのサーバーサイドエンジニアリングに関する知見などが必要です。

費用

AWSのインスタンス費用がかかります。

まとめ

実装方法まとめ

FacebookコンバージョンAPIのメリット/デメリット

メリット

ITPで既に欠損している、または今後Chromeの3rd Party Cookie廃止で欠損するCVを補完することができ、
費用対効果・配信ボリュームの維持や改善が期待できます。

デメリット

ユーザーデータを利用することになるため、法的な確認・整備を丁寧に行う必要があり、
また、実装方法によってはエンジニアのリソースが大きく必要になります。

まとめ

コンバージョンAPIの実装には、時間と費用が必要です。

一方で、3rd Party Cookie規制を対策しないままでは
前述の通りCV計測に大幅な欠損をもたらし、効率悪化や機会損失を招く未来が見えています。

今回ご紹介させていただいた手法や仕組みについて理解を深め、
実装手法や時期についてじっくりご検討されることをお薦めいたします。

本記事が少しでもご参考になれば幸いです。

 

ATT実装前後の挙動を追う ~未来を読み解く~

最新のCookie規制の延期までの変遷をさらっとおさらい! ~未来を読み解く~

この記事を読んでいる方へ

▼2024年8月の媒体アップデート情報
・Googleの配信先にXが追加
・Yahoo!の配信面/FMTアップデート
・MetaのFQのアップデート
・LINEのFMTアップデート
など広告担当者必見の内容になっています。

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星野 いずみ

メディア&ソリューション本部 データマーケティング室 データアクセラレーターチーム。 プライバシー下における広告効果評価環境の設計や整備、 TableauやLooker Studioを活用したデータビジュアライズが得意。 ファッションやインテリアなどデザインにまつわることが大好き。

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