Data 2024.12.09

Cookieレス時代到来|3rd Party Cookie 規制の背景と影響、対策について

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鈴木 宏和

こんにちは。D2C R アカウントデザイン1部の鈴木です。
Cookie規制、Cookieレスと言われて久しいです。
今回は、そんなCookie規制がどういった変遷を辿り、今現在どのような状況なのか。
そして、どういった影響があり、どのような対策をすればよいのかを包括的に整理しました。

なんとなく、言葉だけが一人歩きしている方も多いと思いますので、ご一読いただき、今後のマーケティング活動を考える上でのヒントになれば幸いです。

この記事を読んでいる方へ

▼2024年11月の媒体アップデート情報
主要広告媒体の最新アップデート情報
・SmartNewsの記事キーワードオーディエンス機能
・TikTokのブランドリフト調査のアップデート
・LINEの最適化地点に設定できる項目が追加
など広告担当者必見の内容になっています。

詳しく知りたい

Cookieとは

「Safari」や「Chrome」などのWEBブラウザに訪問したWEBサイトの行動ログや入力したユーザー情報を一時的に保管しておく仕組みの事です。
下記のようにユーザー、サイト運営者双方にメリットがあります。

下記のようにユーザー、サイト運営者双方にメリットがあります。

1st Party Cookieと3rd Party Cookie

Cookieには、ユーザーが訪れたサイトのドメインが発行する「1st Party Cookie」と別ドメインが発行する「3rd Party Cookie」の2種類があり、それぞれに特徴が異なります。

1st Party Cookie(ファーストパーティクッキー)

発行元:ユーザーが訪問したサイトのドメイン
用途:
・ログイン状態の維持
・入力情報/カート情報の保持
ユーザーメリット:ユーザーの利便性の向上
ユーザーデメリット:サイト運営者に個人情報を預けるリスク

3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)

発行元:ユーザーが訪問したサイト以外のドメイン
用途:
・リターゲティング広告
・ドメイン横断したユーザー行動のトラッキング
ユーザーメリット:関心・興味がある広告の取得
ユーザーデメリット:第三者に行動履歴/個人情報を取得されるリスク

いわゆる、Cookie規制で対象となるものは3rd Party Cookieと言われており、
規制の理由としては個人情報やプライバシーリスクの観点からになります。
また、正確にいえば、3rd party Cookieそのものが廃止されるわけではなく、
各ブラウザにおける「3rd Party Cookieのサポート廃止」と捉えるべきだと言われております。

いわゆる、Cookie規制で対象となるものは3rd Party Cookieと言われており、
規制の理由としては個人情報やプライバシーリスクの観点からになります。
また、正確にいえば、3rd party Cookieそのものが廃止されるわけではなく、
各ブラウザにおける「3rd Party Cookieのサポート廃止」と捉えるべきだと言われております。

Cookie規制の変遷と影響

法的規制とApple

Cookie規制の歴史は、法的規制から始まり、
それに呼応する形で企業の技術規制が行われるという流れで今に至ります。
その始まりとなったのが下記の2者です。

GDPR(EU一般データ保護規則)

2012年に欧州連合で初めて公開され、2016年に正式に制定された、EU内での個人データ保護を強化することを目的とした規則です。2018年5月にEU各国に適用されています。
GDPRでは、すべての個人情報の取得には同意が必要であり、3rd Party CookieもGDPRの定義では個人情報にあたるため、Cookieを取得する際に同意を取ることが義務化されました。

Apple

GDPRに呼応する形で、独自のITPという技術により2017年を皮切りにCookie規制を進めていきました。ITPとはIntelligent Tracking Preventionで、追跡を防止するための仕組みです。現時点では、Apple製品はiphone(safariブラウザ)を中心に3rdPartyCookieの取得が完全に不可能になりました。

