ART DMPによって可能となるデータ分析とは?~Vol.2~
CANVAS編集部
前回より連載している
ART DMPによって可能となるデータ分析とは?~ゲームアプリユーザーの課金傾向を探ろう編
ではこのART DMPによって抽出したデータをもとに、インストール後の経過日数から課金傾向を分析しました。
今回は、「アプリ内イベントの突破」という角度から、分析した課金傾向をご紹介いたします。
アプリ内イベントとは
アプリ内イベントとは、「チュートリアル突破」「ゲーム内課金」「クエストクリア」といったような、ユーザーによる行動の節目となる部分に設置するものです。adjustやAppsFlyerといった広告効果測定ツールへの登録・アプリ内への実装を行うことにより計測することができるようになります。
ART DMPではインストールや起動だけでなく、このアプリ内イベントに関するデータも蓄積・抽出することができます。アプリ内イベントについてはこちらで詳細を説明しているので、ぜひご一読ください。
データ分析内容
今回行った分析は、「初課金時にユーザーが突破しているイベント地点はどこか」という分析です。ユーザーがどのタイミングで初めての課金をしているのかを分析することで課金傾向が明らかになり、リテンション広告の効果を高めることやゲーム内の改善に貢献できると考え、分析を行いました。
前回ご紹介した「インストールからの経過日数」とはまた違い、イベントはアプリによって設置場所が全く異なります。そのなかでも、アプリ毎の比較をしやすい「ユーザーのランク」に注目してデータを抽出しました。
抽出結果は分析の傾向から独自にグラフ化したもので、数値は以下のようにまとめました。
・縦軸:ユーザーのランク
・横軸:初課金したユーザーの数
まず、1つめのアプリから傾向を見てみます。
アプリAでは、ランクが低いユーザーによる初課金が多く、ランクが上がることに比例して初課金するユーザーは少なくなっていることが分かります。この結果から、ランクが低いうちに課金へつなげるための施策が有効なアプリであると言えます。
このような初心者のうちに課金するユーザーには、キャラクター収集欲のある人、ゲームの冒頭から高レアなキャラクターを使ってゲームを進めたい人といった傾向が見えてきます。
したがって、キャラクターやガチャ訴求のクリエイティブを配信し課金を促すといった施策が効果的だと考えられます。また、ゲーム内改善としては、ユーザーがチュートリアルを突破したあとそのままガチャ画面に遷移するような流れをつくる、といったことも課金につながる施策として挙げられます。
また、このアプリでは早い段階で初めて課金をするユーザーが多いことから、課金したことのあるユーザーに対しての広告配信も母数を確保しやすいです。
そのため、「課金あり×○日以上休眠ユーザー」といったセグメントでリテンション広告を配信し、効率的に課金につなげていく施策が可能となります。
一方、ランクが高いユーザーの中で今まで課金したことが無いユーザーは今後も課金する可能性が低いため、広告配信を除外するといった方法によって広告の無駄打ちを防ぐことも可能です。
つぎに、2つめのアプリの傾向を見てみます。
アプリBでは、アプリAと同じようにランクの低いユーザーによる初課金が多い一方で、高ランクユーザーによる初課金者数が多いことがわかります。
このアプリでは、先に述べたような初心者ユーザーを囲い込み課金へ誘導する施策も効果的ですが、上級者ユーザーに対してのアプローチもポイントとなってきます。特にランク350以上の初課金者数が多く、このようなユーザーはある程度アプリで遊び、ゲームの内容を理解した上で課金に踏み切っている傾向があります。
上記のようなユーザーは初課金まで時間はかかるものの、上級者になるまでアプリで遊んでいることから、今後もアプリを使い続けて課金してくれる可能性の高い、質の高いユーザーだと言えます。
したがって、こういったユーザーを「ランク350以上×未課金ユーザー」というセグメントで新たに課金を獲得しにいくほか、「ランク350以上×課金ユーザー」というセグメントで更なるユーザーの課金を促進するといった二方向からの施策が有用です。
高いレベル帯のユーザーは現在配信しているシナリオをクリアしてしまっている可能性が高いため、新しく実装されるシナリオ内で難易度が高いクエストと合わせ、そこで活躍するキャラクターを紹介するといった訴求方法が考えられます。
また、シナリオやクエスト毎にイベントを設置しているアプリの場合、「ランク350以上×○○クエスト未突破ユーザー」というセグメントを作成し、該当のクエストで攻略のきっかけとなるキャラクターを紹介するといった方法も可能です。
最後に、3つめのアプリの傾向を見てみます。
アプリCでは他アプリと同様、ランクが低いユーザーによる初課金は多いものの、ランク毎の初課金ユーザー数は他と比較して傾斜がゆるやかに推移しています。このことから、アプリCではランクに左右されずどのユーザーも初課金する可能性が高いということがわかります。
そのため、このアプリではユーザーがインストールしてから初課金するまでの期間を中長期的に見ることが重要であると言えます。またランクに関わらず初課金するユーザーが多いため、未課金ユーザーをランク毎で区切るのではなく、他の地点で区切った訴求が求められます。
例えばランクだけでなく「課金画面到達」というイベントも設置されていた場合、「未課金×課金画面到達ユーザー」というセグメントを作成し、実際に課金までは至っていないものの課金への意欲が比較的高いユーザーへの配信が可能です。
課金へのあと一押しができるようなクリエイティブを打ち出すことで、効率的に課金につなげていくといった施策が有効で、「今だけ」を推した期間限定のキャラやお得なガチャの訴求によるクリエイティブによって課金をあおるといった方法などが挙げられます。
いかがでしたか?前回とはまたちがった「イベント突破」といった視点から課金傾向を探ってみました。
「アプリによってユーザーが初課金するタイミングは異なり、それぞれのアプリに合わせた施策が必要」という最終的な示唆は同じですが、インストールしてからの経過日数だけではわからない「ユーザーが実際にどのような動きをしているのか」まで踏み込んだ分析となりました。
まとめ
ART DMPによるアプリ内イベントを活用した分析で、
・より詳細なユーザーの行動分析
・分析による適切なターゲティングの決定、そのターゲットに合わせたコミュニケーション
が可能となります。
アプリ内イベントを設置することはもちろん、そのイベントを活用したデータ分析による広告配信を実践していきましょう。
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デジタルマーケティング情報を発信する『CANVAS』の運営&編集担当。中の人としてTwitterはじめました(@canvas_d2cr)。テキストは標準語ですがしゃべると関西弁。オンライン社内報「R-ibrary」も兼務で運営担当をしています。