イベント活用でROASが2倍アップ!リテンション施策の実例を紹介
CANVAS編集部
D2C Rの川畑瞳です。D2CRへ入社後、現在はリテンションチームにて、 主に運用を担当しています。
D2C Rにはリテンションを目的としたマーケティング活動を支援する専門のチームがあります。自社DMPを用いて、ユーザー分析から広告運用、その後の評価から効果改善までワンストップで行えるため「結局、何が良かったの…?」と曖昧になってしまうようなことは無く、一貫したマーケティング支援の実現を可能にしています。
今回はそのリテンションチームで劇的に効果改善したイベント活用の広告配信施策についてお話ししたいと思います!
DMPの導入を検討している、DMPを導入したけれどイマイチ上手く活用できていない、といった方々のヒントになれば幸いです。
目次
対象案件
今回、対象となった案件の概要です。
・IPタイトルのゲームアプリ
・DMPを導入して約1年
・課題はROAS(費用対効果)
※今回の目標:当月ROAS100%以上(通常目標は3ヶ月ROAS100%)
新規ユーザーの獲得が先細り、次なる打ち手を模索。更なる潜在層を開拓していくことよりも既存ユーザーの離反防止と売上拡大に主眼を置くことを選択し、DMPを導入した背景があります。
設置イベントの確認
今回、ご紹介する案件で設置しているのは下記のようなイベントです。(一部抜粋)
(図1)
イベントを設置することで、ユーザーを切り分け(組み合わせ)て広告を配信することができます。
※「イベント」については下記記事でも解説しています。
【エンジニアじゃなくても出来る!簡単アプリ内分析】「イベント」の有効な活用方法について
今回の案件では、それまでアプリ起動イベントのみをリテンション広告の配信セグメントに活用しており、以下の通り休眠期間を分けて広告を配信していました。
・3日~14日休眠ユーザー
・15日以上休眠ユーザー
※休眠ユーザー…ここでは、使用していたアプリを開くことがなくなり一定期間経過してしまったユーザーを指します
3,課題の確認
今回の目標である当月ROAS100%以上を達成するためには、何を改善していけば良いでしょうか?まず、ROASを分解すると「売上」と「広告費用」になります。更に、この2つを分解すると、
<売上>
・リテンション広告によって休眠復帰したユーザー数(CV)
・1人あたりの平均課金額(ARPU)
<広告費用>
・リテンション広告によって休眠復帰したユーザー数(CV)
・休眠復帰ユーザー1人あたりの平均獲得コスト(CPR)
となります。
(図2)
つまり、ROASを改善するには、
①1人あたりの平均課金額(ARPU)を上げる
②休眠復帰ユーザー1人あたりの平均獲得コスト(CPR)を下げる
この2つが打ち手となります。
今回は、CPRを下げることを目的とした②の施策を実施しました。
下記図が改善前2ヶ月間の配信実績です。
■CPR(休眠復帰ユーザー1人あたりの平均獲得コスト)
(図3)
セグメントによりCPRに大きく差があることが分かります。
この場合、「3~14日休眠」のセグメントでの獲得数を伸ばし、「15日以上休眠」のセグメントでの平均獲得単価を下げるという2軸でのアプローチを行うことが理想的です。
活用したイベント
今回は、CPRを下げることを目的に2つのセグメントを追加致しました。
15日以上休眠ユーザーの平均獲得コストを下げるために組み合わせたイベント
・チュートリアル突破イベント
アプリをインストールした後、チュートリアルを突破できずに休眠してしまったユーザーは、自らが求めていたゲームとは異なっていたと判断した可能性が高いと想定します。
再度プレイしてもらえることは考えにくいため、チュートリアルを既に突破したユーザーに絞って広告を配信し、休眠復帰を促していきます。
3~14日休眠したユーザーの獲得数を上げるために組み合わせたイベント
・課金完了イベント
今回は「過去1年間で1回以上課金経験のあるユーザー」を追加致しました。
過去に1回でも課金経験のあるユーザーは、未課金ユーザーと比較してゲームに魅力を感じている(魅力を感じていた)ことが想定できるため、再度ゲームをプレイしてくれる可能性が高いと言えます。
このように、ユーザーにとってハードルの高い行動イベントを1つ組み合わせることで、よりコアなユーザーセグメントを形成することができます。
また、ただセグメントを作成するだけではなく、広告配信に必要なユーザー数を確保することも考慮しなければいけません。
当初は、「3~14日休眠×課金完了」のセグメント作成を想定していましたが、広告配信に十分なユーザー数に達しなかったため、「3日以上休眠×課金完了」セグメントを作成致しました。
また、2つのセグメント内容に重複が発生するため、同時に2セグメントを追加するのではなく、セグメントを増やすタイミングを6月と7月に分けて配信を行いました。
結果
上記施策の結果として、CPRの大幅な削減に成功致しました。
(図4)
※7月のタイミングで「15日以上休眠(チュートリアル突破除外)」セグメントのCPRが更に改善しているのは、入札調整を行い、配信ボリュームを最小限に(場合によっては配信停止)したことが影響しています。
最終的にROASも4月から7月で2倍以上と大幅に上昇し、無事に目標の100%を越えることができております。ROAS改善の要因として、全体のCPR低下に加え「3日以上休眠_過去1年間の課金回数1回以上」セグメント配信の売上向上が寄与しました。
(図5)
今後も、その他のイベントを組み合わせて新しいセグメント配信を試したり、セグメントに合わせたクリエイティブを作成して出し分けたりなど、様々な手法でアプローチしていきたいと考えています。
このように、ユーザーのアプリ利用状況に応じたセグメントを作るには、DMPの活用が必須となるため、まさにDMPならではの施策ということができそうです。
今回は導入初期段階向けの内容でしたが、D2CRではこれまで多くの案件で培ってきた様々なフェーズやニーズに対応し得るノウハウが御座います。是非、お気軽にお問い合わせ下さい。
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■登壇企業及び講演タイトル
・株式会社D2C R 取締役 戸倉優太
「アプリゲーム市場概況から見えるリテンションマーケティングの重要性」
・株式会社Smarprise
アドソリューション局 第2アカウントグループ チーフ 向山知宏氏
「マーケター注目!SMART GAMEが明らかにするヘビーユーザー生の声」
・ポノス株式会社
京開発部プロモーションチーム 高橋啓太氏
株式会社D2C R 運用部 マネジャー 久原博喜
「ART DMPが変えるリテンションマーケティング ~にゃんこ大戦争の活用事例~」
・株式会社アプリボット
運営タイトル統括/執行役員 佐藤裕哉氏
「撤退の危機からセールス20位になるまでにグリモアで学んだマーケティングで大切な事」
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!
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