現在に至るまでの両者の流れ

その後、現在に至るまで各地域における法的規制とともに、Appleも段階的に技術規制を実施していきます。

法律 地域 時期 概要
GDPR 欧州連合 2016年 EU内の個人データ保護強化を目的とし、
同意取得や削除権などを規定。
違反時には売上高の4%または
2,000万ユーロの罰金が課される可能性。
CCPA カリフォルニア 2018年 カリフォルニア州住民の個人情報の
収集や販売について権利を付与。
データ販売のオプトアウトや削除請求権を消費者に保証。
改正個人情報保護法 日本 2022年 個人データの利用目的明示や
漏洩報告義務を強化し透明性向上を図る。
仮名加工情報や匿名加工情報に関する新たなルールを導入。

リリース日 3rd Party Cookie 1rd Party Cookie ローカルストレージ
ITP1.0 2017/9 24時間 無制限 無制限
ITP1.1 2018/3 24時間 無制限 無制限
ITP2.0 2018/9 即時削除 無制限 無制限
ITP2.1 2019/3 即時削除 7日間 無制限
ITP2.2 2019/5 即時削除 24時間 無制限
ITP2.3 2019/9 即時削除 24時間 7日間
フルITP 2020/3 完全ブロック 24時間 7日間

フルITPにて、IDFAの利用がデフォルト不可|safari以外のiOSアプリ内のブラウザすべてに適応

 

Googleの声明

Cookie規制の撤廃

Cookie規制の変遷を辿ると、GoogleもAppleのITPに続き、「Chromeの3rdPartyCookienoサポート廃止」を段階的に実施をしました。その上で、完全廃止は延期の末、2025年前半を予定されていましたが、2024年7月に「3rdPartyCookieの廃止を撤廃した」と発表をしました。

Cookie規制の変遷を辿ると、GoogleもAppleのITPに続き、「Chromeの3rdPartyCookienoサポート廃止」を段階的に実施をしました。その上で、完全廃止は延期の末、2025年前半を予定されていましたが、2024年7月に「3rdPartyCookieの廃止を撤廃した」と発表をしました。

理由としては、元々Googleはユーザーのプライバシーを保護しながら
効果の高い広告配信を行う仕組みである【プライバシーサンドボックス】の開発に取り組み、
 「完成した暁には3rd Party Cookieのサポートを段階的には廃止していく」と約束しておりました。その上で、CMA(英国の競争・市場庁)の中でプライバシーサンドボックスに対する問題がクリアになっていないことが大きいと言われております。
※3度の延期もその点が主な理由とされております。

今後の方向性

GoogleのCookie規制撤廃の発表により、安堵しているマーケターや広告主も多くいたかもしれませんが、実際には状況は変わっていないと言われております。
業界内では、想定ではあるものの、Googleはアップルのユーザープライバシー保護機能である「App Tracking Transparency(ATT)」に似たオプトインを用いた仕組みをChromeに導入する可能性があると言われております。
ATTとは、アプリのインストール時に「行動トラッキングを許可しますか?」と確認する仕組みのことで、Chromeでも近しい仕組みを導入することで、3rd PartyCookieの機能をオプトアウトさせた状態から「容認するか」を選択させたり、あるいはその逆であったりをユーザー側に委ねるようになります。

もし、そうなれば、結果的に「3rd Party Cookieのサポート廃止」という既定路線は基本的に変更はなく、実施する主体がGoogleからユーザーに変わっただけという見方が出来ます。

また、前述のiOSのITPにより日本におけるモバイル広告の7割は既にCookie規制の影響が出ていることを含め、基本的に状況は変化しておらず、プライバシーサンドボックスもいずれ使うことになると思うので、その動向は引き続き追っていく必要があり、3rd Party Cookieが使えなくなったときのために代替手段の評価・検討もすすめておくべきと言えます。

