Tips 2023.06.19

【ゼットモ】#4「オタ活の疲れはオタ活で癒す」 VtuberガチオタZ世代インタビュー・後編

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ゼットモ

みなさんこんにちは。ゼットモです。 先日公開した前編に続き、Vtuber好きZ世代代表・あいりさんに「ガチオタ」視点から見た
Vtuberとの関わり方を深くインタビューした内容をお届けします。

前編をまだお読みでない方はこちらから!

この記事を読んでいる方へ

▼SNS×広告 意識調査レポート
・広告表現別の印象
・インフルエンサー/コラボ/UGC風
・好きな広告
・煩わしい広告
・買いたくなる/シェアしたくなる広告
などZ世代の実態を知ることができる内容です。

詳しく知りたい

夢小説より夢絵!垣間見えるタイパ主義

「SNS以外だとPixivもよく見ます。夢絵が気になるけどまだ頼んだ事無くて…」

ーえっ、ちょっと待ってください、夢絵?夢小説じゃなくて?

「はい、夢絵です!夢漫画はまだありますけど、夢小説はほぼ無いですね」

夢小説、という言葉もピンと来ない方が多いかもしれません。これはかつてWEB上で流行ったショートストーリーのような
コンテンツの名前です。実在するアイドルやアニメキャラとのラブストーリーを自分自身が相手役で追体験できるよう、
ヒロインの名前が自由に変更出来る仕組みになっていました。恋愛シミュレーションのシステムを思い出してもらうと
理解しやすいかと思います。

「夢絵は描いてほしい絵師さんに、推しと自分の描いてほしいシチュエーションや依頼資料を送って描きおろしてもらうんです。

1枚数万円の価格設定もざらですが、人気の絵師さんは1年待ちでやっと描いてもらえる…みたいな状態も多くて。
元々アニメキャラのオタクさんたちがやってたのが、V界隈にも流れ込んできたって印象ですね」

ーなるほど…。一見小説から絵になってコンテンツの消費時間は短くなってるけど、描いてほしい絵の構想から練っているのを考えると
準備期間は今の方が圧倒的に時間と工数を割いてるんですね。

「そうかもしれないです。でも、ちょっと器用な子とかはプロレベルで書いてもらった絵をSNSに動画化してUPして、
更に周りに配布したり推し布教したりしてますね」

なんともクリエイティブ&エコシステムなオタク文化が形成されていることに驚きました。需要と供給は必ずしも一方通行ではなく、
作り手と受け手の境界線も曖昧になっていることを感じます。

ちなみに、夢小説自体が廃れてしまったことは決してなく、Twitter上では「夢小説」「夢絵」いずれも沢山の投稿にKWとして出現していました。しかしその内訳を見ると、夢絵は圧倒的に若年層・学生層による投稿が多く、世代によって推し活に変化が生まれている良い事例ではないかと感じます。

同世代、やっぱりみんなVtuberは割と好き。でもその熱量は様々

続いて、あいりさんの周囲、同世代のVtuberへの関心の高さを聞きました。

・やはり好きな人は多いと思う。どちらかというと女子が若干多い印象
・男子は浅く広く、女子は深く狭くVtuberを楽しんでいる印象
・男子はゲーム実況や歌ってみたなど、見たいコンテンツを漁ってる流れで動画やライブ配信に行き着き好きになる人が多い
・女子は推し活文脈で深くハマる人が多い。供給の多さ(活発なSNSやアーカイブ動画)がオタク気質をくすぐる

とのことでした。

「現代社会ってすごく忙しいじゃないですか。リアルのイベントやライブも、特に会社勤めだと絶対行ける訳じゃないし、行けなかったときめちゃくちゃ辛いけど、VtuberはSNSやネットが主軸だから好きな時に消費できるんですよね。今日は忙しいけど10分寝る前に…とか、今日は暇だから一気に消費しよう!とか。いわゆるタイパ主義というか、そうやって自分のタイミングで推せるのが良いですよね」

ーそうですね。さっきのSNSの話でも感じましたが、デジタルが主体のオタ活・推し活は自分と推し・コミュニティとの程よい距離感とか、より無理のない付き合い方が出来るのかもしれないですね。ちなみに、あいりさんにとって推し活とオタ活の違いって何ですか?