Cookie規制による影響

規制による影響

前述の通り、既にiOSでは影響が強くでておりますが、Googleの3rd Party Cookieのサポート廃止により、
施策効果の不透明化や効率悪化、ターゲティング精度/母数の減少などの影響があり、
計測観点、ターゲティング観点の2軸で対策が必要とされております。
一方で、現時点では完全に3rd Party Cookieの代替を務める手段はないとされており、ぞれを前提とした対応策が必要になります。

前述の通り、既にiOSでは影響が強くでておりますが、Googleの3rd Party Cookieのサポート廃止により、
施策効果の不透明化や効率悪化、ターゲティング精度/母数の減少などの影響があり、計測観点、ターゲティング観点の2軸で対策が必要とされております。
一方で、現時点では完全に3rd Party Cookieの代替を務める手段はないとされており、ぞれを前提とした対応策が必要になります。

Cookie規制対策

前述の通り、完全に3rd Party Cookieの代替を務める手段はないとされつつ、現時点で考えられる対策や代替案を紹介します。

“計測・最適化” 観点の対策

各広告媒体における1st Party Dataの活用 

各PF企業は3rdPartyCookieの依存から脱却し、広告主の1stPartyDataを識別子として計測できる仕組みを用意しております。これにより、Cookie規制の欠損分CVを補完でき、効果の維持・改善が見込めます。下記以外にも、X、LINE、Tiktok等のPFでも類似の仕組みを用意しています。

各PF企業は3rdPartyCookieの依存から脱却し、広告主の1stPartyDataを識別子として計測できる仕組みを用意しております。これにより、Cookie規制の欠損分CVを補完でき、効果の維持・改善が見込めます。下記以外にも、X、LINE、Tiktok等のPFでも類似の仕組みを用意しています。

Facebook コンバージョンAPI(CAPI)とは~誕生の背景から仕組み、実装方法まで~

Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)|Attribution Reporting API

Googleが推進するプライバシーサンドボックスにおける機能の一部です。
3rdPartyCookieを使用せずに広告主と広告テクノロジープロバイダは特定の条件のもとで、広告の表示やクリックと広告主サイトでのコンバージョンの関連付けが可能となっております。
前述の通り、GoogleのCookie記載はプライバシーサンドボックスの影響が強く、今後も動向が見逃せないものとなります。

Googleが推進するプライバシーサンドボックスにおける機能の一部です。
3rdPartyCookieを使用せずに広告主と広告テクノロジープロバイダは特定の条件のもとで、広告の表示やクリックと広告主サイトでのコンバージョンの関連付けが可能となっております。
前述の通り、GoogleのCookie記載はプライバシーサンドボックスの影響が強く、今後も動向が見逃せないものとなります。

引用:https://post-cookie.microad.jp/blog/8-privacysandbox-api#a-3
Google公式サイト:https://developers.google.com/privacy-sandbox/overview/web?hl=ja

 

Data Clean Room(データクリーンルーム)

企業の1stPartyDataと各広告プラットフォームが用意するデータを掛け合わせ、セキュアな環境で、広告の効果測定や顧客インサイトの分析、パートナー企業間での安全なデータ連携等が可能となります。しかし、基本的にはリアルタイムでの効果計測は難しく、施策後の振り返りなどがメインの活用とされております。

企業の1stPartyDataと各広告プラットフォームが用意するデータを掛け合わせ、セキュアな環境で、広告の効果測定や顧客インサイトの分析、パートナー企業間での安全なデータ連携等が可能となります。しかし、基本的にはリアルタイムでの効果計測は難しく、施策後の振り返りなどがメインの活用とされております。

引用:https://canvas.d2cr.co.jp/data/13126/

データクリーンルームとは?注目の理由と仕組み・メリット・導入のポイント・活用事例を解説

docomo connecting path(ドコモコネクティングパス)

ドコモの通信回線を経由して広告主様のサイトにアクセスしたドコモユーザーをユーザーからの事前同意のもとで流入経路関係なく、広告配信・CV計測・分析に活用できるポストCookieソリューションです。

ドコモの通信回線を経由して広告主様のサイトにアクセスしたドコモユーザーをユーザーからの事前同意のもとで流入経路関係なく、広告配信・CV計測・分析に活用できるポストCookieソリューションです。

引用:https://www.d2c.co.jp/news/2024/06/19/7001/

※docomo connecting pathについては<こちら

 

“広告配信・ターゲティング” 観点の対策

1st party Dataの活用(カスタマーマッチ)

自社保有顧客データ[1stPartyData]を活用したターゲティング配信です。顧客リストの定期的なアップロードが必要となります。

Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)|TopicsAPI

前述にある、Googleが推進するプライバシーサンドボックスにおける機能の一部です。
ユーザーのウェブ閲覧履歴に基づいて、ブラウザがそのユーザーの関心の高いカテゴリを推測する機能になり、TopicsAPIを使うと、3rdPartyCookieのように訪問した特定のサイトの情報がウェブを横断して共有されることがないので、プライバシーを保護しながらインタレストベース広告の配信を実現します。

前述にある、Googleが推進するプライバシーサンドボックスにおける機能の一部です。
ユーザーのウェブ閲覧履歴に基づいて、ブラウザがそのユーザーの関心の高いカテゴリを推測する機能になり、TopicsAPIを使うと、3rdPartyCookieのように訪問した特定のサイトの情報がウェブを横断して共有されることがないので、プライバシーを保護しながらインタレストベース広告の配信を実現します。

引用:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00657/00002/
Google公式サイト:https://developers.google.com/privacy-sandbox/overview/web?hl=ja

 

Cookieに依存しないその他ターゲティング

コンテキストターゲティングや共通ID等を活用したソリューションであったり、各PFや広告会社が用意した3rdPartyCookie規制の影響を受けないターゲティング手法を活用し、最適なプランニングをすることも重要になります。また、オンオフ問わず、ユーザー属性やモーメントを捉えたメディアの重要性も相対的に上がってくると考えられます。

コンテキストターゲティングや共通ID等を活用したソリューションであったり、各PFや広告会社が用意した3rdPartyCookie規制の影響を受けないターゲティング手法を活用し、最適なプランニングをすることも重要になります。また、オンオフ問わず、ユーザー属性やモーメントを捉えたメディアの重要性も相対的に上がってくると考えられます。

docomo connecting path(ドコモコネクティングパス)

ドコモの通信回線を経由して広告主様のサイトにアクセスしたドコモユーザーをユーザーからの事前同意のもとで流入経路関係なく、広告配信・CV計測・分析に活用できるポストCookieソリューションです。

ドコモの通信回線を経由して広告主様のサイトにアクセスしたドコモユーザーをユーザーからの事前同意のもとで流入経路関係なく、広告配信・CV計測・分析に活用できるポストCookieソリューションです。

※docomo connecting pathについては<こちら

 

まとめ

前述の通り、Cookieレスになることで、完全に3rdPartyCookieの代替を務める手段はないと考えることが妥当だと思います。
その上で、今までのように、サイトに来たユーザーを追いかけるデジタルマーケティングではなく、自社のサービスを購入してくれる人がどのような人なのかを理解し、最適な手法をプランニングすることが求められます。

一方で、Cookieレス時代に向け、自社に有効な手法の発掘は継続して行っていくべきであり、1stPartydataの活用を中心にトライしていくことが良いと思います。

この記事を読んでいる方へ

▼2024年11月の媒体アップデート情報
主要広告媒体の最新アップデート情報
・SmartNewsの記事キーワードオーディエンス機能
・TikTokのブランドリフト調査のアップデート
・LINEの最適化地点に設定できる項目が追加
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鈴木 宏和

アカウントデザイン1部 部長。営業系ベンチャー企業を経て、2015年D2C Rに入社。3歳になる娘がおります(2024年時点)

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