「私自身はオタクだと思ってますが、推し活とオタ活…うーん、難しいですね…!オタクの方が重いとは思います。推しの方がライトでガチ恋はしてない感じ。例えば、大学のサークルに憧れの先輩が居たとして『めっちゃ好きなんだよね』って言っちゃうとみんな戸惑うと思うんですけど、『めっちゃ推せるんだよね』って言えば分かる分かる!って盛り上がる、みたいな。推しって概念だと、偏見無く好きという気持ちを公言できる気がします」

#1 の記事でもZ世代が人間関係に重きを置いていることには触れましたが、憧れの先輩のエピソードはそれを象徴する内容だなと感じます。友達付き合いや集団の中で角を立てずに意思表示をする創意工夫はどの世代にも共通することですが、集団の数も種類もSNSなどを通じて格段に増えたZ世代ではより大切なスキルになっているのかな…と感じました。

(推し活とオタ活の違いについては#2 の記事で詳しく考察しています)☟

【ゼットモ】~Z世代と言われましても~ #2 Z世代の推し活事情

 

推しだけに集中できる世界の中で、思う存分オタ活できることは救い

ーVtuberを好きで良かったと思う瞬間、逆に大変だと思う瞬間を教えてください。

「好きで良かったと思うのは、自分が望む推しとの世界を作りやすいって感じるときですね。
インスタアカウントをどう構成していこうとか、推しだけのTwitterのタイムラインに浸り続けるとか。
マイペースオタ活なので熱も冷めづらいです。大変というか寂しいと思うのは、供給に追いつけなかったときですね。
息切れというか、ちょっと疲れる瞬間でもあります。あー、なんで私こんなに好きなのに追いつけてないんだろうってちょっと病む。
でも、
病んだ自分を癒すのもまた推し活なので、活動量と行動あるのみ!って感じです」

ーモチベーションマネジメントがすごいですね…!続けられる秘訣はありますか?

「そうですね…私はもともと新しいものとかコンテンツには興味を持つ性格だと思うんですが、
Vtuberに限らず日本って本当にずっと新しいコンテンツが出てくるじゃないですか。ほんと、
全人類オタ活時代かって思います。
だからこそのびのびと自分もオタ活できるし、そういう環境があるのは救いです」

ーありがとうございます。ちなみにゼットモっぽい質問もさせて欲しいのですが、オタ活の中で誰かに掛けられた言葉など、
「そう言われましても…」と思った瞬間はありますか?

「Vtuberって人間より老いないし、存在感もすごく曖昧で、永遠にネットで生きられるって言うけどお誕生日会はしてるし、
言うても中の人は生身の人間だし…。でも、そういう
不確かな存在だからこそ余白が生まれて妄想も膨らむんですよね。
グッズを買う度に親には「何が良いの?イラストじゃん、中の人は不細工かもよ」と言われるのですが、
こちらが信じるしかない部分もあるのがまた良いって感覚は伝わらないんだな…と思いました」

そう語るあいりさん、インタビュー中も終始推しのアクスタを大事に持ってお話していたのが印象的でした。
これが愛か…。

インタビューを終えて

前後編、ボリュームたっぷりでお送り致しました。 ここまでお読みいただきありがとうございます!

・Vtuberの魅力はトークや編集クオリティの高さと配信者へのリスペクトを感じる運営、そして絶えず実写では出来ないような
 チャレンジに挑み続ける”驚き”のコンテンツ提供

・リアルなアイドルより、ネットやSNSを主体にしている分供給も多い。
 その為しっかり沼にハマる女子も多いが、アーカイブなどを使い賢くマイペースに推し活/オタ活に勤しむ

・実際Z世代はVtuber好きが多い一方で、男子は広く浅く、女子は狭く深くハマる傾向あり

・トーク力などのコンテンツ制作スキルの高さが好まれる一方、その存在自体の曖昧さ、余白感が視聴者を「受け手」にも
 「作り手(夢絵、二次創作、妄想など)」にもする寛容さとして魅力になっている

…などなど、様々な気付きのあるインタビュー内容になったと思います。

なにより、終始あいりさんからVtuberに対する大きな大きな愛情を感じる時間となりました。
統計的なアンケートでは得られない、カオスで貴重なお話を提供いただきました!

また、インタビューを通じて「企業タイアップ」を検討する時注意すべきポイントは、「配信者・視聴者理解」につきる
…と感じました。

タイアップ配信は企業からの強すぎるメッセージの押しつけや、配信者本来の良さを損なうような企画だとすぐに視聴者に
それが伝わってしまいます。
企業・配信者・視聴者のいずれにとっても価値のある企画を発信するためには、
彼らの配信している動画はもちろん
SNSや交友関係、生配信中の視聴者との関わり方などをしっかり理解することも必要だと思います。

今回のインタビューがZ世代理解、Vtuber理解の一助になれば幸いです。

それでは、ゼットモの次回記事をお楽しみに!

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